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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第10章 姫巫女様の住む聖樹海

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『翡翠』の力の根源

 改めてシバはあの時、姫巫女様が倒れた理由を思い出していた。

それは『翡翠』の力が姫巫女様の生命力に依存する為だった。

この幻獣には『姫巫女の寿命を吸う命の枷(かせ)』という縛りがあった。この幻獣が強力な力を使うたびに、主である姫巫女様の生命力を強制的に吸い上げてしまうという縛りである。


 あの時、シバと戦っている時、『翡翠』はシバの予想以上の強さに、思わず魔力を最大限まで使って戦った。それは同時に姫巫女の生命力を一気に削る事になった。


 そう、幻獣自身は姫巫女を深く愛しており彼女を守るために戦いたいが、強大な力を振るえば振るうほど、大好きな姫巫女の死を早めてしまうという矛盾を抱えていた。


 それをこれまで『翡翠』は全く意識した事が無かったが、シバとアキトに出遭って『自分の力には限界がある』という事を身をもって体験してしまった。


そして初めて姫巫女様と会った時にシバ達はその縛りを意図せずに知ってしまった。


「それなら話は早いわ。実はこの『翡翠』は主らに出会って以来己の力の根源に悩み、挙句の果てにここを出て行こうとしてるのです」

と『白銀九尾』は答えた。


「はぁ? 出ていく? 今更か? じゃあ、ここの結界はどうすんだ?」

とシバは呆れたように言った。


「その通り。さっきからわらわも同じ事をこやつに言って聞かせているのですよ。で、『もうすぐシバ達が来るからここで待て』と言って聞かせておったところですの」

と『白銀九尾』はシバに今の状況をうんざりした表情で説明した。


「僕がね、ここに居ると姫巫女様の寿命が縮む。シバと戦った時にそれを痛感したんだ。もしシバ達みたいにこの結界を破る者が現れた時、僕は手の出しようがないっていう事にね」


「そこいらの魔獣なんかに負けないだろう?」


「そりゃね。『白銀』もいるし大抵は問題ないよ。僕の力の根源は姫巫女様だから、普通では負けない。でもね。まさかのシバみたいなのが出てきたらお手上げだよ。分かるでしょ? 僕の気持ちも」

と『翡翠』はシバに訴えた。


「失礼な。人をバケモノみたいに言うな」

とシバは憤って言った。


「ごめん……でも、僕があんなに手も足も出なかったのはシバが初めてだったんだ。その時に思い出したんだよ。『僕の力は姫巫女様の命であり、姫巫女様の命を縮めるものでもある』という事に……相手がシバだったから良かったものの、そうでなかったら僕は姫巫女様を守り切る事もできずに、あれ以上何もできずに黙って見ている事しかできなかったんだよ」

と『翡翠』は今にも泣きそうな顔で言った。


「姫巫女様の魔力量は中途半端なもんではないぞ。それを『翡翠』が使い切る程の相手なんてこの世でシバぐらいしかいないだろう?」

とアキトが口を挟んだ。


「いや、シバだけでなくアキトも同じだよ」


「ぐっ……ま、確かにそうだが、それ以外はいないだろう?」

とアキトは『翡翠』にツッコまれて一瞬次の言葉が出てこなかった。


「それは分かんないよ。目の前に二人もこんな規格外の人間が現れたら、これからもそういうのが出てこないなんて思えないよ。第一、僕もシバ達と出会う前までは、こんな心配した事も無かったもん。でもシバと対峙した時はあっという間に使い切りそうになったもん。あんなに焦った経験はそれまでなかったもん」

と『翡翠』は切実に不安をシバ達に打ち明けた。


「俺までシバと同じようにバケモノ扱いされているのか……」

とアキトも肩を落とした。


「当たり前だろう、何を言っているんだ? こいつは?」

とシバは呆れたようにアキトを見た。ソフィアもそこはシバと同意見だった。


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