阿吽の奴ら
ホームルームにて挨拶を終えた輝。
先生はそんな彼に席を案内した。場所は丁度、浅の隣だ。正直、不安でならない。
何せ、浅は引っ込み思案な少女。対する輝は傲岸不遜を体現したかのような奴だ。
浅が彼の圧に気圧されてしまうのはほぼ確実だろう。
「大丈夫か。浅。」
不安から、ホームルームが終わり彼女へ話しかける。
しかし、俺の考えは杞憂だったらしい。浅はヤケにやる気を出して鼻息を荒げていた。
「だ、大丈夫です……!テンアゲで、いきます、から!」
「そ、そうか。」
もはや空元気とも言える様子にやや不安は拭えないものの、彼女自身がそう言うのだから信じるほかない。
そんなことを思っていると、早速、浅が輝に話しかける。
「あ、明星さん……は何で登校してきましたか?私は……テクシーで、来ました!」
「浅!!テクシーなんて死語だぞ!死語!伝わらねぇって!」
「ふん。それぐらい知っておるわ。いわゆる徒歩だろう?」
「知ってんのかよ!?」
これは驚きだ。
偏見に過ぎないが、てっきり輝はその類の言葉を知らないとばかり思っていた。
そもそも、通学手段に徒歩があるとは思えなかったので、彼から徒歩という単語が出てきた事自体驚きだ。
「そ、それで……明星さんは、何で……学校に来たんですか!」
「何で、か…。そうさな。言うならばナウい乗り物よ。」
輝は足を組み、誇らしげに言う。
「ナウい乗り物…!」
「言っとくけど俺と静奈が連れてきたんだからな!?」
「ナウいだろう?」
「…………確かに。……それは、ナウい……ですね。」
「ナウいか!?」
むしろ原始的、古風な感じがするのだが。
俺には2人の感覚がさっぱり分からない。
「どうしても、というのならキサマも乗せてやろう。」
「い、いいんですか……!?」
「よかねぇよ!背負うのは俺と静奈だぞ!!」
第一、輝のかばんには純金が入っている。
ひとりでさえ重くて仕方がないのに、ましてふたりを乗せて運ぶなど夢のまた夢だ。
「全く。ノリの悪い奴だ。おい浅。こんな時はなんと表現する。」
口元に手をやり、真剣に答える。
「…………チョベリバ……でしょうか。」
「そう!分かっているではないか。キサマ、もしやエスパーだな!」
「は、はい……!チョベリグな、エスパーです…!」
「やかましいわ!!」
おかしなところで意気投合してしまったふたりに対し、俺はただ叫ぶのだった。




