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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第11章 参道の少女

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ソフィアの力

「足元がこの『御神火』だけでは心もとないですが……」

と言いながら千灯が参道に歩みを進めようとした時、


 ソフィアが


「ちょっと待ってくださいね。今からこの灯籠に火を灯します」

と言って手を頭上に上げると、魔法の杖が現れた。

それを握りしめると


「ホーリーライト! 穢れを払う光の矢となれ!」

と叫んだ。


 周辺の空気が一変した。ソフィアの聖魔法でこの辺りの邪気は一気に霧散した。

続けてソフィアは、杖の代わりに片手を掲げると


「我が身に宿る聖なる力よ、我が進む道を照らし導き給え!」

と叫んだ。


 すると参道の両側に神殿まで続く灯籠全てに火が灯った。

真っ白な雪の参道が、この灯籠の光に照らされて光り輝いた。


「綺麗……」

と千灯は思わず呟いた。いつもであればこの光景が普通である。それを千灯は思い出した。


「でも何故、ソフィア様がこれを?……」

と千灯は不思議そうな表情を見せて尋ねた。


「じつはこれは姫巫女様の力ですよ」

とソフィアは微笑みながら言った。


「え? そうなんですね!」

と千灯は驚いた。と同時に


――何故そんな事がソフィア様に出来るんだろう?――


とさらに疑問が湧いたが、それも口にする事は無かった。

魔法やその根源について詳しく聞く事は、礼儀知らずと言われかねなかったからである。


 その代わり


「ソフィア様は騎士職ですよね? 魔法も使えたんですね?」

と聞いた。


「本当は魔法が得意なんですよ。でも今は騎士としての力量を付けて貰っています」

とソフィアは答えた。


「魔法も使えるのに剣の腕も磨かれるんですね……凄い人ですね……」

と千灯は心の底からソフィアを尊敬した。


「そんな事は無いですよ。それに今のは私の魔法ではなく、姫巫女様のお力をお借りしただけですから」

とソフィアは謙遜したが、既に十分に凄かった。


「それでは参りましょうか?」

とソフィアは千灯の手を取り灯籠の光に照らされた参道を登り始めた。


「いつもは祖父が『御神火』を携えて登っていくのですが、今回ばかりはそれも叶わないほど体力が落ちていたみたいです」

と千灯が参道石階段を登りながらソフィアに話し出した。


「三年前の凶変が原因なんですよね」

とソフィアは言いながらも、父親を亡くしこの夜道を一人祖父の代わりに登る千灯を見て、その健気さに胸を打たれていた。


「そうなんです。ソフィア様も御存じなんですね……早くこのお勤めを果たして、祖父のもとへ参りたいです。祖父の事が心配でなりません」

と千灯は本音を漏らした。

三年前の凶変で千灯は父を亡くしていた。祖父までも失いたくはなかった。


「大丈夫ですよ。先ほど私が聖魔法で体力は復活させておきました。もう大丈夫ですよ」

とソフィアは千灯を元気づけるように言った。炎杜家に寄った時に、当主の伊織の容態を聞き直ぐに聖魔法でその体力を復活させていた。ついでに本人も気が付いていなかったとりついた邪気も祓っておいた。

一応ソフィアはモルタリア帝国の皇女殿下であったが、帝国臣民からは『聖女様』とも呼ばれていた。


「え? 本当ですか!!?」

と千灯は驚くと同時に喜んだ。


「ええ。もう大丈夫です。相当弱っておられましたが、回復しましたよ」

とソフィアは明るい表情で答えた。

千灯は足を止めてソフィアの手を取って


「おじい様を助けて頂きありがとうございます」

と心の底からの感謝の気持ちを伝えた。


「いえいえ。だから安心してお勤めを果たしましょうね」

とソフィアは優しく千灯を励ました。


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