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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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5話:これからの指針って?

本日2回目の更新です!

まだ今日読んでいない方は4話からどうぞ!

 やがて出現したアベルは、じっとコアを見つめ「なるほど?」と納得するように頷いていた。


「必要な知識はこの身にあるが、なんとも不思議なものだ。私は間違いなく今この世界に誕生したのに、矛盾なくこの世界で生まれ育った記憶がある……精神魔法の類をかけられたとて矛盾は生まれないに違いない」

「あまり難しいこと言われても分かんないけど完璧ってことだよな」

「ああ、そうなる。そして初めまして、ということになるなコア、私の本体よ」

「おう、初めましてアベル。お前の同僚は今はそこのおっさんしか居ないけど我慢してくれな」

「問題ない……お初にお目にかかります校長。いや、『記憶』ではずっとこの学校の為に共に尽力しておりましたが」

「ああ、よろしくアベル先生。これから『も』共に頑張っていこうじゃないか」


 そう、記憶。コアの入力した「設定」はこの世界に矛盾が発生しないように処理され、世界には確かに彼等の足跡が刻まれている。

 ……とはいえ、彼等は皆天涯孤独という設定だ。誰かの記憶がどうにかなっているような類のものではい。彼等が天涯孤独でありながら確かに世界に存在していた証拠が刻まれるという、世界そのものによる偽装工作。もはやそれは真実でしかない。

 ダリアンもアベルもそれはそういうものであると認識しており、コアという世界と直接接続している神器と呼ばれるものですら塵芥に思える「本体」の凄まじさをも理解している。

 とはいえ、魂を分けた家族より濃い絆だ……恐ろしいとは思わない。


「コアよ。これからの全体指針はどうするつもりだ?」

「どうって、まずは他の教師も全員揃えて、それから各種施設をだな」

「そうではなく。学園の指針だ」

「ん?」


 何を言っているんだ、と言わんばかりにコアは疑問符を浮かべる。

 学園の指針は当然「魔法を広める」だ。それ以外の何かが必要なのだろうか?


「教師を揃える。生徒を集める。それはいい。だが生徒の集め方を考えているか?」

「そりゃあ魔法教えますよー、ってだな」


 コアが気楽な調子で言えば、アベルは大きく溜息をついて……ダリアンも苦笑しているのが見える。

 何処がおかしいのか分からないコアが「おいおい、どうしたんだよ」と聞けば、ダリアンがアベルの代わりに「それでは無理ですな」と教えてくれる。


「無理? なんでだ? 皆魔法習いたいだろ?」

「そうですな。しかしご存じでしょう? 魔法はこの世界では世界各地の『魔塔』が独占しております。魔法を教えるといったところでドロップアウトした落伍者か、それっぽい話をする詐欺師と思われるでしょう。何より、魔塔との衝突も必至です」

「んー……まあ、そうだな。でも負けないだろ?」


 アベルとダリアンは顔を見合わせ、アベルは眉間のしわを揉みダリアンは大笑いする。

 まあ、負ける気はない。ないが……いきなり武力衝突前提とは、中々に人の善というものを信じていない発言で、だからこそコアに安心感を2人は感じていた。


「勿論負けはしない。だが、それではいけない。私たちは教育者だろう……恐怖ではなく威厳と評判により人を集める必要がある」

「そりゃそうだ。でも宣言してダメならどうするんだよ? 魔法サーカスでもやるか?」

「サーカスはやらない。しかし大枠としては似たようなことをすべきだ」

「ガマの油売り的なやつか? 魔法で傷が治りました凄いでしょう貴方にも出来ますよとかって」

「ガマはともかく、そういうことだ。魔法を披露し『自分もこうなれる』と思わせる……それが一番手っ取り早い」


 納得いく話だとコアは思う。

 憧れというものが重要なのはコアも分かっている。

 しかし「高すぎる壁」は目標にならない。もっと手近な目標が必要だし、それは恐らく教師ではダメだ。


「なるほどな……となると生徒を連れてくる必要があるよな。でもうーん……育てるとしてもいきなりは……」


 才能のある子どもを何処かから連れてくるのはいい。しかしそれでは魔法学園計画に少し問題が出る可能性がある。何故なら、説明がつかないからだ。

 実績を作るために実績が要る。おかしな話ではあるのだけれども。


(そもそも俺たちがおかしな連中だからなあ……うーん……)


 考えて、考えて……コアはハッとする。そうだ。学園モノの花形を忘れていたのだ!


「……先輩だ」

「む?」

「ああ、なるほどな」

「そうだよ、ピカピカの新入生の憧れ、頼りになる先輩! ちょっと謎めいていても許される! そいつらが実習ってことで世界を巡って魔法を披露すれば『ああなれる』って思ってくれるはずだ! ついでにそいつらが世に出ることで魔法学園も世に出ることになった……ってのはどうだろう!」

「大変よろしいのではないですかな?」

「ああ、矛盾もない。己が成果をもってして世に価値を問う……それらしい始まりだ」

「なら決まりだな! 今実行待機中の二人と……あと他の教師を用意したら、先輩生徒の用意だ! わはは、どんどん面白くなってきたぞー!」

ブックマークや評価は今後の執筆の励みになります。


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