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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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47話:温泉……好きかい? 俺は好き

本日2回目の更新です!

 そうして全力で修業をしたリリカは疲れ切って、それでも疲れをとるべく大浴場でしっかり湯船に浸かっていた。

 本当に不思議なのだが、この学園のお風呂は疲れが物凄く取れる気がするのだ。


(よく分からないけど魔力が溶け込んでる気がするし……そのせいなのかなあ?)


 ちなみに大正解である。魔法学園ヤマダの大浴場は温泉であり魔力泉である。

 分類で言うと「回復の泉」というやつであり、学園の外では聖なる泉とかそういう扱いをされるやつを贅沢に色々設定を変更し使っている。

 温泉が苦手な人がそうなる要因の一つである香りは徹底的に廃し、成分を強化。浸かっていると徐々に疲労が回復し、美肌効果だのを加え微弱な回復効果による傷や怪我の治癒なども効能として存在している。

 湯治とかそういうのを前提にしたためか、どんな重傷でも病気でも、2週間も定期的に入っていれば治ってしまうし瀕死の重傷者でも投げ入れれば峠を越えて回復に向かうようなトンでもない代物に仕上がっているのだが……余程の事態でも起こらなければ、生徒たちがそれを実感するようなことはないだろう。

 ちなみに白猫コアは紳士的なコアなので、此処は緊急時以外は視点変更の対象外地域として設定している。


「はあー……いいお湯……」


 学園に通うようになってから、リリカだけではなく生徒全体が髪も肌もつやつやしているが……この大浴場に完備されたシャンプーやリンス、ボディソープの類が魔法道具だからである。

 外の世界のどの王族や皇族だって、そんなものは持っていないだろうし生徒は当然その凄さは身をもって知っている。

 リリカとしても、学園を出た後にそれがなくて耐えられるのか、ちょっと自信がないくらいだ。

 学園を出た後。その言葉が、まだリリカには現実的ではない。強くなって、立派な魔法拳士になって。その後、どうするのだろうか?


「ねえねえ、アベル先生ってやっぱりカッコよくない?」

「素敵だよねー。ああいう人がうちの家門に来てくれたらなあ」

「そういえば精霊魔法の授業で大精霊見たんだけど……」


 誰がカッコいい、とかの話の間に家の話や魔法の話が混ざる辺り、貴族なのかもしれないが……彼女たちは彼女たちなりに未来をしっかりと見据えている。どういう風に家門に貢献するのか、どの魔法こそが一番良いのか……それはリリカにはない視点であり、リリカにはない未来でもある。

 彼女たちの邪魔をしないようにリリカは風呂を出て、そのまま外へ行く。

 そよそよと吹く風は涼しく、よく見ると風の精霊や水の精霊たちが上空で仲良く遊んでいるのが分かる。


「……私、どうしたらいいんだろう」

「何を悩んでるんですの?」

「ふへっ!? キ、キアラさん!? どうして此処に!」

「どうもこうも、私が涼んでるところに貴方が来て悩みを呟いてらっしゃったのですけれど?」

「ひええ……」


 カーッと顔を赤くするリリカに、キアラは軽く肩をすくめる。リリカのことだから真面目に悩んでいたのだろうけれど、なんとなく理解は出来る。


「リリカさんが魔法拳のことで悩むとは思えませんし、将来のお話ですわね?」

「えっと……おす。魔法学園卒業したら、どうしたらいいのかなって」

「まあ、今から悩むのはいいことですわね」

「私、庶民ですから目の前のことに精一杯で、だからここに来たら何か見えてくるかと思ったんですけど……」


 まあ、確かにそれはそうだろうとキアラも思う。この魔法学園ヤマダの出現で世界は大きく変わったし今後も変わっていく。今までの世界の常識など軽く吹き飛ばして、卒業生たちが世に出ていく。そこからどうなるかなどキアラにだって分からない。

 けれど、それでも必要なものは分かる。信頼できる同期だ。これはもはや間違いない。学園内でも遠からず、期待できる人材の取り込み合戦が始まるはずだ。


「リリカさん」


 だから、そういうものが始まる前に。キアラは心の底からの言葉をリリカへと伝えるのだ。


「私は学園を出ても……ずっと貴方と一緒に居たいと思いますわ」

「キアラさん……一緒にって」

「ちゃんと自己紹介してなかったですけど私、オータムレイン王国の第一王女ですのよ。学園を出たら魔法を使って色々やってみるつもりですの。そこにリリカさんも一緒に居ると嬉しいですわ」

「お、お、王女様……!?」

「そこまで。私たちは友だちでしょう?」

「おす、友だちです!」


 リリカはそもそもアレス王国の……庶民だ。一緒に来た王子や貴族の息子はリリカのことなどすっかり忘れているのか接触すらしてこない。一日の多くをリリカと過ごしているキアラも当然それを知っている。なら、リリカを貰ってしまったって構わないとキアラは思うのだ。


「じゃあ、約束ですわ。学園を出たら、二人で色々やりましょう」

「おす、約束です!」


 交された約束は友だち同士の大切なもので。たまたま通りがかった白猫コアも満足そうに頷いていた。

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