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完全無欠の幼馴染、実はポンコツで甘えてくるので、全部俺が支えてました  作者: なぐもん


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3話 生徒会はけっこうハードモード

 ――翌日の放課後。


 俺と聖羅は生徒会室で、会長机を挟みながら今後の運営について話し合っていた。


「とりあえず、役員を集めて文化祭が開催されればいいんだな?」


「そうだ。一ヶ月後に文化祭を執り行うかどうかの職員会議がある。それまでに予算や申請などの全ての準備を終わらせなければならない」


「なるほど。けっこうハードモードだな」


「そうなんだ……うぅ……も、もうどうしたらいいのか分がらなぐでぇぇ……」


 聖羅は座ったまま会長机にペタリと額を押し付けて、また泣き出していた。


 昨日は少しマシになったとは言え、この会長机の書類の山を見れば誰だって不安になる。


「泣くなって。確かに大変だけど、不可能じゃない」


「ほんと……? なんとかなりゅ……?」


 うるうるした瞳でこちらを見つめる聖羅は、もはやダンボールに捨てられた子犬のようだ。


「大丈夫だ」


 俺は会長机の上にあった一枚の紙を両手で持って、聖羅に見せた。


「まずはこのお前が作った新生徒会の方針なんだがな……」


「ふふん。それは私が会長になってから寝ずに考えたものだぞ。どうだ? なかなかよくできているだろ?」


 得意気に言う聖羅には悪いが、俺も心を鬼にしなければならない。


 ――すまん、聖羅。


 俺はその紙を勢いよく破り捨てた。


「ああー! なにをする! 一生懸命考えたのに」


「まずこの馬鹿げた理想を捨てろ。計画性も根拠もまるでない。今は目の前の文化祭に全力を注ぐべきだ」


「しょ、しょんにゃあ〜(そ、そんなー)」


「兎にも角にもまずは役員集めだ。聖羅の生徒会はまだスタートラインにさえ立てていないんだぞ。俺たちが今すべきは副会長を探すことだ」


 俺がそう言うと、聖羅は驚いて立ち上がって机をバンと叩いた。


「と、智也がやってくれるんじゃないのか?」


「俺はあくまでも裏方だ。正式に生徒会に入るつもりはない」


「そ、そうなのか!?」


「しかも俺じゃダメなんだよ」


「な、なぜだ?」


「聖羅、副会長に必要なものってなんだと思う?」


 俺の問いに、聖羅は「うーん」と考えるように腕を組んだ。


「えーっと……私への忠誠心か!?」


「……そんなものはいらない」


「そ、そんなもの!?」


 俺は一つ大きなため息を吐いた。


「お前ほんとにポンコツだな……」


「う〜、ポンコツって言うなぁ」


 俺は仕切り直すように、前のめりになって聖羅の目を真正面から強く見る。


「いいか? 副会長に必要なのは、聖羅に負けないくらいの人気と信頼だ」


「人気と信頼?」


「そうだ。副会長っていうのは会長の代わりになる存在だ。いざというときには聖羅の代わりをしなくてはいけない。不本意だが、お前は学内での人気が異様に高い」


「不本意とはなんだ、不本意とは!」


「まぁ聞け! いちいち口答えするな」


 俺は泣きそうな聖羅にも構わず続けた。


「そんなお前が仮に不在だったとき、生徒みんなが俺の言うことを聞くと思うか?」


「私は智也の言うことならなんでも聞いてあげるぞ」


「真面目にやれ」


 俺は聖羅の額を軽く指で小突いた。

こいつ本当にやる気あるのか?

なんだか楽しくなって、はしゃいでいる気がする。


「あっ、痛ぁ! DV反対だぞ」


「お前と家庭を持ったつもりはない」


「むぅ〜」


 聖羅は不機嫌そうに頬を膨らませた。

迷子の子犬よ。

そんな上目遣いでも、俺ははっきりと言うからな。


「そして大事なことだが……」


「う、うん」


「副会長ってのはただ会長の代わりができるだけじゃダメだ」


「え?」


「会長が迷ったときに支える為にいるんだ」


「私を……?」


「そうだ。聖羅が転びそうなとき、隣で踏ん張れる奴が必要なんだよ。お前の周りにいないか? 自分に負けないくらい人気があって、慕われていて、支えてくれる存在は」


 実は候補はもう何人か頭の中で絞っていた。

学内の人気分布、人間関係、派閥。

その中で全ての条件に当てはまる人間は一人しかいない。

聖羅が頼ることができて、負けないくらいの人気者。

お前ならわかるはずだ。


 聖羅は腕を組んで「う〜ん」と考え込むと、両手をパンと合わせた。どうやら閃いたようだ。


優乃ゆのはどうだ?」


「ああ。俺もそう思ってた」



 ――桃井優乃。

俺と聖羅のクラスメイトで、よく聖羅の隣にいる穏やかな女子だ。

たんぽぽみたいにふわっとしているような女の子で、誰にでも優しく男女問わず人気がある。

いわゆる癒し系だ。


 ――ついでに言うと、おっぱいがデカイ!

それはもう全男子の憧れる程だ。


「よし、さっそく連絡しろ! まだ学校にいるかもしれない。時は金なり! 時間は有効に使え」


「しょ、承知した」

 

 聖羅はブレザーのポケットからスマホを取り出すと、一心不乱に優乃に電話をかけた。


「もしもし、優乃? 今、時間あるか? 実は――」


 それにしても聖羅のやつ、いくらポンコツとはいえ、優乃に気づかないなんて。

 

 ――それほど焦っていたってことか。

パニックになって周りが見えなくなるのは、どんなに努力しても変わらないな。


 ただ一つ懸念もある。

俺は優乃が少し苦手だったりする。


 あの距離感というか、ふわふわした雰囲気で調子が狂うのだ。


 だが、今はそんなことを言っている場合ではない。

とにかく人手だ。優秀なやつが一人でも欲しい。


「智也、優乃のやつ、体育館の裏で離れられないらしい。こっちに来てもらえるかだってさ」


 放課後の体育館裏だと?

……そんなところで行われることなんて、一つしかないじゃないか。


「聖羅、ちょっとま――」


「わかった。今すぐ行くから待っててくれ」


 聖羅はそう言って電話を切ると、俺の腕を掴んで引っ張ってきた。


「さぁ行くぞ智也!」


「待て待て待てー!」

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私は趣味で小説を書いてる、幼い子どもが二人いる父親です。


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