表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
26/28

美しい花には刺がある



「なっ…」



実は僕、記憶喪失を疑われてから、学園の生徒の名前と顔を覚えたのだ。こういう風に知らない人に話しかけられても困らないようにね。でもまさか本当に話しかけられるなんて…時間を割いて覚えた甲斐があった。



「君は子爵家の長男、セーズ・ローザー。1年C組だよね?」



「ど、どうしてそれを…」



彼はとても驚いているようだ。



「アイビーは体育館倉庫には居ないでしょ?」



「え、えっと…」



そもそも、普通に考えてテスト直前に体育館倉庫に行く意味が分からない。彼の反応からしても、多分嘘だろう。



「ねえ、なんで嘘をついたの?」



「それは…」



「…これは僕の勝手な憶測だけど、僕を体育館倉庫に閉じ込めて、テストを受けられないようにしたかったから…とかかな?」



「…」



彼は何も答えない。多分、僕の予想が当たっていたのだろう。



「…誰に頼まれたの?」



「え?」



「きっと1人で計画したことではないよね?」



誰かが僕のテストの邪魔をするために彼に指示したのだと思う。先輩であり王子であるソラに彼1人でここまでするとは思えない。



まあ、1人で後先考えずに行動した可能性もあるが…



そのとき、授業10分前の予鈴がなった。



「まあ今はいいや。君もこれからテストがあるだろうし…セーズくん、後で話そうね?」



「…はい」



もしかしたらテスト中にもなにかトラブルが起こるかもしれない。覚悟して受けないと…



…本当にテストの結果なんかで記憶喪失じゃないと示せるのかな?



取り敢えず今はやるしかない。精一杯頑張ろう。



―――――――――――――――――――――――



その後もずっと警戒していたが、何事もなくテストは終わった。何だか拍子抜けしてしまった。



ちなみに、テストの手応えはある。学年1位かは分からないけど…



「リーマ先生、何度も補習してくださって本当にありがとうございました!」



「いえいえ、良いんですよ。ソラくん、よく頑張りましたね」



リーマ先生がかけてくれる言葉は温かくて、心に響くな。



「ありがとうございます」



「あ、先生、ひとつ頼みたいことがあるのですが…」



「はい、なんでしょう?」



「1年C組のセーズくんと話がしたいので彼を屋上に連れてきてくれませんか?」



きっと僕が彼のところに行ったら大騒ぎになるだろう。



「分かりました。もちろん良いですが…もしなにか困っているのならわたくしに相談してくださいね」



「ありがとうございます、リーマ先生。」



リーマ先生の優しさは嬉しいが、セーズくんの気持ちも考慮した上で今は言わないでおこう。



―――――――――――――――――――――――



僕は屋上でテストの自己採点をしている。



今のところ全問正解だ。数週間で勉強を詰め込んだ割にはとても上出来だと思う。頑張って良かった…



あとは社会と魔法学か…どちらも向こうの世界とは違う内容だ。他の教科より自信はない。



「ソラくん、セーズくんを連れてきましたよ」



セーズくんとリーマ先生が屋上にやってきた。



「ありがとうございます、リーマ先生」



本当にリーマ先生にはお世話になってばかりだ。



「いえいえ。ではわたくしは職員室に戻りますね」



先生は気を遣って2人にしてくれたのだろう。屋上には僕とセーズくんしか居ない。



「…お、俺は謝りませんからね」



「うん、分かった」



「えっ…」



別に謝る必要はない。結局、彼の行動は未遂に終わっている。



僕は記憶喪失みたいなもんだし、嘘をついているのは僕だって同じだ。



「僕は謝って欲しいんじゃない。ただ、君が心配なだけなんだ。君が誰かから指示されて、断れないだけなんじゃないかなと思って」



「…」



「良かったら教えて欲しいな。僕は君の助けになりたいんだ。もちろん、誰も居ないならそれでいいんだけど…」



「…る、ルイス先輩です。」



ルイス先輩か…僕のテストの邪魔をしてもルイス先輩にとってメリットはなさそうだけど…



「そっか…教えてくれてありがとう」



「じゃあ今日はテストで疲れてるだろうし、また明日話せるかな?」



「…分かりました。失礼します」



「うん、お疲れ様」



―――――――――――――――――――――――



セーズくんが帰ったあと、僕はテストの自己採点を終わらせた。魔法学で2問ミスをしていたが、それ以外は全て合っていた…我ながらよく頑張ったと思う。



「…良かった」



取り敢えず一安心だ。今日はゆっくり寝よう。



「ご機嫌よう」



荷物をまとめ、階段を降りていたとき、2階の廊下の方から微かに声が聞こえた。



テストということもあり、生徒は殆ど居ない。なんなら、残っている生徒は僕だけだと思ってたんだけど…



「ねえ、ソラの件、ちゃんとしてくれたのよね?」



え?今、ソラって言ったよね?



「それが…上手く出来なくて」



廊下ではお姉様とセーズくんが話していた。あの2人、関わりあったんだ…



「はあ?…わたくしはお前の家を潰してもいいと思っているのよ?」



「す、すみません…次は成功させますからそれだけは…」



「…ソラの評価を下げなさい。今回みたいに閉じ込めても、何をしてもいいから。分かったわね?」



「…は、はい。」




え…どういうこと?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ