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完全無欠の幼馴染、実はポンコツで甘えてくるので、全部俺が支えてました  作者: なぐもん


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5話 蒼高裏サイト

 ――翌日の昼休み。


 俺と聖羅と優乃は三人で生徒会室の机を囲んで昼食をとっていた。


「教室でいいじゃないか」と聖羅は言ってきたが、こんな学校を代表するような美少女二人と昼飯を食っていたら、俺は全男子生徒を敵にまわすことになる。

強引に生徒会室まで連れてきたのだ。


 それともう一つ。優乃の正式な入会手続きだ。

 

 優乃は生徒会の入会申込用紙を聖羅から受け取ると、キレイな字でさらさらと記入した。


「はい。聖羅ちゃん、書けたよ」


「ありがとう優乃。即、承認だ!」


 そのまま聖羅はボンと申込書に承認印を押した。


「これで、優乃は副会長だ。よろしく頼む!」


「はい! あらためまして、副会長になった桃井優乃です。趣味はお料理と食べることです。よろしくお願いします」


 にっこりと可愛らしい自己紹介を終えた優乃が一礼する。


 パチパチパチ。


 まばらな拍手が生徒会室に響く。

まぁ三人しかいないからな。


「しかし、優乃も入ったしこれで生徒会も安泰だな」


 聖羅が弁当のウインナーを箸で摘みながら呑気にそんなことを言う。


「まだ会長と副会長しかいないんだぞ。問題は山積みのくせにまだ発足さえしてないんだ」


 途端に聖羅は雷が落ちたように肩を震わせ、またべそをかきだした。


「うぅ。そんなにきつく言わなくてもいいじゃないか……今まで一人だったんだもん」


「まあまあ二人とも。喧嘩しちゃダメだよ」


 優乃がいつのまにか用意していた温かいコーヒーを三つ載せたお盆を持ってきていた。


「はい、どうぞ智也くん」


「ありがとう、優乃」


 優乃は俺の前にコーヒーを置くと、聖羅のいる会長机に向かった。


「聖羅ちゃんもこれ飲んで元気だしてね」


「うぅ……優乃、ありがとう……砂糖ありゅ?」


「ちゃんと三ついれておいたよ」


 さすが優乃だ。聖羅は優雅にコーヒーカップを揺らしながらブラックを飲みそうな雰囲気だけど、実は大の甘党だ。

この前も俺の家にあったビターチョコを勝手に一つ食うと、「……苦い……毒だ」とか言って牛乳を探していた。


「優乃〜ありがとう。大好きだぞ」


「ふふ。私も聖羅ちゃんが大好きだよ」


 聖羅も優乃には強がったりしないし、この二人はお互いのことをちゃんと分かっている。

聖羅が会長をやるなら、やっぱり副会長は優乃だな。

良いコンビだ。


 そして、優乃は自分の席にコーヒーを置くと俺の隣に着席した。なぜ机を一周して、わざわざ俺の隣に来るんだこいつは――。


「それで智也くん、次はどうするの?」

 

「あ、ああ。会計が今すぐ必要だ」


「「会計?」」


 聖羅と優乃の声が重なり合う。


「とりあえず今の生徒会の目標は、無事に文化祭を開催することだ。聖羅、間違い無いな」


「ああ。そうだ」


「ならこのぐちゃぐちゃになった、予算配分と各種申請を速やかに学校側に提出しなければならない」


 俺は二人に生徒会室の備品であるノートパソコンの画面を見せた。


「智也くんならできるんじゃない?」


「やろうと思えばできるが、一から予算を組み直さなくちゃならないし、そんなことをしていたら申請期間を過ぎて、文化祭が開催できなくなってしまうんだ」


「けっこうまずい状況なんだね」


「そうだ。だから会計には情報処理、主に表計算ソフトに強い人材が今すぐ必要だ」


「でも智也くんならなにか考えてるよね」


 ホントに優乃は聡いな。


「あてはある」


「誰?」


 俺は二人に見せていたパソコン画面を切り替えて、ブラウザを起動した。


「蒼高裏サイト?」


「そうだ。誰が運営しているのかは知らないが、ここには蒼高の情報が色々と手に入る。大体は生徒や先生の悪口とかなんだが、昨日面白い投稿を見つけたんだ」


 画面に出したのはスレッドの投稿画面。


『一年三組の紺野こんの、パソオタでキモい』


「中々辛辣な投稿だな」


 聖羅が腕を組んで眉をひそめた。


「面白いのはここじゃないんだ」


 俺はマウスのホイールを操作し、画面を下へスクロールする。


『文化祭の予算表いじってドヤってたし、先生に頼まれて資料作ってるらしいぞw』


「なんで生徒会の予算表がこのサイトに出回ってるんだ!?」


「俺が昨日流しておいたからだ」


「それ大丈夫なのか!?」


「大丈夫だ。これは俺が作ったダミーだ。本物じゃない」


 俺はニヤリと笑いながら続けた。


「わかるやつが見たら数式やら書式やらが気になるやつにしておいた。自分の学校の文化祭の予算だからな、できるやつは釣れるだろうと思ったんだ」


 優乃が小さく声を漏らす。


「つまり?」


「この紺野ってやつは予算表がめちゃくちゃなのが気に入らなかったってことだ。それを直せる技量もある。今の俺たちにとっては理想的な人材だ」


「なるほど!」


 聖羅が感心したように頷く。


「悪口ってのはな、ときには事実が混ざるんだよ。こいつはもしかしたら本当に有能かもしれない」


「ちなみに私の悪口とかもあるのか?」


「聖羅のはなぜか見当たらなかったな。優乃はあったけど……」


「えぇ、私!? なんて書いてあったの?」


「言っていいのか?」


「私はネットの悪口なんかで怒らないから大丈夫だよ」


「……おっぱいお化け」


「うんんんん!?」


 優乃は変な悲鳴を上げて俺からパソコンをぶん取ると、生徒会室の窓へ向かった。


「や、やめろ! パソコンは大事な備品だ。窓から放り投げようとするな」


「優乃! どうどう! 落ち着け」


 聖羅も必死になって優乃を羽交締めにしている。


「……好きで大きくなったわけじゃないもん」


 窓際で、優乃がむくれたまま小さく言う。

……しまった。これは優乃の地雷だったか。


 聖羅が慌てて背中をさする。


「そ、その……優乃は悪くないぞ! 立派な良い乳だ!」


「フォローが雑なんだよ会長」


 俺はため息をつきながらパソコンを取り返す。


「安心しろ。ああいう書き込みは、だいたい嫉妬だ」


「……嫉妬?」


「そうだ。目立つやつ、可愛いやつ、能力があるやつは書かれる。書かれないやつは、そもそも話題にすらならない」


「私、可愛いと思う?」


「当然、可愛いだろ? だから気にするな。どうせそいつは文化祭で焼きそば焼いて終わりだ。楽しい青春なんて一生訪れない」


「なっ!?」


 驚いていたのは聖羅だ。


「智也! 私は!? 私は可愛いか!?」


「なんだよ急に……」


「いいから答えろ!」


 なんだ聖羅のやつ……。


「智也くん、智也くん」


 優乃が小声で囁いてきた。


「なんだよ?」


「可愛いって言って!」


「はあ? なんだよ急に……」


「聖羅ちゃん、智也くんに可愛いって言って欲しいんだよ。言わないと最悪、学校に来なくなるよ」

 

 ――ああ、そういうことか。つまり聖羅は嫉妬してるって言いたいのか。


 面倒なやつだ。


「……可愛いよ」


「っ!? も、もう一回」


「嫌だよ! 一回だけだ」


「頼む! もう一回! 智也が初めて可愛いって――」


「やめろ聖羅! しつこいぞ」


「智也くん! 私! 私にも、もう一回!」


 なんで優乃まで混ざってくるんだよ。お前がこの状況を作ったのに……。


「なあ智也!」


「智也くん!」


「「どっちが可愛い!?」」


 こいつら一体、なにを張り合っているんだ!?

しかも話をすり替えやがった。ああ、もう面倒だな!


「聖羅は頑張ってるときが一番可愛い」


「っ!」


「優乃は笑ってるときな」


「っ!」


「「も、もう一回……」」


「もういいだろ!!」



 



 ひとしきり騒いだ後、俺はようやく購買のパンにありついた。


「とりあえず、放課後にでも会いに行ってみようと思う」


「なら、私たちも行こう!」


 聖羅が勢いよく手を挙げる。


「聖羅と優乃は留守番だ」


「な、なぜだ!?」


「一年生の教室に、生徒会長と副会長が同時に現れたらビックリさせてしまうだろ?」


「た、確かに」


「まずは俺が行って、どんな奴なのか見てこようと思う。必要なら声もかけてみるよ」


「じゃあお願いするね。でも智也君、私たちの力が必要ならいつでも呼んでね」


「ああ。そのときは頼む」


 俺は用意していた生徒名簿を確認する。


 紺野和樹こんのかずきか……裏サイトに書き込みされるような奴だ。

まともな人物じゃないんだろうな。


 だが、生徒会には必要なのは間違いない――。

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私は趣味で小説を書いてる、幼い子どもが二人いる父親です。


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― 新着の感想 ―
PCを窓から投げ捨てろのAAを貼ろうかと思ったけどさすがに自重しました 今作は女の子の造形からもコメディ寄りですね 塩対応の智也くんはデレてくれるのか
モテモテじゃん
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