運ぶ奴
「…………おぶるしかねぇか。」
手っ取り早いが苦労するであろう選択。同い年の男子生徒を背負い込むというのは初めての経験なので気を引き締める。
「よし!」
早速、輝を背に乗せる。
「!?重いなお前!?」
「当たり前だ。ワガハイの鞄から服、全てが特注品なのだからな。当然、重さもある。」
「いや。それだけじゃ説明つかねぇ重さだぞ!?」
例えるなら大岩にのしかかられているような感覚だ。到底1人では耐えられそうにもない。
「もしかして………鞄に、何か…入ってる?」
静奈の問いかけに、さも当然かのような素振りで答える。
「?あぁ。純金の延べ棒が入っているが。」
「なんでそんなもん入れてんだよ!!」
なるほど純金が入っているなら仕方ない。とはならない。
重さの理由は分かったものの、納得はしていないのだから。
「何故?逆に聞くがキサマらは支払いをどうするんだ?」
「フツーにお札とか小銭だ!」
「…………というか……今時……純金で、物の売り買いは……出来ないと思う……。」
静奈の言う通りだ。コンビニなんかじゃ、純金など扱いようがないだろう。
しかし、だからといって問題が解決するわけではないので頭を捻っていると静奈が口を開く。
「………2人で、明星くんを……持つのはどう?」
「2人で持つ?」
「…………そう。」
彼女はしゃがみ込み腕を伸ばした。
「柳くんも……私と同じ、格好をして。それで……私たちの腕の上に、明星くんを……乗せるの。」
「なるほどな。」
つまりは神輿のようなものだろうか。
俺は輝から見て体を垂直にし、静奈と向き合う。
そして互いの手を肩に乗せる。橋のごとく肩と肩を腕で繋ぐ。
見計らった輝が俺達の腕の上に乗った。
「そんじゃ、立ち上がるぞ。」
「………うん。」
曲げていた膝をゆっくり伸ばす。徐々に輝の足が地面から離れていく。これまた偉そうにふんぞり返っている様子だ。
「ふむ。悪くはないな。もう少し速度をあげろ。」
「む、無茶言うな!お前の純金のお陰でこちとら腕がいてぇんだ!」
「これ以上……我儘を言うなら……振り落とす。」
「それはやりすぎたけどよ!!」
今日の静奈はひときわ恐ろしい。
あまり刺激しないように注意を払いながら、輝を学校へ連れて行くのだった。




