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摩訶高校の奴ら  作者: とんぼ。


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44/50

答えを出す奴

 クラスでのボーリングはあっという間に終わった。


 俺はあれからずっと不和ふわの言葉が頭に残り、集中なんて出来なかった。

 

 ボーリング場からの帰り道。


 「それじゃあ私達はこっちだから。留唯るいくん、せいちゃん。気をつけて帰るのよ。」

 「はい。さようなら。」


 美奈みなさんへ挨拶する。その横では何故か不和ふわにのぞみが掴まっていた。


 「…………たちばなちゃん?わたしに、何か用でも……。」

 「おう!あたしはまだあんたと格ゲーしてないからな!これから行くぞ!ついて来い!」

 「は、ちょっと、まっ、」


 珍しく不和ふわは戸惑いを見せて、のぞみに連れられていく。残された俺と静奈せいなは大人しく帰ることにした。


 せっかくのチャンス。何か話そうと言葉を手繰り寄せるが、うまくまとまらない。


 胸には不和ふわの言葉。


 俺が静奈せいなに嫉妬しているという言葉。


 もし。もし本当に、そうであったら、俺はどうしようもない人間だ。

 勝手に彼女に嫉妬して、勝手に彼女を避けたがっているということなのだから。


 静奈せいな摩訶まかこうに入って初めての友人。故に、そんな醜く情けない姿で一緒にいたくはない。


 混濁こんだくする意識の中、不意に静奈せいなが口を開く。


 「…………今日、楽しかった。………皆と行けて良かった………。」

 「あぁ。俺もだ。」

 「…………でも、全部ストライクじゃなかったのは……悔しい。」

 「全部は難しいだろ。プロでも目指すのか?まぁお前ならなれそうだけど。」


 車道を1台の車が通る。夕暮れ。通りがかった車は既にライトをつけて走っていた。


 「…………ボーリングって……プロ選手とか、いるのかな……。」

 「うーん。どうだろうなぁ。でもいたらなんて名前だろ。プロ…ボーラー?とか?」

 「ふふっ。………それだと……人じゃなくて、ボールそのものみたい……。」

 「確かに。そうだな。ははっ。」


 下らない話は不思議と弾む。


 胸のつっかえはない。ただ、静奈せいなとのなんでもない会話が楽しかった。

 それに気付いた俺は、自然と彼女の顔を見る。


 「………どうしたの……?」

 「いや。なんでもねぇ。…ほんと、なんでもねぇんだ。」

 「?そっか。」


 言葉通り、何でもないことだ。


 彼女と話して、彼女の顔を見て、それがはっきり分かった。

 今なら胸を張って言える。俺は静奈せいなを疎ましく思っているわけではない。ただ寂しかったのだ。


 俺の知らない話を、友人としている彼女がどこか遠くに感じたのだ。

 それもまた情けないが、疎んでいたわけではないという事実に安心する。


 俺は静奈せいなの友人だ。


 静奈せいなは俺の高校はじめての友人だ。そんな彼女を決して嫌ってはいなかった。


 「明日から学校だな。」

 「………うん。………先生に会えるから、楽しみ……。」

 「前向きだな静奈せいなは。まぁ、俺も学校は好きだけどよ。そうだ。今度は先生もボーリングに誘おうぜ。」

 「…………いいね。……というか、先生……誘われてなかったの知ったら………拗ねちゃうかも……。」

 「かもなぁ。」


 自宅の前につく。

 

 俺の家のすぐ隣は静奈せいなの家だ。だから、俺はそこで彼女と別れた。


 また明日、と手を振る姿が映る。今日、外出をして良かったと心の底から思った。

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