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恋の魔法で悪役令嬢になりさがったので、名誉挽回いたします!  作者: 白雲木


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31.自白

 「あー!やっぱり!あると思ったわぁ!!」



 ロリアは今日1番の邪悪な笑みをたたえて、薬瓶を掲げていた。



 「それは何なの?」



 不快なものを見るようにオルレアはロリアに聞いた。



 「何って、自白薬よ。しかもこれ、わたくしがプレゼントしたものだわぁ。」



 「何でそんなものを!」オルレアは半ば悲鳴のように言った。



 「わたくしが強く魔法の影響を受けている時に作らせたんでしょうね。魔法陣の不備に気がついて、わたくしたちの正しい情報を聞き出そうとしたんだわぁ。メリアがその手に持っているものを使って、わくしたちを操作しようとしていたようだし。」



 「あぁ。これ?何なの?」とメリアはロリアに聞いた。



 「恐らく、王家に伝わる秘宝、『幻惑の水晶』だわぁ。まさか本物をお目にかかれる日が来るなんて。」 



 ロリアはうっとりと水晶を眺めている。



 「何で秘宝のことなんか知ってるのよ。」オルレアは怪訝そうに言った。



 「ふふふ。そう思うわよね。でもね、これって古い文献には書かれているものなのよ。古代文字で記されているから、読めるかどうかは別だけど。」



 今度はカミールが答えた。



 「国家機密なんじゃないの?」



 メリアは思わず聞いた。



 「あら、バレた?ええ、そうよ。今回の妖精の魔法にかかる以前に、ちょっとおねだりしたことがあったのよねぇ。」



 ロリアがニヤリと笑う。カミールも何やらニコニコしている。



 「まさか……。」



 「どうしても読みたかったからちょっと薬を使ったの。でも1冊だけだわぁ。王家専用の書棚を覗かせてもらったの。」



 「記憶もちゃんと修正したから問題ないわ。」



 カミールの言葉にメリアはギョッとする。記憶を書き換えるなど、妖精達が使ったとされる闇魔法のようだ。



 「記憶を治癒するだけじゃないの?」



 「光属性の魔法は常に闇と共にあるの、とだけ言っておきましょう。」


 

 カミールの含みのある言い方に、メリアは背筋がざわつくのを感じた。カミールはパッと微笑んで言った。



 「今は私の話より、イセン様に話を聞くのが先よ!間もなく彼の側近たちが駆けつけるはずだわ。聞けることは聞いておきましょう!」



 カミールはそう言うと、未だ意識が戻らないイセン王子に回復魔法をかけた。「ううっ。」と意識が戻ったところで、間髪入れずにロリアが自白薬を飲ませた。戻りかけた意識はまた遠くに行ったようだ。イセン王子はぼんやりとした目つきになった。

 


 「まずは、そうねぇ……。わくしたちにかけた魔法はなんなのかしらぁ?」 



 ロリアの問いに、イセン王子は抑揚のない声で答えた。     



 「王家にのみ継承される妖精の魔法の1つ。『婚約者を決めるための恋の魔法』だよ。この魔法は対象の人物の好意を操作できる。恋の障害になりそうなものは全て封印してくれるから、不都合な記憶も忘れさせることができるんだ。魔法陣に対象の人物の真名を魔力で記して、髪色、目の色を花や宝石で表して個人を指定する。魔法の影響度は水晶で調節できる。水晶は使える量に上限があるから、決められた量を対象の人物に割り振るんだ。」



 「なぜ、わざわざそんなことを?麗しいイセン様なら、なにもしなくてもおモテになるでしょうに。」



 今度はオルレアが聞いた。



 「確かに、僕はモテるかもしれない。美しいからね。でもね、誰でもいいわけじゃないのさ。僕は君たちのような名家の御令嬢にモテなければならなかった。僕が入学する前、婚約者の候補としたい令嬢を、王と王が信頼する一部の臣下による極秘会議で決められたんだ。父は恋愛結婚だったけど、父上は僕をあまり信用してなかったから。」


 

 「そんな。イセン様は素晴らしい感性をお持ちなのに。」



 オルレアは励ますように言ったが、自白薬の制御下にあるイセンには響かない。



 「それではなぜ私たちだったのかしら?」



 今度はカミールが聞いた。



 「そうだね。まずは君、カミール。君の母君は王室の医師。父君は防御隊の責任者だよね。」



 防御隊は、町を守る城壁を作り、維持するのが任務だ。強固な壁を作るスペシャリストに加え、魔獣忌避のバリア、ベイルを扱える光属性の魔法使いがなるものだ。ベイルは魔獣の呪いだけでなく、魔法による攻撃も防ぐことができる。王都や王都の外の町の人々が安心して生活できるのは、彼らが作る防護壁とベイルのおかげだ。



 「パナケイア家は君の母君が王室医師になったことで、さらに王室との繋がりが強固になった。しかも君の美貌は入学前から話題になっていたからね。」



 「まぁ。」と言って、カミールは事務的に照れた振りをした。



 「そして、ロリア。ヒュギエイア家は薬の流通で古くから一財を成す名家。国内有数の財力をもつ。ラズカスイ家と共に王室へも薬を卸していて、パナケイア家ほどでなくとも繋がりがある。」



 「そう。」とロリアも素っ気なく言った。



 「私は?」



 オルレアがおずおずと聞いた。



 「アメノーズメ家はただの芸能一家じゃないからね。オルレア、君は気づいていたかい?君たちが演舞したあとは空気が変わるんだよ。他国との会議が難航していても、君たちの演舞を見せれば何もかもいい方向に運ぶことができるんだ。妖精の魔法による精神操作とは違う。純粋な感動によって空気を変えてしまうんだ。嫌なモヤモヤを晴らして、気分を明るくしてくれる。精神の浄化と言っても過言じゃない。これは風属性の魔法使いが稀に持っている能力なんだよ。特にオルレア、君はその才が秀でている。とあるパーティーで君の演舞を見た父上が気がついたんだ。だから君は選ばれた。」


 

 「そうなのですね。」



 オルレアは少し寂しそうな顔をした。「イセン様が私を選んだわけではないのですね?」とも言いたげだった。



 「そして、ウィクトーリア家のメリア。曾祖父の代から護衛騎士として王家と繋がりがある。長兄は護衛隊員、次男は護衛隊の研修生だね。僕の母上と同じで君自身も武闘派だ。王室の矛になってくれると期待されたんだ。」


 

 イセンはメリアにだけ睨むような視線を送った。


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― 新着の感想 ―
イセンにとってメリアは、好敵手というより、目の上のたんこぶ的存在ですかね?
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