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100000人に1人の能力を持つ僕は美少女達と心と体を重ね最強に至る  作者: ねこまたのたま
一章

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11/13

全部割り切れる程僕は大人じゃない

 翌日、僕はシノアと朝一番で一年Bクラスの教室に向かった。

 リーンには学校を休んで、僕の部屋で待っていてもらっている。


 教室に近づくと、まるで僕が来る事をわかっていたかのように、昨日僕に謝罪してきた武姫が教室から出てきた。


「これは姫士様。Bクラスに何かご用ですか?」


 瑠璃色の髪をハーフアップにした、僕より少し背の高い女の子。青金石(ラピスラズリ)のような、強い意志を感じさせる青い瞳や、シュッとした顎のラインは大人びた印象を与える。

 くびれた腰や細くしなやかな手足が、豊満な双丘を際立たせる。とても美しい女の子だ。


「うん、君達の姫士に話があるんだ。もう学校に来てるかな?」

「はい、既にご登校されています。どうぞ、こちらへ」


 青髪の女の子はそう言って教室のドアを開けた。


「ちょっと、いいの? 敵の本拠地に乗り込んで」


 こそっとシノアが耳打ちしてくる。


「敵、って。大丈夫だよ。姫士である僕に手を出すリスクは向こうもわかってる。それに、もしもの時はシノアが守ってくれるでしょ」

「はぁ、まったく、アンタは私がいないとダメなんだから」


 それに関しては否定できないな。こうやって、真正面から堂々と喧嘩を売りに来たのも、シノアがいるからだし。


 それはさておき、Bクラスの教室に入ると、窓際の一番後ろの席に件の姫士は座っていた。

 金色の髪を腰辺りまで伸ばし、翡翠(ジェイド)の瞳が特徴的な爽やかなイケメンだ。


 周囲に数名の武姫を従えた姫士は、僕に気付くとにこり、と爽やかな笑みを浮かべた。


「おや、君は確かDクラスの姫士だったね。私に何か用かな?」

「突然訪ねてごめんね。僕はアーク・ブランドール。ちょっと君に相談があってね」

「構わないよ。姫士同士もっと交流を持つべきだと、私は常々思っていたんだよ。おっと、まだ名乗っていなかったね。私はボラス・ノートンだ。よろしく、ブランドール君」


 差し出してきた右手を握り、握手を交わす。

 人当たりの良い好青年、といった風だが、この人はリーンを甚振り、あんな傷を負わせた。油断はできない。


「それで、相談というのは?」

「単刀直入に言うよ。君のクラスのリーン・シルヴェールさんを僕のクラスに移動させてくれないかな?」

「リーン? そんな武姫このクラスに()()()っけ?」


 ああ、そうか。今のでわかった。僕とこの人は絶対に相容れない。


「【複製】の能力を持つナイフの武姫です」

「ああ、あれか。君、あんなのがほしいんだ。変わってるな。まあいいよ、欲しいならあげるさ。で、そっちからはどんな武姫を出してくれるんだ?」

「こちらからは誰も渡せない」


 ポカン、と口を開けたボラスは、少ししてハッ、と鼻で笑った。


「話にならないな。武姫の数が評価になるのなら、役立たずだろうと一つは一つだ。それを無償で渡せ、だなんて、自分でもおかしな事を言っている自覚はあるだろう?」

「なら、決闘だ」

「は?」


 ボラスだけでなく周囲の武姫達も驚いた表情をしている。青髪の子を除いて。


「聞こえなかったか? 決闘を申し込む、と言ったんだ」

「君が、私に、決闘を? フッ、いや、すまない。君は知らないようだから教えてあげよう」


 笑いを堪えながら、ボラスは僕の肩をポン、と叩く。


「姫士は精液ランク順にAクラスから振り分けられているんだ。Bクラスの私の精液ランクはB。君は?」

「Dだ」

「まあ、そういう事だよ。Dランクの君がBランクの私に勝てる筈がないだろう。私は寛大だ。今のは聞かなかった事に」

「ごちゃごちゃ煩いな。そんなに僕に負けるのが怖いのか?」

「あ?」


 漸く、ちゃんとこちらを見たな。


「必死になって決闘を取り消させようとしている所悪いが、君がリーンの移動を認めない限り、決闘を取り消す事はない」

「調子に乗るなよ、Dランク風情が。いいだろう、そんなに無様を晒したいというのなら、望み通り叩き潰してやろう」

「日時は今日の放課後。僕が要求するのは、リーンのクラス移動だ」

「確か、その赤い武姫は元素系の能力だったな。私が勝ったらそれを貰おう」


 携帯端末を操作し、決闘の申請を送るとすぐに受理された。


「決闘成立だ」


 もうこんな所に用はない。さっさとDクラスの教室に帰ろうと踵を返す。


「一つ、アドバイスをしてやろう」


 振り向くと、ボラスはニヤリ、と嗤った。


「決闘時間に一秒でも遅れた場合不戦敗となる。気を付けたまえ」


 教室内の武姫達が出入り口を塞ぎ、僕とシノアを囲った。


「おや? すまない、ウチのクラスの武姫は私のいう事を聞かないんだ。乱暴者が多くて私も困っている」


 ここで武姫達が攻撃して来ても、武姫が勝手にやった事でボラスは無関係、という事か。姫士ならそんな事もまかり通るんだろうな。


 ぐるっと教室を見回す。リーンのクラスメイト達の顔を一人一人、目に焼き付ける。


「リーンは優しい子だ。君達の事は誰一人責めなかった」


 リーンの名前を出すと、武姫達は顔を逸らすか、唇を噛み俯いた。


「だから、僕も君達を責めない。でも」


 この人達にも立場なんかがあったのだろう。姫士には逆らえない。それでも。

 一か月だ。一か月もの間、リーンは苦しんでいた。痛みに、孤独に、耐えていた。


「全部割り切れる程僕は大人じゃない。一度だけ言う。退け」


 ゴクリ、と誰かの喉が鳴り、武姫達は入り口までの道を作った。


「どうも」

「おい! 何をやっている!」

「君の言う事を聞かない、っていうのは本当みたいだね」

「くっ、貴様、この私に喧嘩を売ってタダで済むと思うなよ」


 三下の捨て台詞のような言葉を背中に受けながら、僕達はBクラスの教室を後にした。


「ごめん、シノア。シノアを賭ける事になっちゃって」

「構わないわ。どうせ、私達は負けないのだから」

「そうだね。彼は勘違いしている。姫士の強さとは、精液ランクではない。それを教えてあげよう」





「そんなわけで、今日の放課後決闘をする事になりました」


 朝のホームルームの後、エレノア先生に報告すると、これ見よがしに溜息を吐かれた。


「まさか、一年生の決闘第一号がお前とはな。相手はBクラスの姫士か……」

「何か問題がありましたか?」

「いや、これを私の口から伝えるのはフェアではない。私はお前の担任だが、教師として平等に生徒と接さなければならない。まあ、私から言えるのは、既に決闘は始まっている、という事だ」


 つまり、事前に相手の情報を集め、対策を練る事も決闘の内だ、と。


「ありがとうございます」


 席に戻ると、前の席のセリーナが身を乗り出して聞いてきた。


「アーク君、決闘するの!?」

「う、うん。明日からクラスメイトが一人増えるから、仲良くしてあげてね」

「おお、もう勝った気でいる。流石ですねえ」


 にこにこと笑っていたセリーナは不意に真剣な表情で顔を寄せてきた。


「でも、大丈夫? Bクラスって水の元素系能力を持った武姫がいるって話だよ? シノアさんと相性悪いんじゃない?」


 水か。確かに、炎のシノアとは相性は悪いな。


「問題無いよ。シノアの炎は水くらいじゃ消せないから」

「……」

「なに?」

「あ、いや、流石主武姫は信頼が違うな、と」


 セリーナがシノアを見つめるその横顔は、憧れの人を見るソレで、可愛かったのでついほっぺを突いてしまった。


「んにゃあ!? にゃにするの!?」


 反応も可愛い。セリーナのおかげで気が立っていたのも収まってきた。隣から冷たい視線が送られている気がするが、恐らく気のせいだろう。

 観測しなければ答えはわからない。つまり、気のせいだ。

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