↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FLOOAT(フロート)  作者: Jake
第2章 2050年、世界大会TOP16

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/35

第5話(4/8)

 ピンチのときのために禁酒しているといっても過言ではない。


 どうも、明星晩鐘(あかほしばんしょう)です。


 1セット先制されたのち、ゲームは進んだ。現在のスコアは、野石研人……1セット、1点。それに対し、カマル・アイマン……2セット、1点。思った以上の差がついていない。想定では、野石君がリードしてる予定だった。


(なんやこれ。うわばみバンショーが聞いて呆れるわ。)


 俺はうちの選手と違って分別があるから口にはしない。


 舞台裏、寝っ転がってる野石君の横にいる。こいつはデバイスの中ですやすや寝てるだけに見える。全身が入るカプセル状のデバイスは、さすが世界大会だけあって最高級品だ。現実の感覚はシャットダウンされ、VR空間での刺激にしか反応はない。


 それでも、都市伝説的に語られる貫通──、フルダイブ中でも現実の感覚があるという説を思えば迂闊なことは発言できない。人生をかけた大一番に臨んでいるのだ。万が一にでも、あくまでコーチにすぎない自分が邪魔をしてはならない。


(考えなあかん……)


 選手の外付け脳みそとして機能しなくては。


 サウンドアクセシビリティを使った戦術は刺さったり、刺さらなかったりだ。重複距離(オーバーラップ)にも関わらず、だ。距離が離れているならまだ理解できる。それなら、野石君だって狙いを別にする。だが、狙い通りの展開になっている。お互いを視認できないほどの至近距離で戦いに持ち込めている。


 音を捉えての戦いで、常に、一方的に、有利に立てるはずだ。


(しかも、まったく機能してないわけじゃないのが不気味やねんな)


 重複距離に入ったとき、動き出しは研人君のほうが早い。間合いや姿勢を把握してるのは明らかにこっちだ。だから点が取れる。しかし、相手との差が少ないときもあり、そういうときは点が取られてしまう。──ちょうど今みたいに。


 現在のスコアは、野石研人……1セット。それに対し、カマル・アイマン……3セット。次にセットを落とせば、こちらの負けだ。参ったね、いや降参なんてせんけども。


 得点するときと、失点するときの差異はどこにある? 


(複雑な理由じゃない気がする。相手は大胆な手が打てるタイプやし)


 TOP16まで手の内を隠すのは、選手の基礎への信頼と、賭けに出ないと優勝できないという諦観から来てる。俺と同じ大穴狙いのギャンブラー思考。逆に言えば、盲点をつければどんな相手にも勝てる、と考えているはずだ。


 重複距離と同じだ。


 お互いに見えない状態なら、目以外に頼ったやつが勝つ。


 相手も目に頼ってない?


 だが、こちらが相手の視界を妨害しているときは勝ってる。


 そうじゃないときは──、そうじゃないとき? なぜ相手の視界を遮らない? それは、その必要がないからだ。なぜ必要がないのか?


 すでに視界がさえぎられているからだ。

 

『カマル・アイマンは透(・)明(・)人(・)間(・)や(・)』


 インターバルの10秒間で、すべて話さなくてはならない。マシンガントークはお手の物である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。