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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第10章 姫巫女様の住む聖樹海

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内密な話

 唐突に


「姫巫女様!!」

と『翡翠』が叫んだ。


「何も言わずとも良い」

姫巫女は全てを理解した上で、優しい笑顔を『翡翠』に向けた。『翡翠』は己の心の葛藤を姫巫女には打ち明けていなかった。彼が打ち明けていたのは『白銀九尾』だけだった。勿論彼女もそれを姫巫女に伝えたりはしていなかったが、姫巫女は全てを理解していた。


「でも……」


「そなたはここに居たいだけいれば良い」


「それでは、姫巫女様の御命が……」


「そなたとわらわは異体同心ぞ。気に病むことはない。でも、どうしても出ていきたいのであれば止はせぬ。それはそなたの自由です」

と姫巫女は優しい口調で言った。


「しかし……」

と『翡翠』は食い下がろうとした。その時シバが


「姫巫女様、よろしいですか?」

と口を挟んだ。


「なんでしょう? どうぞ」

と姫巫女はシバに視線を移して言った。


「その『翡翠』が申すにソフィアの魔力波動は姫巫女様と同じらしいです。で、『翡翠』は姫巫女様の従魔ですよね。額の角は聖樹神那木(カムナギ)の結晶ですよね。それは姫巫女様の髪留めも同じですよね?」


「その通りです。この聖樹の結晶により、わらわと『翡翠』は繋がっております」

と姫巫女は答えた。


「なるほど……その聖樹の結晶とかまだ余っていませんか?」


「シバ殿がこの聖樹の結晶をお望みかえ?」

と姫巫女はシバの意図が摑めずに首を傾げた。


「いえ。そういう訳ではないのです……で、ちょっと内密にお話をしたいのですが……よろしいでしょうか?」

と意味ありげにシバは言った。


「何か思うところがあるようですね。良いでしょう」

と姫巫女はそう言うと守護巫女を引きさがらせて草庵の襖も閉じて、シバと二人きりになった。


「シバ殿。もうここにはわらわと二人しかおらぬ。何でも言って下され」

と姫巫女は話の続きをシバに勧めた。


「それでは遠慮なく……姫巫女様はハイエルフですよね?」

とシバは単刀直入に聞いた。


「そうですが、それが何か?」

と姫巫女は『何を今更』と怪訝な表情を浮かべながら答えた。そんなものは見ただけで分かる事をシバは敢えて聞いた。


「ハイエルフに生まれる前の……そう前世の記憶がありますよね?」

とシバはじっと姫巫女の目を直視して聞いた。


「え?」

と姫巫女は一瞬で表情が変わり、たじろいだ様にシバには見えた。


 その変化をシバは見逃さなかった。


「姫巫女様は転生者ですよね?」

ときっぱりとした口調で断言した。

姫巫女はじっとシバの瞳を見つめて外さなかったが、全てを悟ったように息を吐くと


「はぁ……その通りです。いつそれに気が付きましたか?」

と聞いた。


「いえ。ほんの今さっきですよ。『翡翠』がソフィアを威嚇した後に『姫巫女様と同じ魔力の波動だった』と言ったのを聞いた時にね」

シバは表情を緩めて言った。


「波動ですか……」


「そうです。僕とアキトの二人が転移者である事は御存じですよね」


「それは存じております」


「その僕たちと姫巫女様の波動は『似て非なるもの』らしいです。しかしソフィアとは一致した」


「……もしかして……ソフィア殿も」

と姫巫女は驚いたような表情を見せた。


「はい。彼女も転生者です」


「なんと!!」

と姫巫女は声を上げた。

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