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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第6章 異世界転移の記憶 シバとアキト

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初めてのPK

「ほほぉ。お前たちは冒険者ではなく盗賊だったのか……」

とアキトが冷めた声で聞いた。


「いや冒険者だよ。ただ大した腕もないくせに、良い武器をひけらかしている奴が嫌いなだけさ」

とリーダー格の男が言った。この世界のこの時代。道徳観念などそれほど重視されない時代であった。ある意味弱肉強食が許されている世界でもあった。


「ふん。くそが。なら、盗れるものなら盗ってみろ」

とシバは吐き捨てるように言った。


 その瞬間、シバの背後から一人の男が斬りかかった。

シバはそれを難なく避けると、剣を抜きその男に振り下ろした。

男は笑いながら余裕で剣で受け止めようとしたが、シバの剣はその男の剣をいとも簡単に斬り落として、そのままその男も真っ二つに斬り裂いてしまった。


「え?」

とシバは思わず声を漏らした。まさか剣ごと叩き斬ってしまうとは思ってもいなかった。

それを見て同時に男たちも


「え?」

と驚いた。


 その隙にアキトが他の二人を表情も変えずに斬り捨てた。あっという間だった。

それを見てシバも我に返り、先ほどシバの武器に手を掛けようとした男を斬り捨てた。男の首が宙を舞った。


「なんなんだ……お前たちは……それがホワイトクラスの剣か?」

とリーダー格の男は驚愕しながら聞いた。


「あ、そうか……」

とシバはそのひとことで今自分たちが『ホワイトクラス』の初心者に見えている事に気がついた。


「まあ、ここまでやったらねぇ。今更これは無かったことにしてくれとは言えんわな」

とシバは首を振った。


「頼む。悪かった……見逃して……」

とそのリーダー格の男が言い終わる前にアキトが斬り捨てた。


そして無言のままシバも残る一人を斬り捨てた。


「あっけないもんだったな」

とシバがダンジョンに横たわっている死体を見て言った。


「本当にな」

流れとはいえ、二人にとっては初めてのPKだった。


「でも後味悪いな」

シバは床に転がる死体を眺めながら言った。


「確かに……」

とアキトもシバと同じように視線を転がる死体に向け


――ほんのさっきまでこいつらは生きていたよな。あっけないもんだな――


となんとなくこの世の無常を感じていた。


「その割にはアキトは冷静にぶった斬っていたな」


「この世界はそういう世界だと腹をくくったんだよ」

とアキトは答えた。彼なりにこの世界を理解し順応しようとしていた。出した答えがこれだった。


「なるほどね。ま、とりあえず今回はNPCを斬った事にしておこう」

とシバが言った。


「そうだな……こいつら……現地民だし、ゲームなら間違いなくNPCだし……」

二人は今斬り捨てた六人はゲームの中のNPCと思い込むことにした。そう思い込むことで心の安定を保てそうな気がしていた。これがこの世界の常識だと思いながらも、まだ割り切れない気持ちでもいた二人だった。


「で、どうする? こいつら?」

とシバが聞いた。


「どうするって……どうしよ?」

と聞かれたアキトもどうしようかと迷っていた。


「まぁ、ここはダンジョンだしこのままにしておいて良いんじゃないのか?」


「う~ん。そうだな……持って帰るわけにもいかんしな」

とアキトもその意見に同意した。


「それにしてもスキル隠蔽もほどほどにしておかないと……だな。レベルが低いままだとまた同じ目に遭いそうな気がしてならん」


「全くだ。早くギルド内のランクアップをしないとな」

とアキトもうなずいた。





 シバはその時の事を思い出していた。この場でこの話をソフィアに語る事は、流石に(はばか)られた。

ただシバたちはこの一件があったのちも、他の冒険者から絡まれて、何度か同じように叩き斬ってしまっていた。


 二人は『これがこの時代、この異世界の常識』だと、何度も自分たちに言い聞かせていた。その判断は間違いではなかった。この世界はまだまだそういう殺伐とした空気が当たり前のように存在する世界でもあった。

 

 もっとも彼らが自分たちの力の加減を上手く操れるようになった頃には、この村のギルドで彼らに難癖を付けるような向こう見ずな冒険者は、存在しなくなっていた。


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