再び謁見の間
……とシバは飛空艇内でのスサノ帝との会話を思い出しながら、目の前でのやり取りを眺めていた。
「このような見目麗しい皇女殿下をお招きする事が出来、余も光栄である」
とスサノ帝は目元を緩ませて言った。
「過分なお言葉、有難うございます」
とソフィアは頭を下げた。
「モルタリア帝国の皇帝陛下はご健勝か?」
とスサノ帝はソフィアの父親であるフレデリック三世の様子をうかがった。
「はい。毎日政務に追われておりますが、いたって健康でおります。父もこの場に居たら、どれほど喜んだか分かりません。本国に戻りましたら、この場の事を自慢してやろうと思っております」
とソフィアは笑顔で答えた。
「そうか、そうか。皇帝殿はご健勝か! 是非とも自慢してあげてくだされ。余もお会いしたかったとお伝えくだされ」
とスサノ帝は満足げに笑いながら言った。
「分かりました。必ず申し伝えます」
とソフィアも笑って応えた。
「ところでシバの話によると、皇女殿は普段は冒険者もされておるとか?」
とスサノ帝は唐突に話題を変えたが、相変わらず優し気な声で問いかけた。
謁見の間には驚きの声が微かに聞こえた。ソフィアが冒険者をしている事を知らない者も多数いた。
「はい。その通りでございます」
とソフィアははっきりと答えた。
「よくもまぁ、お父上がお許しになられたものだ」
「はい。シバさんとアキトさんが父を説得してくれました」
とソフィアは答えたが、シバとアキトは内心で
――何も言ってないって!! あいつが勝手に納得しただけだ!――
と猛烈に反論していた。
「なる程。皇帝殿もこの二人のいう事には逆らえないという事であるな」
というとスサノ帝は愉快そうに声を上げて笑った。
それを見てソフィアも軽く微笑んだ。
場は和やかな空気に包まれていた。
「うむ。それにしてもこうやって見ると、皇女殿下はお父上によく似ている」
とスサノ帝は優し気な瞳でソフィアを見た。彼からすればソフィアは孫の様に思えたのかもしれない。
「本当に帝は父をよくご存じなのですね」
とソフィアは微笑んだ。
「うむ。初めてこの国へ参られた時の事をよく覚えておる。余が初めて会った時は、そこの二人と一緒に勘兵衛に稽古をつけて貰っておったよ」
とスサノ帝は顎をシバとアキトに向けて指し示した。
「そうなんですね。今は私が真刀斎先生に稽古をつけて頂いております」
とソフィアは答えた。この国を統一した王を前に堂々とした受けごたえである。スサノ帝もそれを感じていたのか満足そうに笑みを浮かべていた。
当たり障りのない話をしばらく続けた後、
「今日の出会いを余は非常に嬉しく思うぞ。ではまた後程」
というとスサノ帝は席を立った。
その後を二人の小姓が素早く付いて行った。広間に居た重鎮たちは一斉に床に手をつき頭を下げた。
シバ達三人も同じように頭を下げた。




