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摩訶高校の奴ら  作者: とんぼ。


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43/50

ボーリングする奴

 休日。俺はクラスの皆とボーリングに来ていた。発案者はなんとあの不和ふわだ。

 

 「なんか企んでんのか。」


 隣を行く不和ふわに尋ねる。


 「ん?まさかぁ。ただわたしはみんなと仲良くなりたいだけだよぉ。」

 

 わざとらしく手を振り答えた彼女の姿は、本心からくるものには見えない。一体何を狙っているのだろう。警戒しつつボーリング場へ辿り着く。


 「静奈せいなちゃんはボーリング得意かしら?」


 到着するなり、ボールを指にはめながら美奈みなさんが言う。俺も気になっていたところだ。


 「…………ううん。……でも、皆とするから楽しみにしてた。」


 そんな言葉に、のぞみが照れくさそうに笑う。


 「ま、まぁ、あたしも楽しみだったぜ!」

 「あらら。のんちゃんってばせいちゃんには素直なのねぇ。」

 「………………だね。」


 3人が仲睦まじく話す。その輪のなかに入るのは少し憚られた。


 俺の様子を見てか、不和ふわが脇腹をつついてくる。

 顔には嫌なニヤケ顔が浮かんでいた。だが、何か言う前にボーリングのピンが倒れる音がする。美奈みなさんが早速ボールを投げたのだ。ピンは3本残される。中々上手だ。


 今回はグループ分けすることなく投げるので、再び美奈みなさんの番。


 ごろごろとボールは右2本のピン目指して転がっていく。

 カコンッと爽快感のある音。ピンは見事に倒された。


 ストライクやスペアとはいかないが充分すごい。


 「……次、やなぎくんだね。……がんばって。」

 「お、おう。」


 突然声をかけられ驚いたものの、腕をまくりボールを手にする。


 腕をひき、思い切り前へ。


 勢いののったボールは、そのまま全てのピンがなぎ倒す。


 「ストライク!すごいじゃないの留唯るいくん。」

 「俺もびっくりしてます。まぁマグレだと思いますけど。」

 「………運も、実力って言うよ。………私も頑張らなきゃ……。」

 「ははっ。やる気いっぱいだな。」


 不思議なことに、静奈せいなとは普通に話せていた。以前感じた違和感はない。そのことに安堵し、静奈せいなの応援をする。

 彼女は綺麗なフォームでボールを投げる。後ろに下げた右足から手前の左足まで安定感のある姿勢だ。


 そこから繰り出されるボールはやや左カーブを描いたかと思うと、緩やかに中央へと行き全てのピンを倒す。


 「わぁお!すごいわねぇ。せいちゃん!」

 「まっ。あたしは分かってたけどな。この間ゲーセン行ったときもバスケのゲームうまかったし。」

 「………………バスケとボーリングは、だいぶ違うと思う………。」

 「私もそう思うわ。」

 「い、一緒だろ!一緒!」

 「そうかしら…。」

 「……うーん……。」


 ボーリングたバスケの違いについて3人は盛り上がっていた。

 

 正直、話の内容はどうでもよかった。ただ3人でゲームセンターへ行った話。そこでの話が俺に引っ掛かりを覚えさせる。

 考えてみれば当たり前のことではある。俺は遊びに参加していないのだから、混ざることはできない。


 それでも。


 頭で理解していても、胸がつっかえた。


 「あー。俺、トイレ行ってくる!」

 「確か突き当たりにあったわ。」

 「分かりました。ありがとうございます。」


 美奈みなさんへ一礼してトイレへ向かう。


 曲がり角を曲がった先で、不意に裾を引かれた。


 何かと思い振り向くと、そこには不和ふわの姿があった。


 「…………なんだ。連れションか?女子ってのはやらねぇと思うけど。」

 「やだなぁ。女子こそトイレにでたまるものだよ。………まぁ、今はそういうワケじゃないけど。」


 ヘラヘラとする彼女を前に、表情を硬くする。やはり不和ふわは何かを企んでいた。その目論見が、今分かった気がする。


 「………お前、俺の様子を見て面白がってるだろ。」


 そう言うと彼女の口角はさらに上がる。


 「わぁ。バレちゃった?ふふっ。さっきのきみの顔、可哀想で情けなくて面白かったよ。……ねぇ。君が静奈せいなちゃんを避けたいっていう理由教えてあげようか。」


 不和ふわはイヤな笑みのまま顔を近づける。


 「きみはあの子が自分より目立つのを許せないんだよ。だから、あの子のまわりに人が集るのが嫌なんでしょ。」


 ゆっくりとそう告げる。


 つまりは、なんだ。俺が静奈せいなに嫉妬しているということか。


 「………そういう、わけじゃ、」

 「本当にそう言い切れる?もし、そうじゃないなら、きみはどうしてあの子を避けたいの?」


 何も言い返す事が出来ない。


 先まで静奈せいなと話すことが出来ていたはずなのに、気付けば彼女のいる場から逃げ出していた。


 沈黙のまま突っ立つ俺が、不和ふわの瞳に映る。

 それはひどく情けなく見えた。

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