エスパーな奴
なんとか学校へ到着した俺達は教室へ向かう。が、その前に早速トラブルが舞い降りた。
「!おい輝。下履きのままじゃ、廊下歩けねぇよ。」
輝はピカピカの革靴のまま廊下へ足を踏み入れようとしていたのだ。
「何の問題がある。ワガハイの靴はそこらの病院よりも清潔だぞ。」
「…………病院を、舐めないほうがいいと思う……。」
静奈が輝の言い分を断ち切る。彼女にしては珍しいきっぱりとした物言いだ。
「だが、ワガハイは上履きなど持ってきていない。まさか、靴下なんぞで歩けと?」
「いや。スリッパ借りられるぜ。だから今日はそれで……。」
「断る。」
「なんでだよ!?」
素早い否定に驚く。
しかし、納得はいってしまう。
彼のことだ。凡人の履いたスリッパなど履けるものか、とでも言いたいのだろう。
だんだん輝の事が分かってきた気がする。
そんな予感を証明するかのように、輝は呆れた様子で手を振った。
「ワガハイが凡人の履いた靴など履けるわけないだろう。」
「やっぱり言うと思ったぜ……。」
「ほぉ。なんだキサマ。もしやエスパーなのか。」
「…………今のは………誰でも予想できる、と思う。」
流石の静奈も俺と同じ考えだったらしい。まぁ、輝と少し話せばおおよその次の発言は予想できるだろう。
「誰でも予想が出来る…。なるほどな。ワガハイ以外の人間は皆エスパーというわけか。」
「そういうことじゃねぇよ!」
何故エスパーにこだわるのか知らないが。
兎に角今は、輝の靴を変える必要がある。
「うーん。どうすっかな…。輝。俺の靴履くってのは…。」
嫌だろうと推測しての問い。
だが、意外にも彼は頷く。
「よかろう。さっさと靴を差し出せ。」
「お、おう。」
理由は分からないが、好都合だ。俺は上履きを脱ぎ、輝へと渡す。
残念ながらサイズは一致しておらず、輝が歩く度、靴は余白を残してパカパカと口のように動く。
「ルイ。これではワガハイが不格好ではないか。」
「仕方ねぇだろ。サイズがぴったりなんてミラクルだし…。」
「なんだキサマ。エスパーなのだろう。ワガハイにぴったりの靴ぐらい用意しておけ。」
「だから俺はエスパーじゃねぇって!!」
小さい靴がよほど気になるのか、輝は穴が空くほどの眼力を送りながら廊下を歩く。
「………そんなに不満なら………貴方が足を、大きくすればいいと思う……。」
「足を大きくか。丁度ワガハイも考えついたところだ。やはりキサマら、エスパーだな。」
「………うん。それでいいよ、もう。……私、スーパーエスパー静奈。」
「スーパーエスパーってなんだよ!?そもそも足はすぐデカくなんねぇからな!!」
そんなこんなで教室に辿り着く。
なんだか朝からどっと疲れが押し寄せてきたようだ。
果たして今日一日、この調子で過ごせるのだろうか。
ほんのり不安を抱えつつ、扉を開ける。




