クロードの魔力
「うむ。確かにまだまだ成長期の若者ではあるが、伸び方が尋常ではないな……この魔力量、まるで上位魔法の取得のような感じだな……」
とシバは呟いた。
「上位魔法? ……ああ、魔力を周囲から奪うというやつか……でもあれは基本的には、周囲の魔素を奪うんじゃないのか? 魔力とは関係ないんじゃないのか?」
とアキトは反論した。
上位魔法を行使できるほどの魔導士は、その行使に当たって魔素を周囲から取得する能力も得る。偉大な魔導士は一時的に魔素量を増大させ、臨界値を越える魔素量で強力な上位魔法を発動させる事もできる。クロードの魔力量はシバにそういったものを彷彿させたようだった。
「そうだ。その通りだ。しかし同時に魔素を奪うためには、元々それに見合う魔力を持っている事が必須だろう?」
「確かにそうだが……」
とアキトはまだシバの説明は理解できたが、納得はできなかった。
その様子を見てシバは説明を続けた。
「戦闘時の魔素供給のための奪取は上位魔法術者なら普通に行うが、それができる条件は元々持っている魔力がそれ相応にあるという事だ。そうだったよな?」
「確かにその通りだ。魔素を受ける器は人それぞれだし、それはほぼ生まれながらに決まっているはずだ。 俺たちはやらなかったが、魔力が高い魔導士はその魔素量を限界まで上げる訓練をやっている。クロードは魔導士の適性は無かったはずだが? 彼の適性は『竜騎士』だろう?」
とアキトは聞き返した。
「お前の言う通りだが、竜騎士には竜を扱うためにある程度の魔力が必要だ」
「それは俺も知っている」
とアキトはうなずいた。そのシバの指摘に何の異論もなかった。
「クロードは剣術を磨く事はやっていたが、魔力量を限界値まで高める修業なんか今までしていないだろう?」
「確かに。クロードは剣を振り回してばかりいたな」
とアキトもシバのいう事に思い当たる節があった。
「なのに魔力が増大している……どういうことだ? 何か変わった修練でもしたのか?」
シバ自身もアキトに語りながらも、今一つ納得する答えに辿り着けていなかった。
「いや、それは無いと思うが……この頃は、ソフィアと一緒に組むことが多かった……というぐらいかな」
とアキトは考えながら言った。
「そうか」
とシバは呟いた。暫く考え事をするかのように黙っていたが、
「……しかしコミュニケーション能力はそれ程数値は変わってないな」
とひとりごとの様にボソッと言った。
「お前、そこ、結構気にするよな?」
とアキトが呆れ顔で聞いた。
――今までの会話は一体何だったのか? こいつの思考パターンはいつもながらに読めん――
と本気でアキトは呆れていた。
「いや、別に気にしているわけではないが……無いよりあった方が良いだろう。冒険者辞めたら営業マンで食っていけるかもしれんし……」
「だから、それは絶対に無いな」
とアキトはシバの言葉を即座に斬り捨てた。
――この異世界のどこに営業マンを募集している会社があるんだよ――
と腹の底から呆れ返りながら……。
丁度その時、ソフィアがシバの存在に気が付いた。




