神様のおじいちゃんとの対話
「着きました!ここがこの街の神殿になります!」
「ここが神殿……」
街の中にある神殿って言うからどんなものなのかずっと考えていたのだけど、やっぱりイメージしていたような荘厳な様式の建物では無かった。
近いイメージで言うと教会?みたいな感じ。
「この街には教会はあるんですか?」
「きょうかい……?すみません。ちょっと聞き覚えの無い言葉ですが、それも何かの建物なのでしょうか?」
どうやらこの世界には教会が無いみたいだね。
私の知るRPGでは大体教会があったからこの世界にもあるのかと思ったんだけど、多分その代わりになるのが神殿なんだろう。
「ううん。何でも無いです。忘れてください」
「……?分かりました」
不思議そうな顔をするレアンさん。
説明してあげたい所だけど、多分説明した所で余計にややこしくなるだけになりそうだからやめておこう。
「わざわざ案内してくれてありがとうございました」
「いえいえ!命の恩人のお役に立てたのなら良かったです!」
「ふふ。はい」
「!!!うー……」
レアンさんの顔色がまた変わる。
……本当に大丈夫なのかな?
「私はここでお祈りをしていくのだけど、レアンさんはこれからどうするんですか?」
「そうですね……もしお邪魔で無いならティルファさんのお祈りが終わった後、まだ案内して欲しい所があれば案内しますけどどうしましょうか?」
ここに案内してくれるだけでも充分助かったのだけど、他にも案内してくれるというのなら是非ともお言葉に甘えたい。
「なら、お願いしてもいいですか?」
「分かりました!なら僕は適当にこの付近をうろついているのでお祈りが終わったら声をかけて下さい」
「分かりました。またお願いしますね」
「はい!」
レアンさんの来ている鎧は淡い水色をしているから多少人混みに紛れていてもすぐに気づける筈。
よし。それじゃ神殿の中に入ってみよう。
「ふぅん……」
神殿の中はやっぱり教会に近い感じの内装をしている。
長椅子が縦にいくつも並んでいて、壁際には燭台が。
入口から見て正面の奥には多分神様のおじいちゃんをモデルにした大きな像がある。
……全然似てないけど。
しかも女だし。
「でも、一応神殿には来てみたけど具体的には何をすればいいんだろう?神殿に迎えとしか言われてないし」
『ほっほっほ。存外早かったの』
「この声……!神様のおじいちゃん!?あれ?でもどこから?」
『おぉそうじゃ。悪いがそちらの世界ではワシは姿を顕現できぬのでな。声だけで失礼させてもらうぞい』
「あ、そうなんですね。でも大丈夫です」
『ふむ。それでこの世界はどうかの?一度あっさりやられてはしまったが、ここはお主が望んだような世界であったかの?』
「勿論です!自らの力を自由に、存分に振るう事がこれ程までに素晴らしい事とは思いませんでした!それに、ゲームの世界に居た時には感じられ無かった温もりや香りが本当に衝撃的で……」
『ほっほ!気に入ってもらえたようで良かったわい。じゃが、お主がここに来た理由を忘れるでないぞ?』
「それは勿論です!でも、具体的に私は何をすれば良いのでしょうか?」
『主に魔獣・神獣の殲滅じゃの。ほれ。ちょっと左手を上に挙げてみぃ』
「?」
神様のおじいちゃんに言われた通りに左手を挙げると、手首の辺りが白い光に包まれ、白銀のブレスレットみたいな物が着けられていた。
「これは?」
『地球で生まれたアイデアとデザインを元にワシが創った腕輪型情報端末じゃ。名をスカーレ・グーグと言う』
「スカーレ・グーグ……何に使う物なのでしょうか?」
『お主が何か正体不明のものに遭遇した時に、それが一体何ものであるかを教えてくれる物じゃ。試しにお主が居る街の名前を聞いてみるといい』
そう言えば私この街の名前を知らないな。
「スカーレ・グーグ、この街の名前を教えて」
《ここはエルトアの街です》
うわ!頭の中に直接声が聞こえる!
『もう少し詳しい事を聞いてみぃ』
「この街はどんな街なの?」
《主に貿易の通過点として利用されています。隣国のストーピア共和国、ルーマン王国間を移動する際に商人や冒険者、両国の使者等が必ず通過する街で、それらの人に向けた商品を売り出す事で財を成している街でも知られています》
へぇ……そんな街だったんだ。
『そんな感じに何か知りたい事があれば腕輪型情報端末に尋ねれば教えてくれるわい。声もお主だけにしか聞こえぬから場所を気にする必要も無い』
これは結構便利かも。
『後、[展開]と言ってみぃ』
「ん?展開……うわ!」
私が展開と言うと、腕輪型情報端末からほんの少し上に画像?みたいなのが平行に映し出された。
『言葉の説明だけでは分かりにくい時はそっちの機能を使うとええわい。それに関しては色々出来るようにしておいたから適当に自分で使い方を学ぶとええ』
これは見た感じ……この街のマップなのかな?
RPGとかシミュレーションゲームの世界に遊びに行った時にこんな感じのを見せてもらった記憶がある。
「分かりました」
『それと、その世界の知識が無いままではろくに生活出来んじゃろうから腕輪型情報端末にその世界のあらゆる情報を入れておいたから基本的に何か困ればそれに頼るとええ。ワシがお主にしてもらいたい事の具体的な内容も入れておるから後々確認しておいてくれ』
まだ結構漠然とし過ぎている所があるからゆっくり後で確認させてもらおう。
『本来ならワシがお主に付きっきりになるのが筋なのじゃが、少々こちらもバタバタして来おってから中々そうも言ってられんようになってきてしもうての……』
まぁ、そうだよね。
神様のおじいちゃんにだって色々事情があるのだろうし、これが貰えただけでも凄い助かるし文句の言いようなんてない。
第一この世界に連れてきてもらった時点で神様のおじいちゃんに不満が出るわけも無いのだから。
『少々投げやりな扱いになってしまう事を許してくれ。一応本当にどうしようも無くなった時はまたどこかの神殿でワシを呼び出すとええ。可能ならまたこうして話させてもらうからの』
「いえ、気にしないで下さい。もう既に神様のおじいちゃんには充分過ぎる程の恩があります。こちらの事は私に任せて、どうかご自身の事に集中してあげて下さい」
『……お主を連れて来たのは正解だったようじゃのぅ。そう言って貰えると助かるわい。それでは後の事はお主と腕輪型情報端末に任せるわい。お主のこれからに栄光と幸があらん事を』
神様のおじいちゃんはそれだけ言い残すと、もう声は聞こえなくなった。
よし。それじゃちょっと色々聞きたい事があるし聞いてみよっと。
近頃では王道となっている『鑑定』や『マップ』、『擬似思念体による情報統制』等のいいとこ取りをした機能になります。
多少制約はありますが、これで冒険の準備は整いました。




