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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第10章 姫巫女様の住む聖樹海

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記憶の種子

 それを受け取ったソフィアは


「これは何の実なんですか?」

と聞いた。ソフィアの手の上にはスモモのような果実が乗っていた。


「それ? うん。食べたら分かるよ」

とアキトはソフィアの質問には答えずに笑顔で言った……と言われても、どうしようか迷い不安げな表情でシバの顔を見たソフィアだったが、シバも笑顔で頷くので思い切って皮も剥かずに一口かじってみた。


「甘い……美味しい」

と思わずソフィアの口から声が零れた。恐る恐る口にしたソフィアだったが、予想外の甘さが口の中いっぱいに広がって驚いた。


「でしょう」

とアキトがドヤ顔で言った。


 ソフィアは、今度はがっつりとかじって食べた。

甘さが口の中いっぱいに再び広がっていった。気が付けばあっという間にソフィアはその実を完食していた。

ソフィアの手には小さな種だけが残っていた。


「その種はこの森に捨てて良いよ。また芽が出て新しい樹に育つだろうから」

とアキトは言った。

ソフィアはその言葉に従って種を森の中に投げ入れた。


「で、ソフィア、食べてどう?」

とシバが聞いた。


「美味しかったです」

とソフィアは笑顔で答えた。本当に美味しかった。


「他には?」

とシバがソフィアの顔を覗き見るようにして言った。


「他に?」

とソフィアは首を傾げて考え込んだ。


――甘くて美味しい以外に何があるんだろう?――


とシバの質問の意味を計りかねていた。

その時だった。脳裏に何かが浮かんだ気がした……が直ぐにその感覚は消えた。


「え?」

と小さく声を上げたソフィアはこめかみに手を当てた。


「何か感じた?」

とシバが聞いた。


「はい……」


「感じただけ? 何か情景が浮かんだりはしなかった?」


「はい。感じただけでした」


「そうかぁ。じゃあ、ステイタスを見てみて」

とシバはソフィアに自分のステイタスを確認するように言った。言われた通りソフィアはステイタス画面を目の前に開いた。そして一つずつステイタスを確かめていたが突然


「あ!」

と叫んだ。


「何があった?」


「ステイタスが増えています」

とソフィアは驚いたように小さく叫んだ。


「ほほぉ。何が増えた?」

シバは興味津々な表情で聞いた。


「危険察知能力が増えてます」


「今まで持っていなかったの?」


「はい」

とソフィアは答えると


「なんでこれが増えたのですか?」

とすかさずシバににじり寄り聞いた。


「さっきソフィアが食べた木の実だよ。原因は……」

とシバは笑いながら答えた。


「え?」


「あの実は『記憶の種子』と呼ばれている実なんだよ。この樹海で亡くなった賢者や冒険者、あるいはこの世界で亡くなった賢者の知識や経験が実になると言われていて、食べた人間にはその知識が伝授されるというんだよ」


「それで……?」


「そう、今回ソフィアが食べた実は『危険察知能力』の実だったようだ。今までそのスキルを持ってなかったんだったら当たりを引いたな」

とシバは笑って言った。


「そうなんですね」

とソフィアも納得できたのかホッとした様な表情を浮かべた。


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