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100000人に1人の能力を持つ僕は美少女達と心と体を重ね最強に至る  作者: ねこまたのたま
一章

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12/14

心を重ねて

 放課後、訓練場には僕とボラスの決闘を見に多くの生徒が集まっていた。

 Dクラス、Bクラスの生徒だけでなく、他のクラスの生徒もいる。当然だ。僕達の実力を測る絶好の機会なんだから。


 立会人に両クラスの担任ともう一人、審判も務める教師が訓練場の中心に集まる。


「これより、一年Bクラスと一年Dクラスの決闘を始める。決闘参加者は前に」


 Dクラスからは僕とシノア、Bクラスからは意外にもボラスと青髪の子だけだった。もっと沢山武姫を連れて来ると思ったが。


「そこの赤い武姫、名を名乗る事を許可してやる」

「……シノア・セルージュよ」

「そうか。貴様は特別に私の副武姫にしてやろう。光栄に思うがいい」

「それはドーモ」


 あのシノアが、こんな事を言われて大人しくしているなんて。明日は雪でも降るのだろうか。


「何よ」

「何でもないです」


 睨まれた。やっぱりいつものシノアだった。


「名乗るのが遅れました。私はボラス様の主武姫、ラーム・オーブルーと申します。本日は宜しくお願い致します」

「あ、はい、こちらこそ?」


 これからするのは決闘なんだけど。結構マイペースな人だな、この人。


 なんだかぬるっとした雰囲気の中、審判の教師がコホン、と注目を集めた。


「決闘中新たに武姫が参加する事はできない。武姫は完全武姫化する事。一部でも武姫化が解けた場合退場となり、以後決闘に参加する事はできない。姫士が戦闘不能になるか、降参した場合敗北となる。戦闘不能の判断は私が行う。質問は?」

「ない」

「ありません」

「では、両者位置へ」


 ボラスと5mの距離を空けて向かい合う。


「シノア、勝つよ」

「当然よ」


 シノアが完全武姫化し、赤銀の剣が僕の手に収まる。


 ラームさんも完全武姫化する。ラームさんはサーベルの武姫のようだ。青み掛かった湾曲した剣身に、ナックルガードにはラームさんの瞳のような青い宝石が埋め込まれている。


 剣を立て半身に構えるボラスには隙がない。口だけではないようだ。


 中央に立つ先生が右手を上げる。


「始め!」


 合図と同時に地面を蹴る。姿勢を低く、剣を体で隠しながらボラスに肉薄する。

 右下から左上へ振り上げる。ボラスはそれを後ろにステップしながら刃で受け流す。


 ボラスが下がった分踏み込み、横薙ぎに剣を振るう。それもボラスは後ろにステップして躱した。が、今度は直後に踏み込んできた。剣を振り切った右肩目掛けて突きを繰り出してくる。

 体を捻って突きを躱し、回転の勢いのまま回し蹴りをボラスの肩に叩き込む。


「ぐっ!」


 よろけたボラスはすぐさま大きく飛び退った。僕も呼吸を整え仕切り直す。


「なるほど、大口を叩くだけはある。まあ、茶番はここまでだ。ラーム」

『はい。【水撃】』


 サーベルの切っ先から水が生まれ、直径10cm程の水球となりボラスの周りにふよふよと浮き上がった。それが、五つ。


「シノア!」

『【炎撃】!』


 剣身を炎が包む。熱風を巻き起こす炎剣を見て、ボラスは笑みを溢した。


「フッ、愚かだな。炎が水に勝てる筈がないだろ」


 ボラスが切っ先をこちらに向けた。


 来る。


 袈裟に剣を振り下ろすと、僕の前に炎の壁が生まれる。


「無駄だ」


 ジュッ、と水が蒸発する音がして、炎の壁を貫いた水弾が左肩を射抜いた。炎の壁で威力は弱まっているようだが、完全に防ぐ事はできていない。

 ジュッジュッ、と水弾が炎の壁を越えて腕や足を射抜いてくる。このままではジリ貧だ。応戦しなければ。


 横薙ぎに剣を振るい、炎の刃を飛ばす。飛ばした刃を追うように炎の壁を突き抜け、ボラスに迫る。

 躱した所を一気に攻め立てる。つもりだったが、ボラスは水の壁を生み出し炎の刃を打ち消した。


「はーっはっはっはっ! 残念だったな! 貴様の壁は私の水を防げず、私の壁は貴様の炎を完全に防いだ! 勝敗は決した。無駄な傷は負いたくないだろう? 私は寛大だ。降参する事を許可してやるぞ」


 随分と楽しそうだな。【赤炎】を防いだ程度で。


「シノア、火力を上げるよ。【黄炎】」

『黄色でいいの? 白で一気にや』

「焼き払わないから」


 これはあくまで決闘。殺し合いじゃないんだから、焼き払っちゃダメだよ。


『ちぇっ、わかったわよ。【黄炎】』


 ボッ、と剣身を包む炎が燃え上がり、炎の色が赤から黄色に変わっていく。


「ハッ、色が変わったから何だというんだ!」

「あれ、もしかして、理科は苦手だった? 炎は温度によって色が変わるんだよ」


 実際に測ったわけではないから正確な所はわからないけど、シノアの体感的に黄色の炎の温度は赤い炎の約三倍だそうだ。

 黄炎を纏った剣で水の壁を斬りつける。すると、一気に水が蒸発し、軽い水蒸気爆発がおこった。


「なっ! おい、ラーム! もっと水を出せ!」

『はい』

「無駄だよ。君の水ではシノアの炎は消せない」


 水弾は炎に触れる頃には蒸発し、水の壁は一振りで消滅する。もう、ボラスにできる事はない。


「勝敗は決した。無駄な傷は負いたくないでしょ? 降参したら?」

「貴様ァ……! 調子に乗るなよ、Dランク風情が!」


 やはりボラスは何もわかっていない。


「ラームさん、武姫化を解いてください。これ以上は大怪我を負わせてしまう」

『できません。私にも武姫としてのプライドがあります。主が諦めていないのに、私だけ逃げる事はできません』


 こんな奴でも、ラームさんにとっては主なのか。


「このまま君を戦闘不能にする事もできるけど、特別だよ。武姫を道具だと思っている君には辿り着く事のできない領域を見せてあげよう」

「ふざけるなよ……! 私には辿り着く事ができない、だと? 貴様如きが、上から物を語るな!」


 出鱈目に振るわれたサーベルを弾き、足を払う。転んだボラスを見下ろし、切っ先を突きつける。


「約束しろ。ラームさんの傷を必ず治すと」

「黙れ! 傷を治せだと? 私の武姫は傷など負わない! 勝つのは私だ!」


 この状況でもまだ勝てると思っているのか。その諦めの悪さは尊敬に値する。


 ボラスから5m程距離を取る。


「シノア、やるよ」

『ふふ、今夜が楽しみね』


 こらこら、まだ決闘中だよ。集中しなさい。


 ボラスが立ち上がり、水を纏ったサーベルを構える。

 こちらも剣を構え、剣身を包む炎を消す。うっかり殺してしまわないように。


 意識を内側に集中させる。僕の心と、シノアの心に。心と心の境界がぼやけ、二つの心が重なる。


「『心奏(しんそう)二重奏(デュオ)!』」

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