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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第13章 魔導書

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開かない魔導書

「ラシール帝国の皇帝オルムトは領土拡大欲求が強いからな。この島を狙っていたのかもしれんな……」

とシバが独り言のように言った。


「あり得ん話ではないな……ふむ。お主はその皇帝と面識はあるのか?」

とその言葉を聞き止めたスキノはシバに聞いた。他国とはあまり付き合いのないこの国の王たちは、他の国の王と面識は無かった。故にラシール帝国の事は噂程度にしか知らなかった。


「あるよ。一応、あの国はうちの商売相手でもあるしな。それ程深い付き合いではないが……」

とシバは答えた。


「商売相手だけではあるまい。あの国の軍隊と何度か一戦交えたであろう?」

とスサノ帝が口を挟んだ。


「まぁね。今回もここに来る前にあそこの軍艦を十隻ほど沈めて来たしな」

とシバは事も無げに言った。


「なんだと?」

と驚いたようにスキノが聞き返した。


「ま、今回は空賊のふりをしていたけどね。だからこっちも余計な詮索はしなかったけど、あれは間違いなくラシールの艦隊だったよ」


「そうなのか……あの戦艦に勝負を挑むとはラシールの奴等も怖いもの知らずだな」

とスキノが呆れたように言った。


「ちょっと待て、うちの艇(ふね)は単なる飛空艇だからな。その辺の戦艦と一緒にするな」

とシバが釘をさすように言った。


「そうだったな。すまぬすまぬ」

と女王スキノは呆れた様な表情で謝った。


「それにしてもシバの言う通り、宝だけが目的ではなかったのかもしれぬの……認識を改める必要があるかもしれん」

とスサノ帝は考えを改める様に自分に言い聞かせた。


「それはそうだけど、今ここでそれを考えても仕方ないでしょう?」

とシバがスサノ帝に言った。


――今のラシールにこの国に攻め込む余裕はない。今は西側諸国との小競り合い、そしてモウキン国へ興味が移っているはず。いずれはこの国への侵攻もあるかもしれないが……その時の為の布石として『氷穴の魔獣』を怒らせたのであれば、果たしてこのタイミングでやるだろうか?――


とシバは考えていたが口には出さなかった。それよりも


「で、宝って何があったんだ?」

と聞いた。シバの興味はラシール帝国の陰謀よりも氷穴の奥にあった宝物にあった。


「そうだった。それはこれだ」

とスキノは執事から受け取ったものをテーブルに静かに置いた。


 それは一冊の分厚い書籍だった。


「これは……魔導書か?」

シバはその書籍をじっと見つめて聞いた。


「そうだ」


「中を見たのか?」


「いや。見ていない」

とスキノは首を振った。


「何故?」


「見たくても本が開かないのだ」

と落胆したようにスキノは言った。


「開かないだと? それはどういうことだ? 見てもいいか?」

とシバはすぐには理解できずに不審な表情を見せた。


「勿論」

とスキノが答えるとシバはその魔導書を手に取った。

そして開こうとしたが、魔導書は開かなかった。


「こういう事か……全く開かんな」

とシバはやっとスキノの言葉が納得できた。


 その瞬間


「惜しいな。中を見せてやりたいがお前さんではないんだな……」

とその魔導書から声がした。

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