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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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69話:学園祭って青春イベントの宝庫だよね

「はい、コガンダ先生がそう仰るなら」


 コガンダに言われればイヴァンとしても断る理由はないし、イヴァンが受け入れたのであればエピンとしても同じく断る理由はない。

 とはいえ、このナルメクの生徒であるという彼の名前すらも知らない状態なのだ。


(まあ、ここは俺が率先するのがいいだろうな。どう接するのが正しいかは分からないけど……無難なやり方なら慣れてる)

「そういうことならよろしく。俺はエピン。で、こっちが今先生が紹介したイヴァンだ」

「イヴァンだよ。よろしく」


 だからエピンは彼へと手を差し出し微笑んでみせる。多少の好意と親しみやすさを感じるような、そんな笑顔だ。貴族的というにはほど遠く、庶民的というにも違う……ある程度の気品とある程度のとっつきやすさを感じるような、どちらからも嫌われにくい雰囲気を醸し出しているのだ。

 これもある意味では貴族的といえるのだが……少年はエピンをじっと見ると、遠慮がちにその手を握り返す。


「僕は……カリックス。死霊魔法を習ってます。よろしく……お願いします」

「死霊魔法か……学園案内で読んだことがあるけど、詳しくは知らないんだよ。よかったら教えてくれないか?」

「あ、はい。それはいいんですが……」


 チラチラと周囲に視線を向けるカリックスにエピンは「ああ」と頷く。何を気にしているか理解したからだ。つまるところ、死霊魔法というもののイメージを気にしているのだろう……ということで食堂に連れていくと、今日はがらんとしている。

 今日は屋台で食事提供をしているので、こっちでは魔法道具でセルフで入れる水くらいしかない。

 ないが……だからこそ、カリックスが気を落ち着けるには充分な静けさがあった。


「死霊魔法は……俺の故郷を救える可能性がある魔法です」

「故郷……?」

「エッセンヒル王国のウィンターベル公爵領……といえば分かりますか?」


 イヴァンは理解できず、エピンはすぐにその言葉を理解する。

 ウィンターベル公爵領。エピンの故郷と同じ問題を……いや、もっと深刻な問題を抱えた場所だからだ。


「エッセンヒル極北の盾……まさか、カリックスって……」

「カリックス・ウィンターベル。ウィンターベル公爵家の三男、です」

「……そうか。俺はオクロック辺境伯家のエピン。イリス帝国の出身だ。まさか名高き英雄の血筋にお会いできるとは光栄だ」

「やめてください……形骸化した家に過ぎません」


 スタスタとやってきて机の上に飛び乗って丸まる白猫をそのままに、カリックスは本当に嫌そうにそんな言葉を口にする。

 ウィンターベル公爵家を有するエッセンヒル王国は英雄の国と呼ばれる国だ。

 王家であるエッセンヒル家と公爵家であるウィンターベル家。この二家門は強大な秘伝魔法を持っているとされており、その力で恐るべきドラゴンをも退けたとして国を興した。

 ウィンターベルは魔境に隣接した場所で公爵として国を守り、エッセンヒルは中央で王として、ウィンターベルを支援する形で国を守ってきたのだが……代を重ねるごとにエッセンヒルはウィンターベルを自分に並び立つ者として恐れ、疎み……その地位と権限を少しずつ削ってきたのだ。

 魔物の血を啜る魔獣公爵、なんて噂も歴代の王をそそのかした貴族たちが流したものだが……誇るべき「極北の盾」はいまや「極北の魔獣」として嘲られる存在だ。

 もはや権力は形だけ、影響力は微塵もないウィンターベルはそれ故に結束が強くなり、魔境から溢れ出るモンスターたちと戦ってきたが、もはやそれも限界に達しつつある。

 

「……ウィンターベルにはすでに死の魔力が満ちていて、それを目当ての怪しげな魔法使いたちが集まりつつあります」


 しかも彼等は自分勝手で、ひねくれていて……けれど、時折思い出したように手を貸してくれる連中でもある。呪魔法も死霊魔法もどちらも嫌われていて使い手も性格が終わっていて、それ故に魔塔が存在しないが……その分、可能性があるとカリックスは感じていたのだ。


「此処にきて、僕は死霊魔法こそが新しい可能性だと信じるに到りました。だからこそ、既存の死霊魔法のイメージを変えたい……! ナルメク先生がくださったこの初期装備が、僕にその可能性を教えてくれたんです! もっと威厳があって、スタイリッシュで……! 憧れの対象となるような! そんな装備で身を覆いたいんです!」

「……どう思う、イヴァン?」

「うん、骨の兜とか想像してた自分を殴りたいかな」

「殴ってやろうか?」

「やめて、痛いから」


 さておき、そういうことであれば鎧……よりも杖とか、そういう方面で協力することになるだろう。

 ダリアン校長も杖を持っているが、あれもまさに威厳の象徴だ。スタイリッシュとなるとワンドでもいいかもしれないが……もっと何か相応しいものがある気もする。


「うーん……だとすると、俺達としばらくの間パーティー組んでみて、それで合うものを考えてみるのもいいと思うんだけど。エピン、それとカリックス。どうかな?」

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― 新着の感想 ―
死霊魔法なのか死霊魔術なのかどちらですか。両方とも文中にありますが。
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