4:新歓 その①
「さぁ、今日は何の日か分かるよな?」
少し経ち、11日
今日は
「歓迎会、ですよね?」
「その通りだ。という訳で体育館移動だぞ~」
優希が先に答え合わせをしてくれた
正式名称新入生歓迎会
先輩方が学校行事や委員会、部活などなど、学校生活におけるカジュアルな情報を学ぶ前半、新入生たちが仲良くなる中盤、クラスずつ別れ、同じアルファベットの2年との交流会を行う後半に分かれる会
それぞれ一時間ごとに分かれており、大ボリュームとなっている
まず暇なのは初めの一時間だけ
それからは、いつものように優希と関わるだけ
そして昼からは、2年との交流会
俺のクラスは1-Aだから、今回関わるのは2-A
そしてそのクラスには、知り合いがいる
いやはや、楽で助かるよ
そんなことを考えながら、俺は廊下へと出た
チッ
「はぁ…」
「そんなに疲れる事だったか?」
「まぁな」
あれから数日だが、かなり気軽に話してくれるようになった
とは言っても、特別という訳ではなく、周りと同じ程度に話しかけてくるってぐらい
それもこれも、全て俺がダルがらみしていただけなんだがな
「まぁ、次は学年全体だ。流石に楽しめるんじゃないか?」
「そうだね。ところで、休まなくてもいいのかい?」
「問題ない。それと、次の時間は俺とグループを組まないか?」
「断る理由がない。むしろいいのか?」
「ああ。それに依織と柚を紹介したいからな」
「そうか。じゃあ、楽しみにしているぞ」
「ああ!」
こいつはいつ何時も元気だ
そう感じつつ、ふと時計に目をやる
「おい、もうそろ時間だぞ」
その一言で優希も時計の方を見る
「やっべ!じゃまた後で!」
「おう」
そう言って彼はそこそこ急いで戻る
別にクラスな訳でもないのに、そこまで急ぐのか…
そう思いながら、彼の事を目で追う
そして座った瞬間、鐘の音が響く
時間は5分前
そう言えばこの日は、生徒達の時間遵守の意識を確認する日だったは様な気がする
そんな事お構いなしに過ごしていたから忘れていた
彼は優等生、一方俺は平凡などこにでもいる生徒
意識が高いと大変だなぁとつくづく感じられる
その後、前の台に源一郎さんが立ち、よくある事を言う
言っても、本人が悪いと思っていない限りは一切聞かないというのに、校長というのも大変だ
幸い、うちの学年は純粋で優しい心の持ち主が多い
これを機にみんな結構守り始めるんだから、いいことだろう
俺には関係ないけど
だって、話し相手もおらず座り続けるか、さっさと移動するかの二択だから
………はは
そんなこんなで、二時間目が始まる
内容はこうだ
まず、4~5人組を作る
このメンバーは、出来れば知り合いでは無く、一切絡んだことのない別クラスの子が好ましい
次にそのグループで自己紹介をし、軽いレクリエーションをする
簡単に言ってしまうと、自己紹介亜種みたいな物だ
与えられたタッチパネルを、生徒証で起動する
すると3問、問題が出される
内容はその生徒による物だ
それで相手の事を知ろう!って感じだ
1時間以内に終わるし、終わった後は自由に話していても良い
ってなわけで、仲を深めようって感じだ
という説明がされる
考案者は私だ
この前源一郎さんに何個か条件を出されて案出しを頼まれたが、そのまま採用された
今回のループだと屋上での相談だったが、屋上が解放される前は入学式の日に頼まれる
当時は悩んだものだ
ちなみに、定期的に別の物を伝えている
これは5種類目だ
学校探索や、適度に体を動かすもの、そもそもこんな数ではなく、もっと多くに別れてやる物もあった
個人的に、飽きないようにローテーションしている
そんな事を考えているうちに、みんなが立ち上がり始める
どうやら、4人で固まるパートが始まるようだ
折り畳み式の椅子を、畳み端に寄せる
俺も遅れずに端に寄せた
全員が端に寄せ終わった事を確認した清水先生が、宣言する
「それじゃあ、4人組に別れてくれ」
その言葉が響くと、各々が自由に動き、相手を探し始める
俺はその場に棒立ちだ
優希は柚、秋野さんと西織さんを呼びに行っている頃だろう
そう思い、棒立ちしていると、後ろから声がかかる
「ちょっといいですか?」
その声は、思っても居ない人の物だった
「はい、どうされましたか?」
「あ、えっと、一緒に組みませんか?っていうお誘いです」
「そうですねぇ……ところで、優希に誘われなかったですか?」
「へ?……どうだっけな」
そう言うと、彼女は顎に手を添え、考える素振りをする
今俺が話している相手こそ、優希が紹介したがっていた1人
秋野 柚という少女だ
彼女の説明は、自己紹介の時でいいだろう
「えっと、分かりません?」
「そ、そうですか」
俺は思わず笑いそうになってしまう
無いとかそうだったとかじゃなくて、分からないって答えるのが、彼女という感じだ
「あれ?」
そんな会話をしていると、横から知った声が聞こえた
「優希、来たか」
「来たけど…なんで柚が?」
「僕から誘ったの。同じ元平民の出だから」
「なるほど。それじゃあここの4人で」
「ええ」
そう優希が連れて来た少女が、頷きながら言う
彼女こそ西織依織
この前俺が絡まれている所を助けた人だ
俺が彼女を見ていると、話しかけてくる
「えっと、涼月さん…ですよね?先日はありがとうございました。」
そう言いながら深々と頭を下げる
「頭をお上げください。俺はあくまで彼に触れただけです。それに、俺は説明があった通り現在も平民です。そのような者に」
「今は平民なんて概念ありませんよ?」
「あ……」
そうだった
余りにも常識のようにとらえていたが、貴族や華族、平民という概念は6年前、俺が小3の時に消えたんだった
だが、まだ格差が残っているからある前提で話してしまうな
「それに、たまたま生まれが貴族だけですから。私自身、なにもしておりませんから」
「それでも、ですよ。正直な事を言いますと、貴女に頭を下げられたくありません。謝罪でもないんですから、頭を上げて感謝するだけで結構ですよ?」
「そ、そうですね」
会話を続けていると、秋野さんが割り込んでくる
「えっと、元から知り合いだったの?」
「入学式前に、先輩に絡まれたことがありまして、それを助けてくださいました」
「そんな事があったんだ~」
彼女はそう言いながら、俺に耳打ちしてくる
「僕に敬語は要らないから。後、この2人は」
そこまで言ったところで、俺の方から止めるように手の平を向ける
彼女がキョトンとした顔になった所で、俺も彼らに口の形が見えないようにして、腰をまげて彼女に耳打ちする
「大丈夫。そんな無粋なことしないから」
そう言って背筋を伸ばす
彼女の目はキラキラと輝いていた
まるで同士を見つけたかのように
どうもどうも
え~~、同じ日にここを書くことは今後やめましょう
どうせ、向こうが書き終わった後にここを書いているので、引っ張られます
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は十月二十一日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




