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紅焔の彼女  作者: MANAM


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紅焔の彼女 第二話

次の日フラムは蒼太郎の封印が解かれる前に表へ出て、くれはとマリに別れを告げる。

「寝床と食事を提供してもらい感謝する。では、私は私の探し物に行かせてもらう」

 そう言い残し去ろうとするとマリがピンクの生地のくまさん模様の包みを手渡して来た。

「はい、これお弁当。お昼に食べてね」

「あ…これは申し訳ない…」

 お弁当を受け取りお辞儀をする横でスマホをいじりながらくれはがお弁当を褒める。

「母のお弁当は絶品。私は学食食べるけど」

「たまにはママのお弁当も食べて⁉︎」

 マリの必死の懇願を無視してくれははフラムに尋ねる。

「で、あんたは何時に帰ってくんの?」

「え?」

 ここへ帰って来る事前提の問いかけに困惑するフラム「え?」に、

『え?』

 当然フラムがここへ帰って来る事前提のくれはとマリの「え?」

 フラムの今夜の寝床も鹿屋家に決定した瞬間である。


 やっとのことで封印を解かれた蒼太郎は朝食を取る暇もなく投稿し、簀巻きにされて眠れなかったため教室の自分の席で突っ伏していた。

そこへ一人の女子生徒が声をかけて来た。

「鹿屋くんおはよう」

「ああ、佐倉さんおはよう」

 挨拶をして来たのは昨日くれはが言っていた佐倉さくら。女子サッカー部のないこの学校でくれはが所属する文芸部の先輩でもある。

「今日も眠そうだけど、授業中は頑張って起きておこうね」

 そう言うとさくらは頬を赤らめ嬉しそうに立ち去っていく。そんな彼女の背中を見て蒼太郎が呟く。

「佐倉さん、いつも俺に挨拶して来るな…もしかして俺のこと好き…」

 そこまで言って自分に呆れた様に自嘲し息を吐く。

「は…んなわけないか」

 そう、何を隠そう蒼太郎は変態の上鈍感なのである。

 そしてまた机に突っ伏して居眠りを始めるのだった。


 お昼時、フラムはどこかの建物の屋上で、ブーツで蒸れた裸足を解放してマリからもらったお弁当を食べていた。

「おかしいな…確かに願いの紅玉の魔力は感じるのだが…何かに撹乱されている様で特定が出来ん…こちらの世界には魔法がないので容易く見つかると思っていたんだが…」

 タコさんウインナーを頬張りながら屋上に吹く風に黒髪を靡かせ景色を見回す。

「とにかくあれをいつまでもこちらの世界に押し付け続ける訳にはいかん。早く見つけ出して持ち帰らなければ」

 食べ終わったお弁当箱をくまさんに包み直し屋上を飛び立とうとした所、誰かの声で聞き慣れた名前が耳に飛び込んで来た。

「くーれーはーちゃん! もうお昼休み終わっちゃうよ?」

 それは屋上へ出る階段の踊り場にやって来たさくら。そこに眠るくれはの頬を人差しで突っつき起こしてやる。

「んん…ああ先輩…おはようございます」

 上履きを脱ぎその中に靴下を突っ込んで素足で壁にもたれ掛かり眠っていたくれは。

「くれはちゃん、よく眠れた?」

「はい、一時間目体育の後からぐっすりと」

「午前の授業ほぼサボり⁉︎」

 驚愕するさくらをよそに上履きの突っ込んだ靴下を取り出し履き始めるくれは。何を隠そう彼女は寝る時はどこでも素足派なのである。

 そんな二人の様子を窓の隅からこっそりと覗き見ていたフラム。

「そうか…ここは蒼太郎達の通う学校だったか」

 フラムは二人の関係に興味を持ち少し聞き耳を立てる事にした。

「ふふ…いつも眠そうな所、クラスの人にそっくり」

「ああ…いつも先輩が言っている人ですか。そう言えばどんな人か聞いた事無かったですね」

 くれはの言葉にさくらは頬を染め説明を始める。

「聞いてくれる⁉︎ えっとね! 鼻があって、目が二つあって、その上に眉毛があって!」

「すみません。私の聞き方が悪かったです…その人の名前は?」

 少し呆れ気味に言うくれはに、そんな事は全く気にしないさくらがウキウキで答える。

「あのね! その人鹿屋くんって言うんだけどね! すごく魅力的な人なの!」

 両手を頬に当て嬉しそうに言うさくらの横で、目の光が無くなり恐ろしい無表情でくれはが忠告する。

「先輩…その男と関わってはいけません。即刻縁を切るべきです」


 さくらは踊り場でのくれはとの会話を思い出しながら足早に廊下を進み教室へと向かう。

『ええー⁉︎ 何で何で⁉︎ 何でそんな事言うの⁉︎』

『先輩…奴は私の兄です』

『あ…そう言えば名字が同じ…』

 今までその事に気付いて居なかった少し抜けているさくら。

『奴は変態です』

『へ…変態⁉︎』

『女性の足と蒸れた臭いが好きな全人類の敵です。近寄れば先輩もきっと狙われます。だからなるべく避けて下さい』

 そんな会話がなされ、そしてさくらは拳を握り締め決意を胸にする。

「くれはちゃん! 任せて! 私が鹿屋くんを救って見せる!」

 さくらはガラリと今日の扉を開けると蒼太郎に向かい叫ぶ。

「鹿屋くん!」

「ふぇ?」

 居眠りをしていた蒼太郎はさくらの声に寝ぼけ眼の顔を上げる。そしてさくらは上履きと靴下を脱ぎ捨て蒼太郎の前の席の机に膝立ちの状態で乗り、足裏を蒼太郎に見せ付けながら叫ぶ。

「鹿屋くん! 私の足の臭い! 嗅いで下さい!」

 鹿屋の性癖を救うため顔を真っ赤にして勇気を出して裸足を差し出すさくら。

「ふみゃ…佐倉さんが裸足を見せてくれる訳ない…夢か…」

 そう言い残し蒼太郎はまたも机とお友達になり夢の世界へと旅立っていった。

「さくら…どうしちゃったの…⁉︎」

「さくらが変態になっちゃったぁ!」

 蒼太郎からは夢オチにされ、クラスからは変態認定されてしまったさくらであった。


 そしてさくらが去った後の踊り場にフラムが屋上の扉を開け進入し、くれはと対峙する。

「ん? あんたどうやってここに入ったの」

 くれはがあまり驚かず興味無さそうに聞くと、フラムは胸に抱いた一つの疑問を彼女にぶつける。

「くれはよ…先程の人物には忠告するのに、なぜ私にはそれが無かった⁉︎」

 フラムの問いかけに「あー」と言う顔をしたかと思うと、

「もうすぐ午後の授業だから」

 そう言い残し階段を降り姿を消した。

「おい! くれは!…くそ…私は蒼太郎と同類だと言うことか…?」

フラムは追いかける訳にもいかずその胸にモヤモヤを残したまま、屋上から飛び立って行った。

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