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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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67話:青春邪魔するもの絶対許さない系

 男の処置を終えたサリバンが保健室に戻ると椅子の上に当然のように白猫コアが丸まっていて、自分の考えを見透かしたかのようなコアにサリバンは「ああ、やっぱり貴方でしたか」と溜息をつく。

 想像通り、ではあるのだが……一応確認しなければならないことはある。


「それで? 貴方が直接介入したからには何か理由があったのでしょうが」

「おう。リリカとキアラ見た後に死ぬほど不穏なツラしててさー。教員棟の場所確かめてたから怪しいと思ったんだけどな。アラーム鳴ったから威圧で警告入れといた」

「……なるほど。馬鹿な男だ。だが幸運でもある。教員棟に入っていたら捕まえることになっていたでしょうからね」


 アラーム。それはコアが警備といえばー、とか言いながら入れた機能である。

 魔法学園内において敵対する行動を取ろうとした際に警戒対象としてコアに報告がいくようになっているのだ。今回、それが発動したわけだが……まあ、レッドカードではなくともイエローカードといったところだろうか。


「それな。あいつ緑魔塔ってとこの奴だろ? 魔塔ポキポキ大作戦が始まっちゃうところだったぜ」


 実際にはもう虹魔塔がポッキリ折れているのだが……と、ここで白猫コアは思い出したように「あー」と声をあげる。


「そういえばイリシアのとこに精霊魔法使いっぽい魔塔の奴が来てたぞ。結構謙虚だった」

「精霊魔法……とすると虹魔塔ですか。影響が顕著でしょうね」

「おう、精霊魔法使いが精霊使えなくなったら一般人だしな。謙虚過ぎて『ざまぁ』って気も起こらんかったよ。イリシアも丁寧に教えてたし」

「全員がそうなら楽なのですがね」

「それも期待したんだけどなあ。さっきの奴見る限り無理だろうなあ。やっぱこれ、たぶん何処かで争いになるぞ」

「別に構わないのでは?」

「おっ?」


 意外……でもない答えに、白猫コアは椅子から身体を起こす。


「そのほうが早いのは事実ではあります。だって……俺たちが負ける可能性など皆無でしょう?」

「ハハッ、うちの保険医は過激だなあ」

「何をいまさら。魔塔に変わる暴君が来たと言われないための『今のやり方』です。俺たちが正義であり、世界が俺達をそうと認識するのであれば……」

「まあな。だが今じゃない。もっと実績を積まないとな。俺たちには信頼が足りない」


 悪い笑顔で笑い合う白猫コアとサリバンは成程、ヤマダ一族なのだと思わせるが……やがて白猫コアは「さて!」と椅子から降りて歩き出す。


「じゃあ俺はそろそろ祭の雰囲気を見に戻るかー」

「ええ、行ってらっしゃい」


 白猫コアを扉を開けて送り出すと、サリバンは窓の外に視線を向ける。

 保健室はダンジョン入り口から程近い場所にあるが、今日は生徒も皆魔導祭を見に出かけているのでダンジョンに挑む者はいない。

 魔導祭は自分の知らなかった分野について知るチャンスだからしっかり見るようにと、そう各教師から伝えた甲斐があるというものだろう。

 それでも念のためと保健室を見に来たが、無茶をした生徒が転送されてくる様子もない。

 まあ、ダンジョンで「死」を迎えたところで傷一つなく転送されてくるので、サリバンの仕事は怪我を負った生徒が生きて戻ってきた時なのだが……今のところポーションなどの安全策で足りているか死ぬまでやってしまうかなので、サリバンの仕事は無いに等しい。恐らくもっと生徒たちが深い階層に潜るようになった際にサリバンは注目されるようになるだろうが……それまでは一部の例外を除いて暇なものだ。

 まあ、そんなサリバンや白猫コアのことはさておいて魔導祭はそのお祭りという性質上、人気不人気がいつもとはかなり違ってくる。

 たとえば占術魔法教師のオリビア・ハトラーによる占いの館などは、白猫コアの予想としては青春の香りが漂う素敵な空間になっているはずだったのだが……実際に来てみると、保護者や同伴者の大人たちでいっぱいである。


(うおお……なんだこれは……青春じゃなくて成熟した香りがする……なんでこんなことになってんだ)


 理由としては単純で、白猫コアの前世の世界とは違って「占術魔法」を使う占術魔法使いは、商売や組織や国の未来を占ってくれる貴重で大切な存在なのだ。やり方が様々ゆえに魔塔を作らずやっている魔法系統でもあり、それ故にお抱えになったり流れの魔法使いとなって滅茶苦茶稼いだりと様々だが……魔法学園ヤマダにそんな占術魔法使いがいるとなれば、学生の青春に満ちた占いどころではないくらいに大人たちがやってきてしまうというわけだ。


「ステラシルクの大規模取引を持ち掛けられておりまして。サンプルは本物でしたし事実であれば商団の運命を変えられるチャンスなのですが……」

「ふふ……やめましょう。破滅の星が見えます。その取引に関する悪い何かが起こるでしょう」

「さ、詐欺ということですか!?」

「欺瞞と感染、暗幕の星も見えます。その持ち込んだ人か、あるいはそこに関わる何者かが災いを引き起こすでしょう。それは貴方を介して別の誰かにも害を与えることになります。あるいは見えない場所に何かの企みがあるかもしれませんね」

「まさか……いや……ああ、ありがとうございます占者様! やるべきことが見えました!」

「お力になれたなら何よりです」


 しかも魔法学園ヤマダの占術魔法教師たるオリビアの占術魔法は在野の占術魔法使いとは格の違うナンバーワンだ。しかも占い一回あたりの料金がお安い上に結果も的確となれば……こうなるのはまあ、当然のことだろう。

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