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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第16章 飛空艇ミカサ

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オージー

 焚火を前に一人の男が座っていた。

その男はシバ達が近づいてくるのに気が付いていたが、黙って見ていた。


「こんばんは」

とシバが焚火の前まで来てから声を掛けた。

男は黙ってシバ達を見上げていた。薄汚れた服装に髪の毛もボサボサだった。しかし目つきだけは鋭く、シバ達を観察するように見つめていた。


「俺たちは旅の冒険者なんだが、偶然ここを通りかかってね。明かりが見えたので気になって見に来たんだけど、これってあんたの家?」

とシバは怪しまれないように、精一杯の笑顔を見せて聞いた。


 飛空艇か何かだと思っていた塊は、どうやらこの男の住処ではないかとシバは推測していた。

男は無表情のまま


「街道から外れたこんな場所を偶然通りかかるって? 普通じゃあり得んだろう?」

と怪しんでいた。シバの努力は逆効果だった。


「言葉が足りなかったな。街道を歩いていたら、ここに戦艦らしきものが潜んでいるのが分かったので確認するため見に来たと言えば良かったかな?」

とアキトが補足するようにシバに代わって言った。


 その説明に納得したのかその男は


「ふん、スキル持ちか……それも強力な奴だな……ふむ。お前さんたちの言う通り、俺はここに住んでいる」

とぶっきらぼうに答えた。この男がオージーである。どうやら彼はここに隠ぺい魔法をかけていたようだった。しかしそれはシバ達には通用しなかった。その時点でオージーはシバ達のスキルレベルを理解した。


「納得してもらえたようで良かったよ。さっきも言ったが俺たちは旅の冒険者で、怪しいものではない。帝国から公国の首都フランドワープに向かうところなんだ」

とシバは簡単に自分たちの事を紹介した。オージーは表情も変えずに黙っていた。


「あんたはここに一人で住んでいるのか?」

とアキトが聞いた。


「……用件があるなら早く言え」

とオージーはアキトの質問には答えずにぶっきらぼうに言った。


「あ、済まない。立ち入った事を聞き過ぎたな」

とアキトは頭を下げた。オージーは話の流れは納得したがそれだけである。心を許したわけでもなく、まだこの時点では得体のしれない者達相手に、オージーが詳しい状況を話すわけがなかった。それにアキトは気が付いた。


 慣れてきたとは言え、この世界は二人が想像していた以上に殺伐とした世界であった。少しでも油断すると足元をすくわれる。それは自らの命を代償として引き渡す事に繋がっていた。

オージーがたとえ一人で住んでいたとしても『一人で住んでいる』等と、見ず知らずのシバ達に不用意に答えるわけが無かった。


「実は今日の宿を探していた。もうこんな時間だし、どこかで野宿を覚悟していたのだが、たまたまここを見つけたので立ち寄らせてもらったという訳だ」

とシバはオージーに語り掛けた。

もう周辺は薄暗く、後少しで夜のとばりが完全に降りるところだった。


「ここに泊めろと?」

オージーは目を細めてシバに聞いた。


「そこまでは言っていないが、泊めてもらえるならありがたい」

と笑顔を見せて言った。


 その時、シバ達から離れてこの飛空艇の周辺を見回っていたフレデリックが戻って来て


「あんたが住んでいるこれって、元は航空戦艦だな? それもオリバイエ公国軍の……正確には試作艦で合っているか?」

とオージーに聞いた。


 オージーはフレデリックを見上げて


「……なんで分かった?」

と表情を変えずに聞いた。


「これに俺は乗艦したことがある」

とフレデリックはひとこと答えた。

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