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第3話 信者の恐怖



「そーっと……ばれませんように」

「あれそこの君、見ない顔だけど新入り?」

 何だよ運が悪すぎんだろ。おい、みんな見てんぞ。

「おーいー! そこの君ー?」

 やばいやばい? 全員で追いかけて来てないか?

「何なんだ怖い宗教め……!」

 全力で逃げたのに、羽交締めにされた。なお、アオは足が遅い。捕まるのは必然だ。

「何すんだ、離せーっ!」

「うおっ」

「いったたた……」

「逃げたぞ! 教祖様、すぐ捕らえてご覧に入れますので」

「捕ったー!」

「おわ! 逃げました!」

 捕まったらもがいて逃げ、そしてまた捕まるを繰り返す。

「くっそー! 何がしたいんだこいつら! ……ん?」

 気付けば元々人だかりがあった、その中心に来ている。

「お前が教祖って奴?」

 とは言ったものの、目の前の青年は、まだぴちぴちに若い。

「ええ、そうですよ。どうですか、あなたもぜひ私の教えをあっ」

 だらだら話しやがって。

「マイク……! 返してください、それがないと集会がっ」

「お前さ、あいつらから金取ってんの?」

 教祖とやらの前に俺が言ったからか、信者が手を出してこなくなったのは実にいいことだ。

「ええ、まあ……加護などの対価としてですが」

「お前らぁ! こいつに金やんのが好きなら知らねーけど、受動的に幸せ待ってる奴は馬鹿だ!」

 信者は「何言ってんの?」といった顔をしている。どうせこいつに洗脳でもされたんだろ。

「大卒で入社して定年まで働いてもな、老後の金しかねーの! お前らは何のために働いてんだ? ハラスメントに耐えきっても次にはじーさんばーさんになって病の苦しみに耐えきれずに死ぬだけだぜ?」

 数人が顔を歪めた。どうせ「子どものお前に何がわかる?」とかそんなもんだ。何もわかんねーよ。

「お前らさ、生きててマジで何が楽しいんだよ。夢をたらればで妄想の思い出にして、現実は優しくないとかよくわからんこと言って。どーせ変える気もねーんだろ?」

「黙って聞いていれば!」

「ハッ、やる気もないくせによく言うな」

 数人がかりで地に押さえつけられても、俺は笑いが止まらなかった。こんな面白くもない世界を守るためにしょぼい力を精一杯使う奴らが、俺に叶うわけがない。

「……やめてください。彼はまだ子どもではありませんか。きっと思春期にありがちなものですよ。私たちは見守ってあげなくてはなりません」

「……教祖様がそうおっしゃられるのなら」

「そうかもしれないわ」

「親に大事にしてもらえなかったのかもしれない。かわいそうに」

「おいやめろよ。は? 親が大事にしなかった? ばっかじゃねーの」

「私たちが話を聞いてあげるわ。教祖様がお許しになったのだもの」

「はあ? 俺が話すことなんてねーよ。それよりお前らこんなことに金払うよか、好きなことに金使えよ。こいつに貢いだって何もねーだろ」

「あら、この子はまだ教祖様と神の愛を知らないみたい。私たちが導かないと」

 俺と教祖を取り囲む全てのものが、笑っている。

「キモいな! 愛なんかなくても死なんわ! 俺もう帰るし!」

「待っていただけませんか。あなたの先程説かれた考え、もう一度聞きたいのですが……」

 人の間を縫おうとしたのに、すかさず教祖が手首を掴んで、逃げられない。

「お前らもっと考えろばーかって言ったんだ馬鹿が!」

「もっと、とはどのような具合に?」

「知らん、帰る!」

「着いていきましょう!」

「おい、着いてくんな!」

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