クロードの上達
「え? お前がそそのかしたのか?」
とシバが意外そうな表情でアキトを見つめた。
「そそのかしたとは、人聞きの悪い言い方をするな。まあいい……よく考えてみろよ、シバ。ソフィアは冒険者としては駆け出しだが、魔導学校魔導剣士科を首席で、それも飛び級で卒業しているんだぞ。その時点で剣の使い方はクロードより上手くてもおかしくはない……というか上手くて当たり前だ。その上ここで、隼人さんから個人指導を受けているんだぞ。それなのにクロードよりも腕が劣るとは不自然過ぎるとは思わないか?」
「うむ……確かにアキトの言うとおりだ」
シバには何の反論も無かった。
「納得してもらえたようで嬉しいよ」
とアキトは安堵の表情を見せて笑って話を続けた。
「そこで、このクロードの上達ぶりだ。剣を交えて語れる程度には腕を上げてきている。これならソフィアがそれなりに実力の一端を見せたところで問題ないだろうと思ったのさ」
「なるほど。確かにアキトの言う言葉には一理ある。それでクロードはどうだった? ソフィアに打ち負かされたんだろう? 泣かなかったか? 悔しがらなかったか?」
とシバはクロードの性格を考えて、クロードの精神状態を危惧した。
「泣かん泣かん。流石にソフィアもそこまではやっていない。微妙にクロードが隙を見せた時に勝負をつけているよ。それも美しい剣捌きでな。どっかの師匠のように阿漕な技は使わずにな」
とアキトは最後は笑って言った。ソフィアはクロードに最大限に気を使いながら、アキトの言う通りさりげなく実力の差をクロードに伝えていた。ちなみにアキトも真刀斎にシバ同様経験豊富な技で打ち負かされていた。
「流石だな……でも、クロードもこんな短期間でここまで腕を上げるなんて……何があったんだ?」
とシバは驚きながらクロードを鑑定してみた。
見て更に驚いた。
クロードのステイタスが一気に上昇していた。
「剣術の能力が一気に伸びているじゃん。そこら辺の騎士なんかでは今のクロードに勝てないんじゃないのか?」
と驚きは隠せないようにシバは声をひそめながら言った。
「その通りだ。お前はここ最近のクロードを見ていないからこの成長ぶりを知らなかっただろう」
とアキトは何故かどや顔で頷いた。
「なんで? なんでこんなに一気に伸びた?」
そのドヤ顔は気に入らなかったがそれには触れずに聞いた。
「それは……俺にも判らん」
とアキトは間髪容れずに返答して首を振った。ドヤ顔をした割には彼にも理解不能であった。
「ふ~む。伸びが尋常でないな。その上、魔力まで上昇している……」
とシバは驚きながら呟いた。
彼にも何故これほどクロードの能力が上がったのか理解できていなかった。剣術と力と速さの能力が大きく伸びていたが、それはシバもある程度予想していた。しかし、その伸び幅が予想を遥かに上回っていた。
それよりもシバが一番驚いたのは魔力量の増大だった。これまでもクロードに魔力が全く無かった訳ではなかった。しかしその魔力を行使するまでもなく、これまで彼は剣の力だけで戦ってこられた。
今回も剣術を伸ばす修練を繰り返し行っていた。しかしその剣術の能力が増しただけでなく、今回は魔力も増していた。数値だけを見れば魔法攻撃も可能であった。
2026.06.05 文章修正




