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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第12章 トウイの国の大王

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王子タケル

 翌日の朝である。


朝稽古中の道場に一人の男がやってきていた。

スサノ帝の息子タケル王子であった。


道場の中へ入るなり真刀斎の姿を見つけて歩み寄ると


「先生。ご無沙汰しております」

と頭を下げて挨拶をした。


「おお、王子か。息災か?」

と真刀斎は笑顔で言葉を返した。


「はい。何とかやっております。ご挨拶が遅れましたが今春、高等学問所も無事卒業できました」

とタケルは簡潔に近況を報告した。


「ふむ。それは何よりじゃ」

と真刀斎は満足げに頷いた。タケルは幼少のころからこの道場に通い、真刀斎の教えを受けていた。スサノ帝の息子だけあって、剣術に関しても相当の腕前まで上達していた。


「ところでモルタリア帝国の皇女はどちらにおわしますか?」

とタケルは単刀直入に聞いた。


「ソフィアなら、今日は……ほれ、あそこで清助と打ち込み稽古をしておる」

と真刀斎は道場の一画を指さした。


「うむ、あれか……」

と言うとタケルは真刀斎に軽く会釈をすると早足でその場に向かった。


「清助!」

と島野重信に声を掛けた。


「ほぉ、タケルではないか? どうしたこんな朝早くから?」

とあざなを呼ばれた重信は、久しぶりに会う同期のタケルの姿に少し驚いたような表情を見せた。


 タケルはその問いに


「うむ」

とだけ答えてソフィアに向き直ると


「モルタリア帝国の皇女とお見受けいたす。一太刀交えて貰えないだろうか?」

と唐突に手合わせを求めた。

元々彼は性格的に持って回った様な言い方が出来なかった。その為周りの人間からは全てにおいて直情径行な人間だと思われていたし、事実そうであった。


「私ですか?」

とソフィアは驚きながら答えたが


――あんた、誰?――


と不審者を見るような視線をタケルに浴びせていた。


 それに気が付いたタケルは


「申し遅れました。拙者、この国の第三王子タケルと申す。モルタリア帝国の皇女殿下ソフィア殿でお間違い御座らんか?」

と改めて言い直した。直情径行は本人も自覚しており、時たま忘れるが礼儀作法はそれなりにわきまえていた。


「はい。間違っておりませぬ。私がソフィアです」


「この度、皇女殿下の国へ『教えを乞いに行け』と父上から言われたが、どれほどのものか確かめるためにも一手お手合わせ願いたい」

とタケル王子は馬鹿正直に腕試しを願い出た。


「確認ですか?」

とソフィアは聞いた。同時に清助が


「タケル? お前モルタリア帝国に留学するのか?」

と驚いたように聞いた。


「そうだ! 他国に教えを乞う必要などないと拙者は言ったのだが、父上が『絶対に行け』と言って譲らん。よくよく話を聞くと、ここにその士官学校へ行くという皇女殿下が居ると言うではないか!! それを聞いたのであれば、確かめようと思うのは道理ではないか?」

タケルは今回の留学に関しては不満であったようだ。要するに高等学問所を出た後は、兄たちと同じように武士として仕官するつもりでいた。『自分だけが何故まだ学ばなければならないのか?!』と不満に思っていた。


――だったら断れば良いものを……誰も来てくれなんて頼んでないのに……――


と思いながらも、ソフィアはそんな感情は微塵も見せずに


「その通りですね。そのお気持ちはよく分かります」

と笑顔で答えた。


2026.09.07 文字修正

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