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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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55話:男子はすべからく馬鹿である(コア調べ)

 ダンジョン地下1階。いつもは「それなり」程度のこの場所は、今日はパーティーを組みやすくなったせいか多くの生徒たちがウロウロしている。


「やっぱり今日は多いですね。どうしましょう?」

「当然2階に行きますわ。可能であれば3階まで行きますわよ」

「はい、キアラさん!」


 だからだろうか、そんな勇ましい事を言いながら奥に進んでいく女子の二人組もいる。


「キアラ……?」

「知り合いかい?」


 イヴァンに聞かれてエピンは「いや」と否定する。別に知り合いではないが名前は知っている。先程その名前は見たばかりだからだ。


「リアラ冒険団の二人だな。たぶん結構強いぞ」

(……そうなると、あの子が魔法拳士のリリカか。組めれば相当いいんだろうが、すでに他国の王族と組んでる。手を出すのは良くないな……)


 しかも相当仲が良さそうだった。あの中に割って入るのも混ざるのも、ちょっと難しい。

 残念だが、折を見て自然な形で友誼を深めるチャンスを狙うしかない。

 というかたぶん、リリカがパーティーを募集してみようとしてキアラが即座に余計な奴が応募してくる可能性を察知して止めたとかだろう。もしエピンがリリカの立場だったら、そうする気がするからだ。


「ふーん。てっきり惚れたのかと思ったよ」

「色恋で解決するような問題なら全力で惚れるんだけどな。中々そうはいかないよ」

「あ、一応惚れるようにはするんだね」

「貴族の身としては自由恋愛は中々難しいしな。それでも誠意は大切だろ? あと一応じゃない。全力だ」

「そっか」

「というかイヴァン、お前はどうなんだ?」

「どうかなあ。魔法使いとして帰るんだから変なモテ方をしそうな気はする……」

「なら心配するな。うちに来ればちゃんとしたお見合いを幾らでも用意しよう」

「あはは……」

「というか聞かせろ。どんな子が好みだ?」


 もしこの場にリリカとキアラの2人がいたらキアラは眉をひそめ、リリカはどう反応すべきか困ったような顔で笑っていただろう。男子の恋愛話とはそれなりの確率で馬鹿な話が混ざり込み、ノリで余計なことまで言ったりする……つまるところ男子はすべからく馬鹿である。

 されど、こうしたぶっちゃけ話……綺麗に言えば開襟を開く類の話は、男子の友情というものを深めるのだ。白猫コアからしてみれば「そのバカさ加減も男子の青春なんだよなあ」ってやつである。女子からの評判については度外視しているので女子からは嫌われるか怒られるのだが……まあ、さておいて。


「と、とにかく! 早くダンジョン探索しようよ。此処で恋バナするから皆見てるよ」

「おっと、見世物じゃないぞ!」


 見世物だろ……と言いながらも見ていた生徒たちが真面目な話に戻っていくが、エピンはダンジョンの奥に視線を向ける。

 こうして時間を潰している間にすでに結構な人数が奥に進んでいったが、そろそろ進み時だろうか?

 エピンとしては今回、イヴァンと何処までいけるか試すつもりなのだ。他のパーティーと仲良くゾロゾロ進む気はない。

 そして入り口付近に残っている他のパーティーは陣形の相談などをしているようなので、もう少しかかりそうだ……であれば、足踏みしている理由はない。


「そろそろ出発するか」

「うん」


 イヴァンを先頭に進んでいけば、すぐにゴブリンが飛び出してくる。

 幻影モンスターである彼等は、どれだけ倒されても全滅するようなことはない。

 だからこうして誰かが探索した場所でもゴブリンは出る。それは充分に習っているので驚くこともない……!


「よし、来い!」


 素早い動きで振り回されるゴブリンの斧をイヴァンが盾で受け止め棒で突く。

 硬くて長い金属棒は突けば穂先こそ無いが槍の如き攻撃が出来る。

 だが刃がないということはその分殺傷力もない……のだが。


「でやあああああ!」


 突いて怯んだすきにイヴァンは棒を引き戻し、ゴブリンの頭部へと振り上げ……振り下ろす。

 そう、刃がない分扱いは雑でいい。棍棒の如き一撃はゴブリンを昏倒させ、イヴァンは「エピン!」と叫ぶ。


「よし、どけ!」

「うん!」

「ファイア!」


 放たれた火がゴブリンを燃やし、断末魔をあげさせる。

 焼き尽くす。その意志が存分に籠っているからこその効果であり、しっかりと練習し練り上げた威力があった。


「あ、これは……あー……」

「なんだ、それ?」


 ゴブリンが消えドロップした何かの牙のようなアイテムを見てエピンは首を傾げるが、イヴァンは何か呟いた後に「ゴブリンの牙だよ、外れだね」と苦笑する。


「こんなものまでドロップするのか……見たことないぞ」

「俺も初めて見るよ。結構レアなんじゃないかな。役に立つかは分からないけど」

「ふーん……まあ、目的のものじゃないな」

「そうだね」


 背負った袋に牙を入れているイヴァンだが、背負い袋を持っている辺り結構な量の鉄鉱石を持って帰るつもりなのだろう。


(分担しないとな。重さは動きの遅さに繋がる……し……)

「いや待て、イヴァン。初めて見るアイテムのこと……どうして分かったんだ?」

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