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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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52話:イマドキの仲間募集事情

 されど、頭でっかちでいいというわけではない。

 一度の実戦は百の訓練に勝るとは何処の傭兵が言った言葉だったか。

 まあ、「百の訓練にも耐えられぬ者が一の実戦で何を得るものか」という言葉もあるらしいのだけれども。ケースバイケースだな、と白猫コアは思っている。

 とにかく実戦経験を安全に積むために学園ダンジョンはあるわけだがある程度の監視はしているので、あまり簡単に死ぬようであれば「お前は危ないからちょっと待て」と入場の一定期間禁止をするような仕組みが幾つか整っている。学園ダンジョンで「死んでも大丈夫」といった感覚を常態化させるわけにはいかないのでまあ、当然の処置だ。

 ……具体的には装備品以外のアイテムのロストやイエンの半額ロストなど……学生が「死にたくない」と思えるペナルティが満載だ。

 とまあ、そんなわけで死亡率を下げより奥へ進むための良質なアイテム取引、そして仲間募集が簡単にできる掲示板は早速の大人気であった。

 エピンとカミルも他の面々に比べると少々……いや、かなり遅れて掲示板前に到着するが、かなりの人数がすでに集まっている。


「……凄いな」

「ああ。とはいえ……ここに居る全員がダンジョン経験者というわけじゃないと思うぞ」

「どういうことだ?」


 エピンがカミルにそう聞けば、カミルは「掲示板のせいだよ」と返す。


「1人じゃ無理だと思った奴もいるだろうけど、最初から1人じゃ入る勇気がなかった奴、戦闘向けじゃない魔法を学んでる奴もいるはずだ。それを考えると……初心者が混ざってる確率は結構高いだろうな」

「なるほどな……」

「まあ、経験の度合いも人によるだろうけどな」

「とはいえ、そこを見極めるのは不可能だろ。俺達だって人のこと言えるほど経験があるわけじゃない」

「……確かにな」


 カミルは肩をすくめ、仲間募集掲示板へと向かっていく。先着順ということもないだろうが、有望な選択肢が後で残っていると考えるほど悠長でもないからだ。


「ま、お互いパーティー組めなかったら組もう」


 そんなことを言いながら人をかき分けていくカミルを見送り、エピンは軽く息を吐く。

 カミルとは違いエピンは、少し落ち着いてから仲間を探すのでもいいと思っていたからだ。


「……まずはあっちを見るか」


 取引掲示板。そう呼ばれていた淡く光る掲示板に近づくと、エピンの眼前に四角い半透明な窓のようなものが浮かぶ。


「うわっ……」


 ぶつかる。そう思い立ち止まるが、すぐにその違和感に気付く。これは、明らかに普通のものではない。では、何なのか?


【取引掲示板】

・出品検索・購入

・販売登録

・買取設定

・資金預入・引出


(これは……掲示板!? 魔法の掲示板ってことか……! なんて緻密な。誰が作ったんだ!?)


 エピンがすぐに思いつくのは尊敬できるアベルだったが、属性魔法だけでこんなことが出来るとも思えない。考えて……やがて今考えることに意味はないといったん頭から追い出す。

 まずやるべきことは検索……ではなく資金預け入れだ。


―持っているイエンを預け入れ、引き出しすることが出来ます。現在の残高はゼロイエンー


(これは……凄いぞ。あの1イエンの山は持っているのも運ぶのも大変だが、此処に入れれば何の苦労もない……!)


 勿論売店で買い物をするには此処から引き出して持っていかなければならないし、ダンジョン探索中に手に入るイエンはどうしようもないが、少なくとも自室にイエンの金袋を置いておくような事態は避けられる。


「1000イエンを預け入れする」


―残高1000イエンー


 これはいい。あとで自室にあるのも全部持ってこようとエピンは小躍りしたくなるが、こうなると販売アイテムも見てみたくなるものだ。

 薬品、武器、防具、食品、日用品……などと細かい分類があるが、食品のところを選ぶと干し肉がずらりと並んでいる。


名称:アマンダの干し肉

品質:下等

数量:5

説明:アマンダが食堂で作った干し肉。体力がごく僅かに回復する。

価格:50(1つあたり)


(体力回復!? 食堂で……? そうか、料理の魔法があるのか。是非持って帰りたい魔法だ……けど時間が足りないな)


 続けて武器の項目を見ていけば、そこにはダンジョンでの入手品と思わしきものが並んでいる。


(ゴブリンナイフばっかりだな……まあ、そんなもんか)


 一応画面をスクロールさせていくと、少し違うものが出てくる。


名称:イヴァンのロングソード

品質:最悪

数量:1

説明:イヴァンが鍛えた未熟極まるロングソード。緊急時には杖の代わりになる……かもしれない。

価格:1000


 杖の代わりになるかもしれない剣。エピンも一応剣は持ち込んでいるが、魔法の杖の代わりになどなるはずはない。属性魔法使いとしてやっていく覚悟と共に、今も自室に置いてきているが……なるほど、売店で剣が売っているのはそういうことだったのだろう。

 しかし、それにしてもこの剣はどうして出品しているのだろう?

 1000イエンあればメタルセイバーが買える。この剣よりはずっと良いはずだ。それでも、此処に出品しているのは。


「ああ、なるほど。これは自己紹介……か……!」

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