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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第12章 トウイの国の大王

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勝負はついた

 そもそもタケルが前もって聞いていた情報は『タケルと同い年で、士官学校へ行くなら同期になる皇女殿下』であり『現在渾深館の門下生となって教えを乞うている』だけだった。それを聞いてタケルは勝手に『組みやすし』と思い込んでしまっていた。


――手強いというそんな生易しいレベルではないな……――


全く攻め手が見つからなかった。


 ソフィアの剣先が揺れていた。


『来るならさっさとかかって来んかい』

とでも煽っているかのように……。事実ソフィアはそう思っていた。


――くそ!!――


とタケルは苦し紛れに突っ込み、上段から一気に木刀を振り下ろした。


 ソフィアはそれを木刀で受け流した。隼人と初めて対戦した時に、軽くいなされたあの技をここで使った。タケルは態勢を崩されてつんのめりそうになった。その瞬間、ソフィアの蹴りがタケルのみぞおちに決まった。


 タケルは道場の壁までぶっ飛んでいった。


「本当に容赦ねぇな……」

とシバは呆れながらも


――うんうん。ちゃんと勘兵衛先生のえげつない教えを受け継いでいるわ――


と納得したように何度も頷いていた。

怒り狂った笑顔のソフィアを見て、シバもこの結末は予想していたので落ち着いて結果を見る事が出来た。


 すぐさま重信がタケルのもとに駆け寄って来た。


「おい! 大丈夫か?」

と心配そうにタケルに声を掛けた。


「ゲホゲホ……だ、大丈夫だ……」

とタケルは咳き込みながらそう答えるのが精一杯だった。


「あの皇女殿下のいつもの稽古相手は隼人さんと先生だぞぉ。流石のお前でも勝てる訳ないだろう?」

と重信はタケルに説教するように言った。


「そういう事は……ゲホ、もっと早めに教えろ……ゲホ」

と不満げに言うと


「なに言ってんだこいつは? 挨拶もそこそこに、勝手に勝負を挑んでいったのはお前だろう?」

と重信は呆れ果てながら言い返した。正論である。


「ぐっ!」

タケルはまた返事に詰まった。


「大丈夫ですか? まだやりますか?」

と笑顔でタケルを見下ろしながらソフィアは言った。


「……いや、もういい……」

タケルはそう言うと清助の手を借りて立ち上がった。


「先程は無礼な事を言って申し訳なかった。拙者の完敗である」

と潔くソフィアに頭を下げた。彼は直情的で軽率な行動は多いが、現実を素直に受け入れる度量はあったようだ。


 その潔さを見て


「いえいえ。全く気にしていませんわ。それよりもモルタリア帝国は王子を歓迎するでしょう」

とソフィアは笑顔で答えた。


 タケルは


「よろしく頼む」

と再び頭を下げた。


 因みにこれ以降ソフィアはこの道場で『冷笑の麗人(きちく)』と呼ばれることになる。


「いやいや……なんと見事に先生のセコイ技を受け継いでいる事か……流石だな」

とシバは思わず感動のひとことを漏らした。


 その瞬間シバの背中に悪寒が走った。


「誰の技がセコイって?」

と耳元で真刀斎の声がした。シバは硬直して直立不動となった。


「まだまだお主には教えなければならないセコイ技がある様じゃのぉ」

とさらに追い打ちをかける様に真刀斎はシバの耳元で呟いた。


「い、いえ……もう何も学ぶことは無いと存じ上げ奉る次第であります……」

とシバは声を震わしながら言い訳をした。

未だに真刀斎には頭が上がらないシバであった。


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