27話:戻して……前のがいいの……異論は認める(配慮)
本日3回目の更新です!
翌日。
学園の外周にある森の手前……精霊魔法教室に来た生徒たちは、驚きのあまり開いた口を閉じるのを忘れてしまうかという程の衝撃を受けていた。
当然だ、イリシアが朝から教室の前で待っていたかと思えば、その周囲には4人の美しい男たちがいたからだ。
1人は、緑色の長い髪が美しくクールな雰囲気を持つ、ゆったりとした衣装を纏った男。
1人は、胸元が大きく開けられたジャケットを素肌に纏いズボンを履いた、赤い髪の男。
1人は、こちらは可愛らしい印象を持つ青髪の男。
1人は、黄色の髪を短く揃えた寡黙で筋肉質な男。
その全員がとんでもない美形なのだから驚きだ。白猫コアも驚いている。
(いや、昨日はもうちょっと子供向けな不思議生物だったじゃん……なんで一夜で美形になってんだよ)
人化してんじゃねえよ、戻して……と言いたい気持ちを白猫コアはグッとこらえる。
いや、元々精霊はそういうものなのかもしれないけれど……もし此処が喋ってもいい場であれば間違いなく白猫コアは「戻って……」と呟いていただろう。
しかしまあ、それはあくまで白猫コアの趣味だ。たとえ白猫コアの立場に精霊王とかいうものが追加されていようと、人化の自由を妨げるわけにはいかない。白猫コアは意地でも人化はしないけど。
(つーか、アレだな。精霊ってのは比較的自由な形を持つっていうけど……契約したイリシアの趣味なんじゃないのか? いやいいけどさ……)
なんとも複雑な気持ちの白猫コアがふて寝を始めた辺りで、イリシアは笑顔でイケメンたちの紹介を始める。
「皆さん、おはようございます。今日は精霊魔法に新たな常識が加わりました。精霊たちが意思を持つ……いいえ、取り戻したのです。これにより精霊魔法は更なる進歩を遂げるでしょう!」
「せ、先生! 精霊が意思を取り戻す……とは?」
「見ての通りです。此処にいるのは誰もが精霊王だと誤解していた大精霊たちです!」
風のウィンダート、火のヴォルカノン、風のアクエリア、土のグランテス。
4人の美形たちが自己紹介を始めるたびに歓声が上がっていくが……不思議と精霊魔法の受講者は女子が多い。精霊魔法使いに繊細なイメージがあるというのも大きいのかもしれない。
だが、彼女たちの歓声はやがてざわめきに変わって白猫コアも目を開ける。
(あー……カッコつけたがりってこういうことか)
天から降りてくる白髪白眼の男と黒髪黒眼の男。どう見ても光と闇の大精霊だ。
揃いの騎士の制服のようなもの……色はそれぞれ白と黒だが、光のほうは白服に金糸を、闇のほうは黒服に銀糸の飾りをつけているのが印象的だ。
そんな2人はイリシアの隣に舞い降りると、それぞれがイリシアの手を取って微笑む。
「光の大精霊シャイエン、此処に。麗しき僕のイリシア、どうか契約を」
「闇の大精霊ダグラス、此処に。イリシア、俺との契約を望んでくれ」
「ええ、勿論です」
キャー、と黄色い声が響き渡るが……まあ、白猫コアとしても当然だろうとは思う。
自分たちの美形っぷりを活かしたキラキラしい演出と、まるで演劇かと思う程の「それっぽい」台詞と行動。精霊魔法というものがイケメンパラダイスであるかのような……実際そうなっているが……おかげで女子が凄いことになっている。
一方の男子は気圧されているが、周囲をよく見ると動物の形の精霊や小さな女の子の形の精霊などもいて……どうにも色んな好みに対応しようという、精霊側の意志あるが故の努力が見受けられる。
まあ、実際に精霊魔法使いを志す生徒たちがどんな精霊と契約するのかは分からない。イリシアが教える以上は何らかの精霊と契約できるだろうし、慈愛に満ちているイリシアの生徒数はアベルが昨日は一度追い返したのもあって、かなり上位なのは間違いない。
(精霊魔法使いが増えるのはまあ……うん。精霊に依存する部分はあるけど本人の才能っていうよりは人間性の問題になるだろうし……うーん……ま、難しいことはいいか)
その辺のいろんな問題は教師陣が考えればいいことではある。白猫コアは教師じゃないし、コアだし、猫だし。あとドラゴンだし。なので考えなくてもいいのである。コアが守るべきは生徒の青春だ。
(……そういやダリアンの精霊はどんな姿になってるんだ? 後で見に行くか)
はたしてイケメンなのか美女なのか、それとも少年少女か動物か。
想像するとワクワクしてきて校長室へダッシュした白猫コアだが……校長室にいる火の尻尾を持つトカゲや小さなゴーレム、同じく小さな人魚や緑の鳥がいるのを見て「くっ、結構理想で悔しい!」と叫んだのはまあ、どうでもいい話だ。
ブックマークや評価は今後の執筆の励みになります。
まだ入れていないという方も、今回のお話を機にぜひ入れていただけましたら、とても嬉しいです。☆☆☆☆☆をポチっと押すことで★★★★★になり評価されます!




