4話:皆派手なものが大好きだよね。俺も好き。
「さて! コアよ、小規模であれば儂一人で事足りますが、そうではないのでしょう?」
「ああ。少なくとも各教科を教える教師は全部欲しいよな。いわゆる体育教師的なやつも欲しい」
「ふむ……武術教師というわけですな。良いと思いますぞ。ただ、習う価値のあるものを教えねば」
習う価値のある武術。この世界の諸々についてはすでにコアの中にあるが、どんな武術が好まれるかはコアには分からない。そもそも元の世界の武術ですらオリンピック競技が人気あるのかなー、くらいの適当極まりない認識だ。
「どうかな。人材創造で設定すれば武術も創造されると思うか?」
「出来るのではないですかな? しかし大切なのは先程も言いましたが『価値を信じさせる』ことですな」
「うん? 習う価値って話か?」
コアが聞けば、ダリアン校長は静かに頷いてみせて。その様子をコアは「おお、なんかすげえ含蓄のある話に聞こえる」などと思っていたのだけれど……実際、含蓄のある話ではあるだろう。
「その通りです。誰でも役に立たないものは習いたくありません。それは第一に、その技術の名声に現れます。有名で誰でも知ってるし習っているメジャーな技術は役に立つのだと思えるでしょう?」
「ああ、それは分かるぞ。空手とか柔道みたいなもんだ。如何にも強そうに思える」
「次に大切なのは名前です。たとえばコアは『レイス流拳闘術』と「へっぽこ流最強拳』のどちらを習いたいですかな? 習う内容は同じであると仮定してです」
「ええ? そりゃレイス流だろ……あー、言いたいことは分かった。看板のカッコよさは大事だな」
「そうです。そして内容です。実践的であるか、美しく華があるか……基準はこの2つと考えてよいでしょうが、儂はあえてこの2つを兼ね備えることを推奨しますぞ」
実践的なほうが良いと言うかと思っていたコアとしては驚きだが、ダリアン校長はそんなコアの反応も織り込み済みであったようだ。
「最後になりますが、憧れは重要です……そして憧れを得るには、分かりやすい華麗さが必要になります」
「ああ、本人が強いのか技が強いのかみたいな話か……」
「然り。理解できないものは憧れに繋がりません。いぶし銀は玄人好み、と申しましょうか」
「分かる、分かるよ。やっぱり皆派手な必殺技が好きだもんな」
分かってきた、とコアは何度も頷く。やはり相談できる相手がいると、こういうのははかどるのかもしれない。
「……そういえば知ってるかダリアン?」
「何をですかな?」
「この世界、魔法剣とか魔法拳とかないんだよ……」
「なるほど、それは切り込みどころですな」
「武術教師の設定は決まったな」
「魔法教師のこともお忘れなく」
「分かってるって」
というか大切なのは魔法教師であることは言うまでもない。
「やっぱりまずは普通の魔法使いだよな」
「そうですな。一番メジャーであるが故に、分かりやすい魅力があるでしょう」
そう、この世界にある魔法は幾つかの種類がある。
属性魔法。火魔法や水魔法、光に闇など自然の力を扱う魔法。
精霊魔法。世界に宿る属性の化身たちの力を借りる魔法。
召喚魔法。世界に存在する様々なものと契約し呼び出す魔法。
占術魔法。何らかの力により未来や世界を読み解く魔法。
その他、念動魔法や精神魔法などの「無属性魔法」と呼ばれるものや魔法道具作成なども魔法に分類される。
「……全部習えたほうが良いよな」
「ええ、勿論です。秘匿された全てに光を当てることこそ儂らの使命です」
「よし! じゃあやるか!」
名前:アベル・オータムランド
役職:属性魔法教師
見た目の年齢は20代。黒の長髪を後ろで簡単にまとめた切れ長目のイケメン。
得意とするのは属性魔法。ダリアン同様にあらゆる属性を使用可能。
性格は冷静沈着。いつでもクールだが、真面目な学生に対しては不器用な優しさを見せる。
名前:イリシア・ハイランド・ノルティカ
役職:精霊魔法教師
今は無きノルティカ大森林に住んでいた高位森人。
得意とするのは精霊魔法。全ての精霊に高い親和力を持つ。
性格は温和。慈愛を常に忘れない。
名前:ウル・ヴァーミリオン
役職:召喚魔法教師
常若になるほどの膨大な魔力を持ち、それ故に比較的幼い頃に成長が止まってしまった。
得意とするのは召喚魔法。
特にゴーレム召喚術が得意で、自身でゴーレムを作成してしまう技術を持っている。
性格は過激で活発。楽しいことを優先してしまう気質を持っている。
「よし、まずは三人……実行!」
―設定を確認……イリシア・ハイランド・ノルティカはノルティカ大森林最後の高位森人として定義されます……世界状況と矛盾がないことを確認。警告、三人の同時作成に必要な魔力が残量をオーバーしています。順次作成に切り替えます。アベル・オータムランドの作成により魔力残量が3%になりますがよろしいですか?―
「ちょっと怖いな……どうかな?」
「ギリギリといったところですな。とはいえ初期に無理をするのは仕方ない部分はあるかと」
コアは魔法学園全体の運用に必要な魔力も担わなければいけない為、無理できるのは今だけとも言えるだろう。
それを分かっているからこそ、コアとダリアンは頷き合う。
「構わない、実行だ!」




