シバの認識
「はい。何でしょうか?」
「もしかして、この世界では転生とか転移とかは大っぴらに話す事ではないのですか?」
とシバが周りの視線を気にするように聞いた。
「転移者はさておき、転生については余り自ら公にはしないと思いますよ……」
と姫巫女はソフィアに同意を求める様に視線を移した。ソフィアも
「私も言えませんでしたし、家族にも言っていません。知っているのはシバさんやアキトさんたち限られた人たちだけです」
「ソフィアの場合は転生だし、立場があるから隠していたと思っていたけど……そもそも隠すような話なのか……?」
とシバは驚きの表情を隠さなかった。
「今更それを言う?」
とアキトはあきれ果てたように言った。
「お前もそう思っていたのか?」
「ああ」
「今まで何も言わなかったじゃないか!!」
とシバはアキトに食って掛かった。
「言うも言わないも、お前は、誰彼なしに自ら『転移者』だと名乗りまくっていたじゃん。だから『今更止めても無駄』だと諦めていたわ」
「はぁ? そう思っても止めろよ」
「いや、それに『判った上で言っている』確信犯だと思っていたからな。敢えてわざわざ言っているのかと思っていたから、止める理由はないと思っていたわ。それに今更止めても意味がないだろう? もう俺たちが転移者である事を知らない王族や貴族はいないからな」
「失敗したなぁ……その時は何も考えていなかったなぁ……別に『転移者』だと名乗ったから何があるわけでもなかったし……転移してさっさとアガサのババアにもばれていたし……あんまり考えてこなかったなぁ」
とシバは反省しながらも大魔導士『森の賢者』アガサ・ヴァイスリッターをまたババア呼ばわりした。
「なぁ……シバよ。お前色んな国の王族や高官が、俺たちに接触してきていたのは何故か知っているか?」
とアキトが改めて聞いた。
「それぐらい知ってるわ! 飛空艇ミカサが欲しいからだろう?」
とシバは胸を張って言い切った。
「やっぱりお前の理解度は、このレベルか……俺たちが転移者だからだ!」
「へ?」
とシバはアキトの言葉が理解できなかったようで、口をポカーンと開けて次の言葉を待っていた。
「確かにミカサの装備や動力源は知りたがっているが、この世界では異世界の人間はわざわざ召喚してでも手に入れたい種族なんだぞ。それはお前も知っているだろう?」
「……俗にいう『勇者召喚』だろう? それくらいは俺でも知っている。バカにするな。でもそれって成功したためしはないだろう? だからおとぎ話の世界だと思っていたわ」
「この異世界に転生しておいて、その言葉を吐くのか? お前、ある意味凄いな」
とアキトは変なところに感心しながら言葉を続けた。
「お前の言う通り、俺も成功した事例は聞いたことが無いが、未だに多くの国で『召喚の儀』をやっている噂ぐらいは聞いたことがあるだろう?」




