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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第12章 トウイの国の大王

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フェリーとの思い出

「ところで皇女殿下に於かれましてはこの国の食事は、お口に合いましたかな?」

と執権の南條頼宗が聞いた。

この国では執権職は代々南條家が受け継ぎ、同じように将軍職は橘家が受け継いでいた。


「はい。この国の料理は何でも美味しくいただけます」

と満面の笑みを浮かべて言った。


「なるほど……お口に合いましたか……どおりで箸の使い方もお上手なわけだ」

と納得したようにうなずいた。


「はい」

とソフィアは答えながら


――元々、箸は使い慣れていましたからねぇ……それよりも日本食に飢えてましたから、ここは天国です――


と思っていた。


「これから皇女殿下はいつまでこの国に滞在される予定なのかな?」

と将軍職の橘義孝が聞いた。


「はい。もう少し真刀斎先生の元で修業を積んでから、改めて冒険に出たいと思っております」

とソフィアははっきりとした口調で答えた。


「このままずっと冒険者を続けるおつもりか?」

と橘義孝は重ねて聞いた。


「……そのつもりではいるのですが……」

とソフィアは答えてそこで返答に詰まった。彼女自身の気持ちとしてはこの言葉通りであるのだが、帝国の皇女としてそれが許されるのか自信が無かった。その上、父親である皇帝フレデリック三世には『士官学校に行く一年間の間だけ』という約束までしてしまっていた。


 冒険者になるためのその場しのぎの言葉であったが、皇帝との約束である。この約束を違(たが)える事は許されないという事は重々承知していた。


 返答に躊躇するソフィアを見て、


「込み入った事を聞いて申し訳ない」

と橘義孝は謝った。


「いえいえ。正直言うとまだ決めかねているという事です……本当にどうすれば良いのか……」

とソフィアはまだ迷っている事を正直に言った。


「ふ、ふふふふ……」

と突然スサノ帝が笑った。その場の全員がスサノ帝を見た。


「本当によく似た親子であるな」

と破顔してスサノ帝は言った。


「え?」

とソフィアは思わぬスサノ帝の反応に驚き戸惑った。


「皇女殿の父君も同じ事を言っておったな」

と昔を懐かしむような表情でスサノ帝は口を開いた。


「父がですか?」

とソフィアは驚いたように聞き返した。


「そうだ。確か、皇女殿の父君はその当時、皇太子になられて間がない頃であったな」

と言って確認するようにシバとアキトに視線を移した。


「そうでした。フェリーは『兄上が辺境伯になられてしまった』と嘆いていましたからね」

とシバが答えると


「そうそう。『俺は皇太子なんかになりたくない! 帝位なんか継ぎたくない!』と喚き散らしておりましたね」

とアキトも昔を懐かしむように何度も頷きながら言った。


「そうそう。本当に往生際の悪い態度でしたなぁ……」

と最後はシバが明らかに愉し気に言った。


「でも、それに引導を渡したのは、帝ではなかったでしたっけ?」

とシバが思い出したように話をスサノ帝に振った。


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