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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第14章 ソフィアと魔導書

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新しい主

「お見事です。アキトさんの言う通りです。しかしそれだけではありません」

と姫巫女はアキトの指摘に感念したのか、自ら話し出した。


「イササギが『アルマゲドン』を、私は『蘇生魔法』の魔法陣をこの書に載せました。しかしどちらの魔法も莫大な魔力と魔素を要します。これを両方行使できる魔力量を持つ魔導士は、この世界に存在しません……いえ、二人だけいましたね」

と姫巫女はシバとアキトの二人に視線を移した。


「予想もしなかったソフィア様の眷属の申し出により私の魔力量も倍になりました。さすがにこの魔力があれば私にも『アルマゲドン』は行使できます。それを魔導書(グリモワール)は私を通じて理解したのでしょう。その新しい眷属に興味が湧いたのでしょう。それでシバさんに手伝ってもらって、ここまで運んでもらおうと決めたのだと思います」

と姫巫女はサバサバした表情で語った。


「なるほど……やっぱり俺をだましたのか……覚悟はできているんだろうな?」

と右腕を掲げた。忘れかけていた怒りをシバは再び思い出した。

姫巫女の言葉は穏便だったが、言っている事は『シバをだましてタダでここまで運ばせた』である。


「済まぬ! お主を利用したのは謝る! でも、こんな機会は今度いつ訪れるかわからないではないか! だから燃やすのだけは勘弁してくれ!」


「じゃあ、古本屋に二束三文で叩き売ってやる」


「いや、それも困る……」

と魔導書(グリモワール)は泣きを入れた。


「ふん。まぁいい」

とシバは掲げた腕を下ろした。魔導書(グリモワール)がシバに『北の大地』で中身を見せなかったのは、姫巫女とソフィアのところまで辿り着きたかったからだ。シバが魔導書(グリモワール)の言い訳にどこか納得できずに違和感を覚えていた理由はこれだった。


「ま、おかげで新しい魔法も俺の手に入ったしな。これでチャラにしておいてやるよ」

とシバは言った。


 その言葉を聞いて


「また強くなっちゃいましたね」

とソフィアが同情したようにシバに声をかけた。


「もう、これ以上強くなっても仕方ないんだけどね。でも『蘇生魔法』はありがたいな」

とシバもそこだけは得した気分になっていた。シバとアキトは『治癒魔法』は行使できたが、『蘇生魔法』までは知らなかった。


 改めてシバは

「で、魔導書(グリモワール)。お前の新しいご主人様はソフィアという事で良いんだな?」

と聞いた。


「そうだ。吾輩の新しい主人は、このソフィア様である」


「……という事だよ。これからはこの魔導書をいつも携えていれば良い」

とシバはソフィアに言った。

ソフィアは魔導書(グリモワール)を手にしたまま困惑したように姫巫女を見た。


 姫巫女は微笑みながら


「魔導書(グリモワール)が認めたのですか、これからはこの魔導書はあなたのものです」

と言った。


「はい。わかりました」

とソフィアは頷いた。この魔導書を持つ意味を考えると、その責任の重さを痛感せざるを得なかった。


 それを感じ取った姫巫女は満足そうに頷くと


「これからこの魔導書に書かれている魔法を、ソフィア様の魔法にしなければなりません。その為には修練が必要です。一緒に頑張っていきましょう」

とソフィアを励ますように言った。


「はい。それは覚悟しています。魔導書(グリモワール)、よろしくね」

とソフィアは魔導書を両手で掲げて話しかけた。


 ソフィアはこの時は気が付いていなかったが、この魔導書にはソフィアが持つ『聖属性系の魔法』は一切書き込まれていなかった。将来この魔導書に『究極の聖属性魔法』をソフィアが記する事になるのを、この時点では誰も想像もしていなかった。



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