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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第7章 異世界転生の記憶 ソフィア

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思わぬ提案

「シバさん、元居た世界で『庶民の息子として俺は何をなすべきか?』なんて考えた事はありますか?」


「ははは……そんな事、ある訳ないだろう」

とシバは笑いながら答えた。


「ですよね。私も考えた事がありません。『健康になったら何がしたい』というのは病院のベッドの上で何度も考えましたけど……それが今は『第一皇女として私は何をなすべきなのか?』なんて事を考えているんですよ。それが当たり前の様に……この十七年間のソフィアとしての生活は、皇女殿下としての生き方を求められてきました。そんな私にこのチートですよ。皇女として『この力をどう使うべきか』って考えてしまっても仕方ないですよね?」


「それはそうだが……もしかして……冒険者になりたいと言ったのは……」

とシバはソフィアの言葉からある事に気が付いて言葉に詰まった。


それに気づいたソフィアは


「はい。皇女である事から離れようと思ったからです」

ときっぱりと言った。


「このままこの力を宮廷内で隠し通す事は出来ないと魔導学校で思い知りました。どんなに手を抜いても誰一人、私にかすりもしないのです。入学して半年もかかりませんでしたよ。あの学校で最強になるのに……できれば三年間隠し通したかったのですが無理でした。冒険者になりたくて選んだはずでしたが、そういう意味では魔導剣士科は選択ミスだったかもしれません」

とソフィアはそう言うと寂しげに笑った。


――この娘(こ)も色々と葛藤して生きて来たんだな――


とシバはソフィアに同情の念を抱きながら話を聞いていた。ソフィアが冒険者になりたかった理由は、自分のこの持て余した力を国を支配する為に、他の国を支配する為に、もっと分かりやすく言えば、他の国を征服する戦いに使わされる事を恐れていたようだった。

ソフィアの本当の力を帝国の人間が知れば、それはあり得ない話ではなかった。


 もしそうなればソフィア一人で幾万人の兵士相手に戦えるだろう。あっという間に幾万人という兵士たちを灰にする魔法を使う事になるだろう。ソフィアは『祖国の為』というひとことでそう言う事をやってしまいそうな自分を恐れていたのだった。


 転移者のシバとアキトにはその感覚が無かった。たぐいまれな力をもって皇族として生まれ、女帝として君臨できるかもしれない立場で育ったソフィアの葛藤は、シバの想像を超えるものであったであろう。


 今初めてシバはソフィアの本心を聞いた。


「そうかぁ……俺やアキトはこの世界に来てからも自分たちのやりたい事だけしか考えてこなかったからなぁ……」

と自分たちとは全く違う環境で育ったソフィアの気持ちを思いやった。


 そして暫く何かを考えるように視線を天井に向けた。


「そうだな……ソフィアが天下を取りたかったら取ったらいいよ。それも運命かもしれない」

とソフィアの顔をじっと見つめてシバは言った。


「え?」

とソフィアは聞き返した。


「本当なら皇帝になる予定ではなかったフレデリックが皇帝の地位に就き、君は第一皇女殿下だ。まだ確定はしていないが将来、君は皇太子となり女帝となり得る立場でもある」


「私がこの世界に転移して来たから、父上は皇帝になったと?」


「そこまでは言ってないよ。それは偶然だと思うよ」

とシバは首を振った。流石に彼もそこまでは考えていなかった。


「ですよね……」

とソフィアは安堵したような表情を見せた。


「でもね。ソフィアが女帝となり、この世界を統一するというのもあり得る話だよ。もしそうしたいというならやればいいと思う」


「え?」

ソフィアは再び驚いた表情を見せた。まさかシバにそれを勧められるとは思ってもいなかったからだ。

2026.11.08 誤字修正。


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