表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/42

第16話 <回想>鷲獅子の骨と美しき聖女

 俺がはじめて彼女と出会ったのは、魔術学校“鷲獅子の骨”で研鑽を積んでいたとき。魔術師協会と聖職者協会の交流のいっかんで、近くの修道院から成績優秀者が見学にきていたのだ。


 ちょうど魔術戦の模擬試合で、俺が勝利をおさめたところだった。庭園で汗をふいていると、ひとりのシスターが、修道士たちの列をはなれ――


「ごきげんよう。わたくし、マリエラ・ブレンガーネ・フォン=ローゼベルクと申しますわ……先ほどの魔術戦、感動いたしました! 火と水の魔力を組みあわせて、大爆発を起こすなんて……!」


 上気した顔をほころばせて、話しかけてきた。年のころは、俺と同じぐらいだろうか。背筋が伸びた優美な姿勢と、細くしなやかな肢体。雪のように白い肌。バストは……大変けっこうだ。


 プラチナブロンドの髪が、春の風にゆれる。澄んだラベンダーの瞳に、さくら色の唇……“歩く聖女像”といわんばかりのその姿に、俺の心臓が落雷(ライトニング)の魔術を食らったようにしびれた。


「は、はぁ……ありがとうございます。今までなかなか、うまくいかなかったんですけどね。たまたま、キレイに決まりました」


 どぎまぎしながら、スカした返事をする俺。


「うふふ、わたくし、もとは貴族の生まれでしたの。なのでいろんな魔術師のかたを、見る機会があったのですが……貴方からはものすごく、才能を感じますわ! よろしければ、こんどの安息日に、お茶でもいかがですか?」


「え、ええ……マリエラさんさえ良ければ、喜んで……。でも、戒律とかは、大丈夫なんですか? 俺のせいで、ご迷惑がかかっては……」


 とまどう俺に、彼女は――


「あら、“鷲獅子の骨”のウィザードさんは、紳士的ですのね……でも、心配ご無用ですわ。お日さまの下でお会いするぐらいなら、とやかく言われることもないですし……ここだけの話、わたくし、落ちこぼれですの。ちょっと殿方とお話したぐらいで、評価はこれ以上さがりませんから。うふふ」


 恥ずかしそうに笑って――その姿もまた可憐だった――俺に日時と場所を書いたメモを渡して、走っていった。


 つぎの日曜日、彼女と待ち合わせした俺は、いろんな話をした。


 反逆の疑いをかけられ、没落した家のこと。3人の姉を、つぎつぎと失ったこと。食い扶持を減らすために、やむなく修道院――“鷲獅子の骨”から10キロメートルぐらいの場所――に預けられたこと。


 あとは、先輩や同期のシスターから、いじめられていること……など。彼女は気にしていないと言っていたが、ときおり見せる寂しそうな顔に、俺は心を動かされずにはいられなかった。


 それから、週末のたびに彼女と逢瀬をかさねた。カラダ的なアレは、何もなかったが……俺も孤児で学院の寮に入っていたから、時間はたっぷりあったのだ。


 半年ほどたった、ある日。なんと彼女から、夜のデートのお誘いを受けた。場所は、正式名称は知らないが、夜咲き丘――1年のうち数日だけ咲く、月華草の群生地だ。


 地元では知る人ぞ知る、恋人たちの聖地――彼女はいつもの黒の修道服ではなく、町娘ふうの簡素なドレスをまとって現れた。夜露にぬれた裾が、透けるように揺れている。


「わたくし、あまりヤンチャはしない性分なんですけど……きょうは、特別な日ですから。ほら、御覧になって」


 彼女が指さす先で、たくさんの月華草が、いっせいに花弁を開きはじめていた。星屑を閉じこめたような淡い光が、広がっていく。


 しばらく無言で立ち尽くしていた彼女が、俺の腕にそっと触れる。その指先は、震えていた。


「じつはわたくし、今度、聖都に行くことに、なりましたの。修道院から1人だけ選ばれる、聖女見習いとして……」


 風に散ってしまいそうに弱々しい、彼女の声。


「だから、あの、よかったら、今夜、だけでも――」


 月あかりに照らされた頬は紅潮し、うるんだ瞳が、切実に何かを求めていた。


「マリエラさん、い、いけません」


 俺はそう言うと、彼女の手をそっと押しもどした。


 とうぜん、あんな事やこんな事、ア~ンな事をしちゃうつもり満々で訪れた俺。だが聖女候補生に選ばれたとあっては、これまで以上に清廉さが大事になる。


 一時の勢いで、彼女のキャリアに影を落とすわけにはいかない。苦渋の決断、というわけだ。


「……そうですわよね。わたくし、愚かなことを致しました。うふ、こんな落ちこぼれ、聖女失格の女を呼びつけるなんて、聖都も見る目がない、ですわね……」


 マリエラはそう言うと、身をひるがえして俺の正面に立つ。月華草の光が、彼女の輪郭を幻想的にふちどっていた。


「でも、いつか必ず、聖都に来てくださいましね……わたくし、ずっと待っていますから」


 彼女がほほえみ、ぎゅっと俺を抱きしめる。つぎの瞬間にはもう、遠ざかる後ろ姿しか、見えなくなっていた。


 丘に残された俺と、夜風にゆれる月華草。“鷲獅子の骨”を卒業するまで、俺はその記憶を、思い出さない日はなかった……

おまけ


主人公の初期ステータス


【名前】ヨハン=シュード

【種族】ヒューマン・男性

【職業】ウィザード

【称号】至高の暗黒魔導(?)

【Lv】13

【MaxHP】572

【MaxMP】103(チートスキル不使用時)

【STR(筋力)】14

【DEF(防御)】13

【AGI(敏捷)】15

【DEX(器用さ)】11

【INT(知力)】48(チートスキル不使用時)

【PIE(信仰)】19

【LUK(幸運)】30

【スキル】

火属性魔術 B

水属性魔術 B

風属性魔術 B

土属性魔術 B

光属性魔術 E

闇属性魔術 D

複合属性呪文 B

高速詠唱 D

MP節約 D

反信頼(アンチ・トラスト) EX



ゼラのステータス


【名前】ゼラトリス=フェステ

【種族】ヒューマン・女性

【職業】パラディン

【称号】ザリアの不沈要塞

【Lv】15

【MaxHP】1485

【MaxMP】29

【STR】35

【DEF】49

【AGI】18

【DEX】23

【INT】8

【PIE】22

【LUK】5

【スキル】

片手剣マスタリー B

盾マスタリー A

光属性魔術(エンチャントのみ) C

毒耐性 C

出血耐性 B

呪い耐性 D



エレのステータス


【名前】エレシダ=エルクレイン

【種族】ハーフエルフ・女性

【職業】ニンジャ(クノイチ)

【称号】森のプリティーフェイタル

【Lv】14

【MaxHP】645

【MaxMP】59

【STR】20

【DEF】8

【AGI】52

【DEX】40

【INT】18

【PIE】5

【LUK】12

【スキル】

刀マスタリー B

投擲マスタリー B

隠密 C

自然感応 E

通常攻撃即死付与 D

水属性魔術(忍術) C

風属性魔術(忍術) C

闇属性魔術(忍術) D



ネロのステータス


【名前】ネロディ=ピスカ

【種族】獣人(ネコ科)・女性

【職業】バトルモンク

【称号】獣人の隠れ里、力石コンテスト女子の部2連覇

【Lv】14

【MaxHP】964

【MaxMP】55

【STR】43

【DEF】22

【AGI】28

【DEX】23

【INT】5

【PIE】28

【LUK】6

【スキル】

体術マスタリー A

自然回復 B

会心率上昇 C

光属性魔術 C

土属性魔術 E

お買いもの上手 E

交渉術 E

鑑定術 D

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ