表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第6章 異世界転移の記憶 シバとアキト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/114

生きていた男

「なんか物騒だな」

とアキトが言うも


「いや、ちゃんと荼毘に付さないとな。このまま放っておくわけにもいかんだろう」

とシバが反論した。シバも余計な事にこれ以上首を突っ込みたくはなくなっていた。


「それもそうか」

とアキトは案外簡単に納得した。燃やす前に埋葬すると考えないのがこの二人、いやこの場合三人だった。


「では、お姉さん。盛大にやってくれたまえ」

とシバとアキトはその場から離れた。


「分かったわ」

とメリッサが杖を振り上げたその瞬間、死体だと思っていたその男の手が動いた。


「止め……て……まだ、俺は死んでない……ぞ」

とかすれた声がシバの耳に届いた。


「げげ! お姉さん! ちょっと待ったぁ!! まだ生きているよ! この人!」


「え? そうなの?」

とメリッサは杖から出かけた火の玉を慌てて引っ込めた。

三人は慌ててその男の介抱を試みた。


男は何とか死の縁から戻ってこられたようだった。


 その死にぞこないの男がフレデリックだった。

気ままな冒険に出た矢先、この森で妖精たちの悪戯に翻弄されて野垂れ死にかけていた。

そう、冒険の旅の最初の一歩で、この男は死にかけていた。


「あんた、一人でこの森に入ったのか?」

とシバが聞くと


「そうだ」

と悪びれもせずにフレデリックは答えた。


「あんた、冒険初心者だろう?」

とメリッサが聞いた。


「……そうだ。よく分かったな。一週間前旅に出た。剣技には自信があったのだが、精霊たちに翻弄されて気が付いたらこうなっていた」

とフレデリックは簡潔に事の顛末を語った。フレデリックは精霊たちに魔力と生命力を吸い取られて死にかけていた。しかし死にかけていた割には、なんだか偉そうだった。その態度にメリッサは少しムカついていた。


「おおかた、妖精におちょくられて頭に血が上ったんでしょう?」

とメリッサが呆れたように言った。言い方に少し棘があった。


「うむ。その通りかもしれない……いや、その通りだ」

偉そうな割にはフレデリックは素直に認めた。


「本当に初心者がこの森に単独で入るなんて狂気の沙汰だよ」

とメリッサが諭すように言った。


「そうなんだ……」


「あんた、前もって情報収集するって事を知らんのか?」

と今度はシバが聞いた。


――ゲーマーなら間違いなくそうする――


とシバとアキトは思っていた。彼らはネットで前もって調べてからRPGをするタイプだった。

しかしフレデリックはゲーマーでもなく皇子様だった。


「そういうのは誰かがやってくれていた」


「どんだけお坊ちゃんなんだ?」

とシバも呆れた。


「すまん……」

フレデリックは(こうべ)を垂れて謝った。皇子の割には本当に素直だった。


「いや、俺に謝らなくても良いんだけど……まあ、無事で何よりだわ……ところで、もしかしてお姉さんはここからコルム村に戻ったりする? それとも帝都まで行く?」

とシバがメリッサに聞いた。


「何も決めてないけど……一応、村まで戻るつもりだけど?」


「じゃあ、この人も連れて行ってあげてくれないかなぁ? 一人で帰らすとまた同じ目に遭うかもしれない」

とシバは頼み込んだ。流石にこのまま見捨てる訳にもいかなかった。


「この人ねぇ……」

と座り込んでいるフレデリックを見下ろしてメリッサは考えあぐねていたが、突然視線をシバとアキトに向けると


「ところで、あんたたちここの世界の人間ではないよね?」

と唐突に聞いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ