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第4話 近所の世話焼き神様



「はあ……。何なんだあの宗教連中め」

 何とか撒いて、帰って来た。

「ただいまー……。あ、誰も起きてな」

「アオ、どこ行ってたの」

 建物の入り口で待ち伏せていたらしい藍姫に詰め寄られた。しまった。あの集団のせいで時間がかかってもう七時だったのか。

「早起きしたから公園に行っただけ。なんだけどなあ……宗教集団に捕まっちまった。何とか撒いたが、なかなかしつこかったぜ」

「朝ごはん出来てる。……というかもう冷めた」

 黒姫がそれだけ言って、自室に向かった。

「タイミング悪すぎだろー。なんでこういう日に限ってみんな早起きなんだか」

 普段は七時過ぎくらいに朝食になるのだ。俺が出て割とすぐにみんな起きたなんて、信じがたいくらいだ。

 黒姫に続いて部屋へ戻る藍姫を見送って振り返ると、甘茶が立っていた。

「あれ、小鈴は? まーさかまだ寝てんのか?」

「うん。五回起こしたけど起きてこない」

「どんだけ寝たら気が済むんだよ……」

 話しながら、フードを取ったはずが——もう既に、取れていた。

「しまった……」

 あの怪しい奴らに捕まって暴れた時に取れていたのだ。そうとしか思えない。

「アオ兄、まさかだけど」

 勘のいい甘茶も俺の 仕草を見て気が付いたらしい。まずい。言い逃れできないぞこれは。

「その格好で、宗教の人と会ったんじゃないよね?」

「う……。そ、れは」

「嘘だ……。アオ兄、撒けてないの? 詰めが甘すぎるよ!」

「ごめんなさい……」

「とりあえず洗濯やって! 今日アオ兄の当番だから!」

「わかりました……」

 俺は半ば甘茶に押されるようにして、持ち場へ向かった。後ろで甘茶がみんなに報告してまわる声が聞こえる。

 やばい。これはかなり怒られるやつだ。


 科学で証明できるものが全ての世の中では、なぜか科学で証明できない魔法や異能に憧れる傾向があるらしい。

 それを、現実にしてしまった子どもたちがいた。子どもたちは生まれながらにしてそれぞれ異なる異能を持っていた。

 親どころか世間をひっくり返すような騒ぎになり、研究者たちは科学で結論付けるべく、検査に検査を重ねた。しかし通常の子どもと何ら変わりがある部分はなかった。

 科学で証明できないとなると、期待に満ちていた人々は手のひらを返して気味悪がり、異能の発見された子どもたちを、精神が狂っているとして閉鎖病棟に閉じ込めた。ぱっと見で区別がつくよう、ひとりひとりにマークを付けて。

 そして満足した世間は、綺麗さっぱりそのことを忘れた。異能も魔法もない、科学で証明できる事象しかない世界に戻そうとした。


「どーすっかな……」

 俺の左頬にある、鳥のマーク。刺青ともいうそれは、果たしてあの教祖とやらに見られただろうか。


「思い立ったが吉日! よしよしあのいい子にお返しをしてあげよう。……ふむ? 就職先を探しているのか。ならば……ちょちょいのちょいっ! で、ハッピーエンド!」

 拾われた神様は、今日イチ不要なおせっかいを焼いた。

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