南からやってきた勇者
ヴェリザードの 大衆食堂”たぬき亭”は、これから北へ向かう兵士たちでごった返していた。
彼らはもう出発間近なため、みなすでに甲冑を着込んでいた。そのいかつい兵士達の中で、ポツンと浮いた軽装をしたグループがいた。
彼らは遥か南からやってきた勇者だった。
リーダーの名前はマイカンと言った。黒髪に男性的な太くつり上がった眉をした、自信満々の若者であった。
「あの兵士たちの数を見たか」彼は言った「千人はいたぜ」
「ああ、これから戦争が始まる。まさに俺達が名をあげるのにお誂え向きじゃねーか」茶髪を逆立てた大男が答えた。彼はマイカンの幼なじみでエバンと言った。彼もまた故郷から勇者の託宣を受け村を出てきたのだ。
「こっから北ではドラゴンも出るって言う話だろ。俺たちがドラゴンの一匹でも仕留めてみろ、たちまち村の英雄じゃねえか」
「まあまあそう血気流行るでない」紫のローブを着た白髪の老人が答えた。「おぬしらに龍など屠れるわきゃなかろう」
彼らの連れの二人の女性、センとリンダは、このテンションについていけず、だれも声をかけてこないようにと祈りながら皿の残りを突いていた。
「っしゃあ!俺たちはここで一旗挙げんぞ~」マイカンは食事を終え外に出ると、たぬき亭の入り口で大声を上げた。「俺は英雄になる」
彼は右手を高々と上げ、大声で宣言をした。南の方の酒場ではこういうでかい口を叩くとすぐに古参の冒険者に絡まれたものだが、ここでは生暖かい視線を向けられるだけで誰も反応してこなかった。
これは彼らが優しいからだろうか。それとも北のこの地では冒険者などありふれているからいちいち誰も反応しないのだろうか。
マイカンは気恥ずかしくなって手をおろした。
こうしてヴェリザードへ行く道
みなと一緒に草原を歩く
ブリスコーにつく
しかし、数多くの死体と墓を見る
真剣にやんなくちゃいけないんじゃない
おうよ
冒険者ギルドへゆく
えええ またゴブリン狩りかよ
おいおい兄ちゃん達ここのゴブリンたちを舐めちゃいけねえぜ?
こいつらのなかには普通に魔力を使う奴らがたくさんいるからな?
魔力
兄ちゃん達ここで起こってることは知ってんだろ
北の山脈を超えたところからオークが侵入してるって
奴らは悪魔の薫陶を受けた奴らがいて
中には魔術を教わっている老獪なやつもいるんだ
帝国内部のやわな奴らとはひと味もふた味もチゲエゼ?
だれから教わるんdな
それは魔術師だ
俺たちの国を裏切った奴らな
こおのゴブリン共を掃討すればいいんだな
腕がなるぜ
よっしゃルケントの掃討に参加するぜえ




