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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第12章 トウイの国の大王

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大王との会話

「何か不満であるか?」

とスサノ帝は顎を突き出してシバの前に立ちふさがった。身長はシバやアキトよりも高く、肩幅も広かった。まさに帝と言うのにふさわしい偉丈夫であった。眼光も鋭く大きく見開いた目力も強かった。


 流石のシバもその迫力に押され


「いえいえ。と、とんでもないです。お聞きしていなかったので、お、驚いただけです」

と若干しどろもどろになりながら答えた。


「そうか。今日は世話になる。よろしく頼む」

と言うとスサノ帝は貴賓室の奥へと進み応接セットのソファに腰を下ろした。

その後すぐに副島八雲もダミアンと一緒に入室して来た。


「ちゃんと居たか。感心感心」

と八雲は満足げな笑みを浮かべて言った。


「嵌(は)めましたね」

とシバが耳元で呟くと


「何を言う。貴殿が儂に『誰と一緒か』聞かなかっただけではないか?」

と八雲は、わざとらしい怪訝な表情を作り言った。


「へいへい。その通りですよ」

とシバは諦め顔で答えた。今日のシバは誰にも勝てる気がしなかった。


 副島八雲からすれば、最初から帝が乗る事をシバに言うと、それを避けようとすると踏んでいた。今までのシバの行動からそれは容易に察せられた。シバの『面倒くさい事からの回避能力』は高い。それはほとんどスキルのレベルまで昇華されていた。

副島八雲はそれを知っていた。


「まあ、良い。シバもそこに座れ!」

とスサノ帝は声を掛けた。


 シバは渋々スサノ帝の向かいに座ると


「本日ハ、当飛空艇ヲゴ利用頂キ、マコトニアリガトウゴザイマス」

と礼を述べた。


「その棒読みは、止めい!!」

とスサノ帝は苦笑いしながら言った。


「実は今日はお主と、サシで話がしたかったのじゃ」

とスサノ帝は豊かに蓄えた顎髭を触りながら、ゆったりとソファに身体を沈めて言った。


「ほほぉ……」

とシバは相槌を打ちながら


――なんか面倒事に巻き込まれそうだな――


と嫌な予感がしていた。


「実はな。今日は今から『北の大地』のスキノ王に会いに行く。その場にお主も一緒に来るが良い」

とスサノ帝は言った。それは有無を言わさぬ言葉だった。


 シバはダミアンに視線を移した。ダミアンは勝ち誇った様な表情で口元を緩めた。


――ほおらね。俺の言った通りだったでしょう?――


とでも言いたげな表情だったが、事実ダミアンはそう思っていた。


「スキノ王ですか……あの女王は苦手なんですよねぇ……」


「あれはお主の事を相当気に入っておるからのぉ」

とスサノ帝は愉快そうに言った。


 スキノ王とは『北の大地』と呼ばれる国の女王である。五年ほど前に先王が崩御し、その後を継いだ。シバとは彼女がまだ王太子時代に知り合っていた。

武術の腕もあるが、この女王は『魔法のキレがこの国随一』と言われる程の魔力を誇っている。


「そりゃね。私は『面倒事を気兼ねなく押し付けられる相手』認定されていますからね。本当に迷惑な話です」

とシバはうんざりした表情を見せた。



「それだけ信頼されているという事ではないか! あの気難しい女王に気に入られるとは喜ばしい事だぞ」

とスサノ帝は楽しげに言った。


「なに言っているんですかぁ……単なる雑用係としてこき使われているだけですよ。全くもう……」

とシバは更に五割増しのうんざりした表情を見せた。


 それを見てスサノ帝は


「わはは、あれは心眼持ちだ。嘘は通用せんから逃げられんな」

と大きな声で笑った。


 シバは


「はぁ」

と大きなため息をついた。それ以上返す言葉も思いつかなかった。


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