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魔法学園ヤマダ~転生するなら魔法学園とかやりたいって言っただけなのに~  作者: 天野ハザマ


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45話:学園ダンジョンは常識の範疇外

本日3回目の更新です

 言ってしまってから、キアラは自分の中で「まさか」と否定しそうになる。

 普段は何処かにいる召喚獣が死んでしまえばそれで終わりの通常契約と、リスクはあるが倒されても何度でも召喚可能な霊的契約。しかし、通常召喚したモンスターが死んでも真の意味では死なないのであれば?

 ああ、それはリスクを排除してメリットだけを享受する霊的契約に等しいのではないか?

 けれど、そんな無法なことが許されるのか? 答えを求めるキアラの視線に、ウルは満面の笑みを浮かべるのだ。


「正解!」


 ガクリ、と。キアラは膝から力が抜けそうになって近くの机で自分の身体を支える。

 恐ろしい。なんて恐ろしいのだろう。既存の常識がガラガラと崩れていく音が聞こえる。

 おそらくだが、外の世界での召喚魔法はウルが最初に教えたものが常識になっているはずだ。

 けれど、まさか。霊的契約のような通常契約が存在するだなんて……召喚魔法の全てが引っくり返るような事態だ。


(充分理解してたつもりでしたわ……でも、それでもまだ甘い見積もりだった……! 此処で召喚魔法を学び成長させていくだけで、前代未聞級の召喚魔法使いに……しかもそれが学園出身者の標準になる……!)


 召喚魔法だけがそうであるなどとはキアラは思わない。たぶん全ての教員が教える全ての魔法がそうなのだ。属性魔法も召喚魔法も精霊魔法もその他の魔法も、全てが世界をひっくり返す魔法使いを育てられる授業をしているとしたら。


「ねえ、キアラちゃん。もしかしてだけど、此処では通常契約が霊的契約に勝ると思ってる?」

「……ええ、霊的契約をするメリットが消えてますもの」

「うーん、不正解!」


 チッチッ、と人差し指を振りながら、ウルは黒板に通常契約と書き、その上に霊的契約と書いて、弐つの文字の間に横線を引いていく。


「通常契約は絶対に霊的契約に敵わないよ。たとえ召喚獣が死んでも死なないというデメリットを克服したとしても絶対にね」

「それは……ウル先生がまだ説明していない何かが霊的契約にはある、という意味ですわよね?」

「そうだよ。ねえキアラちゃん、全ての魔法に共通することだけど……安全性が高いというのは、メリットを減らしてでもリスクを抑えたということなんだよ。それはとても素晴らしいことで、デメリットだらけのものなんて恥ずかしいこと。でも、突き抜けたメリットを得るためには許容すべきデメリットがあることも事実なんだ」


 つまり、霊的契約も同じことだとウルは言いたいのだと。キアラはそう理解する。

 そして先程ウルがアイスフェニックスの召喚をさせなかったのも、その「突き抜けたメリット」を最大限に得させるためなのだろうと。


「通常契約の方法だけを教えたのも、そういうことですのね?」

「そうだよ。ボクがダメって言ってもやる子はやっちゃうでしょ? キアラちゃんがアイスフェニックスと霊的契約をするのは問題ないと思うけど、たとえばオーガと霊的契約するって子がいたら、ボクは真面目にその子の資質を見極めないとだし。その子の魂にオーガがピッタリすぎるとかだったら止めないしねー」

「……先生ですものね」

「そうだよ! ボク、召喚魔法の先生だからね! キアラちゃんみたいにしっかり教えを請いに来てくれる子は好きだなあ!」

「ウル先生は、最終的に私たちの未来を何処まで見据えているんですの?」


 キアラのその問いに対するウルの答えは明白だ。恐らく魔法学園ヤマダの、どの教師に聞いたとしても同じ答えが返ってくるだろう。だって、それは魔法学園ヤマダの目的なのだから。


「本人の望む限り何処までも、だよ。此処で学ぶ子たちがいつか世界に羽ばたいて、魔法が今よりもっとずっと広がっていく未来のためにね」

「……やはり魔塔と真正面から対抗するのですね」

「それが怖くて魔法学園なんかできると思うー? かかってこいって感じ!」

「ほ、ほほほ……」


 魔塔が真ん中からポッキリ折れる想像をしてキアラは笑いが引きつってしまうが、そんなに間違った未来予想図ではないはずだ。

 召喚魔法を独占しているのは灰魔塔だが、ウル一人でどうにかなってしまうのではないかと、キアラはそんなことを考えてしまう。


(まー、実際ウル一人で魔塔の1つくらいどうにでもなるだろうけどな)


 召喚魔法教室にキアラについてするっと入り込んでいた白猫コアの意見もキアラとほぼ同じ……いや、それよりも大分楽観的であった。

 魔法学園開校の時に魔塔の魔法使いが来ているのは知っていたが、あの程度が平均であるのなら魔法学園の教師たちに勝つ可能性は微塵もない。まあ、油断するつもりはないのだけれども……。


「さて! そんなわけでキアラちゃんの目標はボクが霊的契約の方法を教えてもいいかなー、と思う程度に強くなることだよ! 頑張ってね!」

ブックマークや評価は今後の執筆の励みになります。


まだ入れていないという方も、今回のお話を機にぜひ入れていただけましたら、とても嬉しいです。

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