駄弁る奴
輝と猫を追いかけていった先、たどり着いたのは雑木林だった。山との境界が曖昧なほど木々が立ち並ぶ。
陰で涼しくなった所で、俺達は座り込む。
残念ながら猫は見失ってしまった。人間が野生に生きる動物に勝とうだなんて、100年早かったのだ。
「はぁ。遠くまで来たけど無駄足だったな…。」
座った状態で足を広げる。尻や手から伝わる草の感触は悪くない。
「そうでもないさ。」
「?何か収穫あったのか?」
「あぁ。」
輝は僅かに口角をあげて、上を向く。
木々に囲まれては日の光など当たらないはず。だというのに、輝は眩しそうに目を細めた。
「………で、何か得られたのか?俺に教えてくれよ。」
一向に話を続けないでいたので、つい気になり身を乗り出す。
「ふっ。キサマのそのちゃちな脳みそで考えろ。」
「お前なぁ…。あっ!分かった。道ばたで100円でも見つけたんだろ!」
もしくは草むらに座った時に、100円を発見したか。そのどちらかだろうと予想する。何せ、100円の重みは人間を幸せにするのだ。
「馬鹿め。ワガハイがそれっぽっちの小銭で満足すると思うか。」
「じゃ、じゃあ1万円札でも見つけたのか!?」
「えぇい!金から離れろ!阿呆!」
「えー。じゃあ収穫ってなんだよぉ。」
お手上げとなってしまったので、支えにしていた手を離し、そのまま倒れる。
それを見た輝は何故か俺と同様に寝っ転がった。
「ふむ。寝心地良くないな。」
「そうか?ふかふかでいいと思うけど。」
「ワガハイのベットの方が数段上だ。」
確かに輝の家のベットはオーダーメイドで作られているイメージがある。
入ったら最後、ものの数秒で眠りにつけそうだ。
「いいなぁ。俺にも試させてくれよ。」
「………気色悪い事を言うな。」
「き、気色悪かぁねぇだろ!?まっ、いいぜ!別に。将来稼いで俺専用の作ってもらうからよ!」
「ふっ。そうしろ。」
それから下らない話をしているとあっという間に日は落ちる。
当初の目的は果たせなかったが、悪くない時間だと思い、帰宅するのだった。




