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完全無欠の幼馴染、実はポンコツで甘えてくるので、全部俺が支えてました  作者: なぐもん


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7話 緊張してる?

「よ、よろしくお願いします」


 翌日の放課後、体験入会のために紺野が生徒会室を訪れていた。あらかじめ聖羅と優乃には昨日のことを話しておいたので、すんなり受け入れると思っていたんだが……。


「よ、よく来てくれた。わ、わわわ私は生徒会長の金城聖羅だ」


 聖羅のやつ、どうした?


「ひゃ、ひゃい! 一年の紺野和樹でふ!」


 こっちは噛んだ!?


「お前らなんでそんな緊張してんだ?」


 俺が尋ねると、二人はまるで壊れたロボットみたいにぎこちなくこちらを向いた。


「い、いや、生の会長を前にしたら緊張しちゃって……」


 まず口を開いたのは紺野だ。

聖羅も手をもじもじさせていて、どこか落ち着かない。


「こ、紺野がいないと文化祭が開催されないと聞いたら緊張して……」


 このコンビちょっと面白いな。なんか根っこの部分が似てる気がする。


「あのな、今日は体験入会だ。紺野がガチガチなのはわかるけど、聖羅が緊張してどうする。いつも通りでいいんだよ」


「う、うむ……」


「私は副会長の桃井優乃です。よろしくね、紺野君」


 一方、優乃は近所に住む優しい年上のお姉さん、って感じの余裕をもった挨拶だ。


「ひっ!?」


 紺野がジリジリと後退りながら俺に視線を向けてくる。


 ……やっぱり気にしてるのか。

優乃のことを『おっぱいお化け』って書き込んだ事を。


 俺は「大丈夫だ。なにも言ってない」という意味を込めて紺野に向かって親指を立てた。


 紺野はホッとしたように胸を撫で下ろしている。


「紺野くん、どうしたの?」


「い、いえ! な、なんでもありません! 今日はよろしくお願いします」


 優乃はそんなことなど露ほども知らず、にこにこと微笑んでいた。

バレたら絶対怒るからな。

触らぬ神になんとやらだ――。


「ふふ。二人とも緊張してて可愛いね」


 さすがに優乃は落ち着いてるなと関心していたのだが、俺は気付いてしまった。


 ――おい、優乃。手に持ったお盆のお茶が震えているぞ。余裕ぶってるけど、お前もなのか!?


 はぁ……一体なんなんだこいつら。

――まぁ、いいや、そのうち慣れるだろ。


「紺野、早速だけど頼みがある」


「は、はい!」


「この文化祭の予算整理、できるか?」


 俺はさっきから睨めっこしていたノートパソコンを紺野に見せる。

そもそも、こいつを修正しないと文化祭の件が全く進まないのだ。


「は、はい! やってみます」


 ノートパソコンを受け取ると、紺野は部屋の中央に置かれた机に座って作業にとりかかった。


 カタカタという高速のタイピング音が響く。

まず、このタイピングスピードだけでこいつが凄いのは分かる。

聖羅と優乃はポカンとした表情でパソコン画面を眺めていた。


「どうだ? すごいだろ」


 俺がそう言うと、聖羅は興奮したように紺野の肩を掴んで前後に揺らしていた。


「すごい! 本当にすごいぞ!」


「い、いや、僕なんか全然たいしたことないですよ……あと、揺らさないで下さい……」


「こ、紺野くん、お茶をどうぞ」


 優乃は相変わらず震えてる手で紺野の前に湯呑みを置いた。

 

「お茶は嫌いかな?」


「い、いえ! とても……優しそうなお茶です!」


 なんだよ優しそうなお茶って。

優乃に対しては、まだ気が引けているのだろう……。


「ふふ。紺野くん、おもしろいね」


 優乃はお盆を抱えながらくすくすと笑っている。


「い、いや、そんな……」


 紺野は頬を赤くしながら、またパソコンに視線を戻した。





 その後もしばらく作業を続け、気がつけば外はすっかり薄暗くなっていた。


「今日はここまでにするか」


 俺がそう言うと、紺野は慌てて立ち上がった。


「は、はい! ありがとうございました!」


「礼を言うのはこっちだ。それで、進捗はどうだ?」


「そうですね……明後日くらいには全て修正できると思います。雛型はできていますからね。正しい形にすれば、提出できるようになると思います」


「さすがだ」


 言うのは簡単だが、実際にやるとなると難しい。

だがこいつは、それをさも簡単そうにやってのける。

本当に貴重な人材だ。


「紺野〜! ありがとう! 本当にありがとう!」


 聖羅は紺野の手をとってブンブンと振り回している。

あんまり遠慮なしにやるなよ!?

お前、力強いから!

怪我とかされたらマジで困る。


「い、いえ! 途中から僕、集中しちゃって全然周りみてなかったです。遅くまですいませんでした」


「ん? 謝らなくていいぞ? 紺野が来てくれて本当に助かっているんだ」


 悪意ゼロの純粋な言葉は、聖羅の立派な武器だ。

きっと紺野にも、こいつの親しみやすさに気付いてもらえたと思う。

 

「会長……」


 優乃も俺たちが使ったコップを洗いながら紺野に声をかける。


「紺野くん、お疲れ様。また明日も来てくれるのかな?」


「い、いいですかね? 僕でも」


「もちろん。いつでも大歓迎だよ」


 優乃は欲しいときに欲しい言葉をくれる。

少々、打算的なところもあるけど、こいつがみんなに好かれているのは単純に優しいからだ。

 

 紺野は一瞬きょとんとして、それから慌てて頭を下げた。


「よ、よろしくお願いします!」


「よし、じゃあ今日は解散だ。みんな帰るぞ」


 俺の号令とともに、みんなそれぞれバックを持って帰り支度を始めた。


「智也、一緒に帰ろう」


 目を輝かせた聖羅に誘われた。

今日は紺野に来てもらえたし、かなり上機嫌なようだ。


「悪い、今日はこの後、紺野とラーメン食いに行くんだ。また今度な」


 紺野は「えっそんな話聞いてないっすけど?」と言いたげに目を丸くしている。


「なに!? なら私も行きたい!」


 そうくると思っていたぞ。


 俺は優乃と視線を合わせた。

優乃はこくんと頷くと、聖羅の腕を掴んでぎゅいーっと引っ張る。


「男の子同士で食べに行きたいんだよ。聖羅ちゃんは私と駅前へケーキ食べに行かない?」


「なに!? ケーキ!? 行く行く〜。智也、すまない。急な予定が入った」


「おお。行ってこい行ってこい」


「ケーキ、ケーキ♪」


 聖羅の楽しそうな声色をBGMに俺たちは校門へ向かった。


 



 校門まで俺、聖羅、優乃、紺野の四人で出ると辺りはすっかり暗くなっていた。

時折吹く少し冷たい風が、肌に刺さってくる。


「また明日な〜」


 聖羅の元気な挨拶を背に、俺と紺野は並んで家路についた。


「どうだった? 生徒会は」


「はい……二人とも僕みたいな奴でも、とても優しく接してくれました。なんか……楽しかったです」


「そうか、良かったよ。ただ、その僕みたいな奴って言うの、そろそろやめろ。あいつらは人を見た目で判断しないし、紺野の能力は本物だ。自信持って大丈夫だぞ」


「あ、ありがとうございます。でも、やっぱり会長と副会長はすごく綺麗でしたし、活き活きしてますよね。どうしても自分と比べちゃって」


「まぁ男子は一にも二にも清潔感だ。その髪型は気になるな」


「あはは……やっぱそうですよね……」


 紺野は自分の前髪をくるくると指に巻いていた。


「やっぱ、切った方がいいですかね?」


「そうだな。見た目にも気を使えるようになると、見える景色も変わってくるかもしれないぞ」


「黒瀬先輩……なんか、かっこいいですね」


 紺野は関心したのか、俺の顔をまじまじと見つめてきて、続けた。


「ウチのクラスで噂になってましたよ。昨日来た、かっこいい先輩は誰だって女子に聞かれましたもん」


「まじ?」


「まじっすよ。生徒会の人だよって言っておきましたが」


「いや、そこじゃない。俺がかっこいいのはわかってる。それより、お前女子と話すのか?」


「なんかさりげなく、ムッとするようなこと言ってますけど、話しますよ? 僕に嫌がらせしてくるのってホントに一部の男子だけですから」


「そうか……」


 仮にも蒼高は県内でも有数の進学校だ。

ほとんどの生徒は節度ある行動をしている。

今どきいじめなんて頭の良い奴らからしたら、意味のないことに気付くもんな。


 そうした生徒は基本的に関わりを持たないという選択肢になる。ただ、どんなに優秀な生徒達でも一部には跳ねっ返りみたいなのもいる。紺野はそんなやつに狙われてるってことか。


「俺はどこにでもいる普通の人間だぞ?」


「いやいや、そんな人いっぱいいたら、僕なんか生きていけないですよ。それに、なんか黒瀬先輩って、陰の実力者みたいで憧れます。オタク男子特有の厨二心くすぐられちゃいますよ」


「安心しろ、紺野。お前もこの陰の道に引き摺り込んでやる」


「ま、マジっすか!? 眼帯とかいります? 左腕に包帯とか巻いちゃいます?」


「馬鹿者。そんな見てくれを意識していては陰の道では目立つことこの上ない。真の実力者はその能力を隠すものだ。余計な装飾などいらん」


「先輩……半端ねぇっす!」


「まあ、明日からはその辺も教えてやる。今はとりあえず腹が減った。ラーメン食いに行くぞ」


「あれってマジだったんすか!? てっきり、この話しをする為の嘘だと思ってましたよ」


「放課後にラーメン食いに行くなんて高校生っぽいだろ。今日は俺の奢りだ。ついてこい。あと親御さんに連絡しておけよ」


「イエッサー! どこまでもついていきます! アニキ!」


 ――やっぱりこいつ面白いな。


「アニキ! チャーハンと餃子もつけていいっすか!?」


「当然だ! チャーハンと餃子のないセットなど、湯のない温泉みたいなもんだ!」


「やっほうーー!!」


 紺野が楽しめたのなら、今日は上出来だな。

とりあえず予算が確定しないと、生徒会は前に進めない。


 まずはこいつをなんとかしてやらないとな――。

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― 新着の感想 ―
なんか紺野のほうがラブコメ主人公っぽいな?
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