表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
摩訶高校の奴ら  作者: とんぼ。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
55/67

迷う奴

 「おはようせん!」


 登校した俺はせんへ声をかけに行く。


 「お、おはよう……ございます。やなぎさん…。」


 今日び控えめな印象を受けるせん。だが、今はイメチェンに挑戦中。

 きっと、あと数日をすれば彼女が自分に自信を持てるようになるはず。


 「そんでよ。次は何する?なんも決まってなかったら美奈みなさんにでも聞いて…。」

 「そ、その話…ですが、」


 おずおずと口を開く。


 「イメチェンは……もう、いいかなと……思いまして……。」

 「そ、そうか。…また、なんかあったら言ってくれよ!」

 「……………はい。」


 彼女の様子は何処かおかしかった。少なくとも俺はそう感じた。が、それは気のせいかもしれない。

 出会ってほんの数日。そんな関係性から、相手の何が見えるというのだ。


 それに、この違和感はただの杞憂かもしれない。彼女は幼子ではないのだ。他人が心配しようがしまいが、問題ない可能性はある。


 それでもやはり、胸には小さなつっかえがあった。


 棘ほど鋭くなく、しかし確かに異物であると主張する不和。

 一体どう対処すればいいか分からないまま、席につき朝のホームルームを過ごした。


 休み時間。トイレへ行き、教室へ戻る。


 その途中。白い廊下を歩いていると、突然後ろから袖を引っ張られる。


 「!?」


 ややバランスを崩しながら後ろを見ると、そこにはクラスメイトの楠橋くずはし 不和ふわがいた。


 「ど、どうしたんだよ。いきなり。」

 「べつにぃ。ただお話しようと思っただけだよぉ。………大好きなクラスメイトとお話するのに理由が必要かな?」

 「……お前、相変わらず適当言うよなぁ。ま、いいけど。」


 ヘラヘラと笑い、大好きなどとのたまう彼女の言葉はそのまま信じてはいけない。

 話半分ほどで充分だ。でなければ気力がかなり削がれてしまう。


 「……きみ、最近よぉく話してる子がいるでしょ?どうしてかなって、気になったんだぁ。もしかしてその子が好きとか?」

 「ちげぇよ!恋バナ好きすぎだろ!」

 「あはっ。他人のは面白いからねぇ。」


 廊下の壁にもたれ、腕を組む。


 「とにかく、そういうわけじゃねぇよ。ただせんがイメチェンしてぇっつうから手伝ってんだ。……まぁ、止めるらしいけどな。」

 「ふぅん。…………そもそも、どうしてイメチェンしようとしたの?」

 「あー。あいつ、影が薄いって言ってたからよ。なら存在感出すためにイメチェンしようって話になったんだ。」

 「へぇ。でも、もうイメチェンはしないんだよね。」

 「………あぁ。そうみたいだ。」


 肯定するものの、やはり気になる所はある。


 どうして突然、イメチェンをやめるだなんて言い出したのだろう。

 

 気を張るのが疲れてしまった、だとかそんな理由か。もしそうなら、俺が口出しすべきではないかもしれない。

 結局のところ、今どうすべきか分からない、堂々巡りの状況というわけだ。


 「別に悩むぐらいなら何もしなくていいんじゃないの?」

 「え。」

 「無理に踏み込んだところで面倒だもんねぇ。クラスメイトって言っても他人だし。」

 「…………少なくとも他人よりは近ぇと思ってる。……だから、出来ることはしてぇ。」


 あくまで俺は、だが。


 確かに不和ふわの言う通り他人と切り捨てられてしまうかもしれない。


 しかし、本当にそれでよいのだろうか。


 クラスメイトとやらはそれほど非情なものなのだろうか。


 俺には分からない。病室で過ごすばかりだった俺には正解が見えてくることはなかった。

 だからこそ。やはり、何もしないままは嫌だ。


 「どうすればいいか分からねぇ。でも、何もしねぇのはやっぱ嫌だ。……まずは、せんと話す。行動はそれからだ。」

 「…………………だってさ。せんちゃん?」

 「!?せん!?」


 不和ふわの寄りかかった壁。その後ろの曲がり角からせんがおずおずと顔を出す。


 「いやぁ。念のために呼んでおいて良かったよぉ。わたしってば策士だなぁ。」

 「…………最初から言ってくれりゃあ……。」

 「それじゃあ意味ないよ。さぁ、お話しようか。」


 不和ふわの根回しに感謝を覚えつつ、せんと向き合う。


 先の会話が聞かれていたとなると気恥ずかしさを感じるが、それは置いておこう。


 今は目前の彼女と向き合う時だ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ