親バカは死んでも治らない
「それを聞いて安心しました。それで今ソフィアは?」
とフレデリックは悪びれもせずに聞いた。
副島八雲はそれには答えずにシバに視線を移した。
「本当に自分の気持ちに正直な奴だな……ソフィアなら今姫巫女様に稽古をつけて貰っているよ」
とシバは呆れながらもフレデリックに説明した。
「稽古? 姫巫女様に? 何を今更?」
とフレデリックは訝しげに首を傾げて聞き返した。
「ああ、そうだ。稽古だよ。姫巫女様の魔法だよ。それを習得しようと姫巫女様の神殿で修練に励んでいる」
「姫巫女様の魔法だと? まさか姫巫女様の眷属にでもなったというのか?」
「よく分かったな。その通りだ」
とシバは感心したように言った。
「眷属でも無い奴に、姫巫女様が魔法を授けたりはしないだろう?」
とフレデリックはシバにバカにされたと思い、憤りながら言い返した。
「そうだ。あんたの言う通りだ」
シバは流石にバカにはしていないが、このフレデリックの反応を愉しんでいた。
「それ位は俺でも判る。で、ソフィアは何故姫巫女様の眷属になったのだ? 姫巫女様に頼まれでもしたか?」
とフレデリックはシバに問いただすように聞いた。
「そんな事姫巫女様が言う訳ないだろう? 言い出したのはソフィアの方だ」
シバはそんなフレデリックの態度に動じる事もなく涼しい顔で答えた。
「ソフィアが?……何故?」
「あんたも姫巫女様を護る幻獣の事は覚えているだろう?」
とシバは答える前に聞き返した。
「ああ、それは覚えている。『四聖獣』と呼ばれる幻獣たちだったな?」
「そうだ。あの中で一番強いと言われている聖獣は何だ?」
「う~ん。結界の強さと巨大な魔力を考えると『翡翠』か?」
とフレデリックは少し考えてから答えた。
「よく覚えているじゃないか」
とシバは感心したように言った。
「だからそれがどうした? ソフィアが眷属になった事と何か関係があるのか?」
とフレデリックはいら立ちを隠さずにシバに食ってかかった。
「大ありだ。『翡翠』の魔力の根源は? 覚えているだろう?」
「姫巫女様の魔力に依存する……だが……え? まさかそれは眷属も含まれるのか?」
フレデリックは驚いたように聞き返した。
「そうだ。本当に良い勘しているな。今のソフィアの魔力量をあんたは知っているか? 今や姫巫女様と比べても遜色がないぞ」
「え? そんなにソフィアの魔力は増えたのか……信じられん」
とフレデリックは驚きを隠せなかった。
この世界で人の持つ魔力量は生まれた時にほぼ決まると言われている。魔法の覚醒を機に魔力は顕在化し、その魔力量も成長と共に増えるが、大きく増える事はあまりない。
今ソフィアの魔力は姫巫女様に匹敵するとシバは教えた。それはフレデリックにとって予想外の話だった。
「……という事は『翡翠』の魔力量を補填するために、ソフィアは自ら姫巫女様の眷属になったというのか?」
「その通りだよ」
「うむ……」
とシバの答えを聞いてフレデリックは考え込んでしまった。




